■とびぬけた美しさのイタリアン・プロダクト
華やかな前衛性のなかにクラシカルなテイストをあわせもち、世界中で高く評価されているイタリアン・プロダクトデザインは、自動車デザインの分野でも数多くの名車を生み出してきました。
イタリアの名門バイクメーカー、ファンティックのマシンもその例外ではありません。キャバレロ スクランブラー250の、メカニカルなのにどこか有機的なデザインは、ブランド力に勝る世界的バイクメーカーを向こうに回し、独自の存在感を力強く主張するまばゆい輝きを放っています。
●全身くまなく斬新なマシン
このマシンのフロントビューを飾るのは、シンプルでクラシカルな丸型ヘッドライト。でも、よく見るとその中には昆虫の目を思わせるいくつものLEDライトが仕込まれ、手の込んだ現代的デザインが施されているのがわかります。
ヘッドライトはもちろんのこと、テールライトやウインカーまで、灯火類はLEDでまとめられています。
シンプルで使い勝手のいいメーター、真っ赤なフューエルタンクを飾るラバークッション付きパネル、削り出しパーツを使ったトップブリッジなど、ライディング中に目に入る光景の鮮やかさが、キャバレロ スクランブラー250の美点のひとつ。シートにまたがって前を見ているだけでも楽しくなってくる秀逸なデザインです。
シャープなリアビューを特徴づけているのは、なんといっても鋭くカットされたデュアルエンド・マフラー。ルックスだけでなく、音がいいのが嬉しいですね。またエキゾーストパイプには、ドライカーボン製のヒートプロテクターが装備されています。強度や耐熱性にすぐれているのはもちろん、光のかげんでふわりと浮かび上がる綾織の模様がクールです。
このキャバレロ スクランブラー250は、京都のファンティック販売店、バックカントリーモーターサイクルが所有する試乗車。さらりとライトカスタムが施され、ノーマル車とは一味違うマシンに仕上げられています。
試乗車にはローダウンキットが組んであり、足つきはノーマルよりも良くなっていました。とはいっても、やっぱりなかなかのシート高。ただ、上まわりの軽さのためか取り回しは安心感たっぷりで、小柄なライダーでもほとんど車格を気にせず乗れそうでした。
リアサイドに取り付けられたバッグは、ただの追加ラゲッジスペースではありません。見ているだけで分厚い牛革の手ざわりが伝わってきそうなバッグが、おしゃれなマシンをぐっとワイルドに演出してくれるのです。
自分好みのマシンを作るカスタムはバイクの楽しみのひとつですが、キャバレロ スクランブラー250はあまりにもデザインの完成度が高く、本格的なカスタムとなると、ためらいを感じる面もありそうです。
それでもイジってみたいなら、いつでもノーマルに戻せるくらいのライトカスタムで自分なりのマシン作りに挑戦するといいかもしれませんね。
【ファンティック キャバレロスクランブラー250 主要諸元】
全長×全幅×全高:2166mm×820mm×1135mm
シート高:820mm
エンジン種類:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
総排気量:249.6cc
最高出力/最大トルク:25kW/22N・m
燃料タンク容量:12L
タイヤ(前・後):110/80-19・130/80-17
ブレーキ:前後油圧式シングルディスクブレーキ(ABS)
メーカー希望小売価格:91万円(税込)
(写真:高橋 克也/文:村上 菜つみ)
【関連リンク】
キャバレロスクランブラー Official Site
https://caballero.jp/scrambler
バックカントリーモーターサイクル Official Facebook
https://www.facebook.com/BackcountryMotorcycle/
★村上菜つみさんがファンティック・キャバレロスクランブラー250で出かけたツーリング記事は、月刊誌「モトチャンプ」2021年4月号(3月6日発売)に掲載されています。