■2020年、欧州で売れたラグインハイブリッド車のトップ3はベンツAクラス、アウトランダーPHEV、ボルボXC40
日本市場において元祖プラグインハイブリッドといったキャラクターとして、認知度の高いモデルといえば三菱自動車のアウトランダーPHEVでしょう。
そんなアウトランダーPHEVは、日本のみならず海外でも高く評価されています。実際、2020年に欧州23か国で販売されたプラグインハイブリッドSUVとしてトップに輝いたのはアウトランダーPHEVというレポートが届きました。
アウトランダーPHEVの販売台数は26,673台(JATO Dynamics Limited調べ)。プラグインハイブリッド車セールスランキング全体としても、メルセデス・ベンツA250e(29,427台)に続く2位になったといいますから欧州でもかなりの存在感を示しているというわけです。
そのほか、欧州におけるプラグインハイブリッドとしてほかに売れているのはボルボXC40、VWパサートといったところですが、いずれも2.5万台強といったレベルにとどまっています。
ちなみに、純粋な電気自動車(BEV)としてはルノーZOEが年間で9.9万台、テスラ・モデル3が8.5万台といった規模で売れています。日産リーフも3万台ほど売れています。2020年に日本国内で売れたリーフの台数は1.1万台ほどですから、少なくともリーフにとって日本はメインマーケットではないというわけです。
というわけで、航続距離が稼げて、近距離ではゼロエミッションで走行できるプラグインハイブリッド車は、電動化の初期段階ではベストソリューションになるという見方もありました。しかし2020年の販売規模を見る限り、すでに欧州ではそのフェイズは過ぎてしまったといえるのかもしれません。
ちなみに、同じくJATO Dynamic Limitedの統計データによると、2020年の欧州での新車販売におけるEVの販売比率は24%。ハイブリッドを含むガソリンエンジン車は49%、ディーゼルは25%ですから、EVとディーゼルの販売シェアは同等になっているのです。
そして、欧州におけるBEVマーケットでのトップシェアとなっているのは、一気に電動化を進めるVWグループ。2020年まで販売されていたe-Golfのほか、アウディe-tron、ポルシェ・タイカンなどを加えると、欧州における電気自動車の4台に1台はVWグループのモデルとなっているほどです。
2021年は、BEV専門のサブブランド「ID.」から登場した「ID.3」、「ID.4」といったモデルの販売が伸びることも期待できますから、欧州ではVWグループを中心にBEVが電動化の軸となる未来が見えてきたといえそうです。
(山本 晋也)