■マツダらしい走りを追求し「エレクトリック G-ベクタリング コントロール プラス」を採用
2021年1月28日、マイルドハイブリッドの「M HYBRID」から日本市場に導入されていたMX-30に、バッテリーEVの「MX-30 EV MODEL」が加わりました。駆動方式は2WD(FF)で、一充電走行距離は、WLTCモードで256kmとアナウンスされています。
欧州での販売実績は1万台、日本のマイルドハイブリッド仕様は3000台(12月末時点)と、とくに欧州で上々といえるスタートを切っているようです。
EVで気になるのは航続距離でしょう。WLTCモードで256kmの駆動用バッテリー(総電力量35.5kWh)が採用された理由は、LCA(ライフサイクルアセスメント)、つまり製造時から廃棄・リサイクルまでの環境負荷を考慮して決定されたそうで、とくに製造時に多くのCO2を排出する駆動用バッテリーの容量をどうするか、これが1つの課題。
マツダでは、再生可能エネルギーの利用が多い欧州において、ディーゼルエンジン搭載車以下のLCAにおけるCO2排出量の目標を掲げています。航続距離256kmは、日常の買い物や送迎などをカバーし、それ以上の航続距離が必要であればマイルドハイブリッド仕様を提案するカタチになっています。
今回のEVに続き、2022年〜はロータリーエンジンを発電機として使うマルチ電動化技術(レンジエクステンダー)、EVプラットフォームの開発などがメニューに盛り込まれています。「MX-30 EV MODEL」の最高出力は107kW/4,500-11000rpm・最大トルクは270Nm/0-3243rpmで、急速充電(DC)はCHAdeMO規格、普通充電(AC)は最大入力6.6kW。
EVでもマツダらしい走りを提供する技術として、「エレクトリック G-ベクタリング コントロール プラス(e-GVC Plus)」が搭載されているのも注目点です。
マツダ独自のG-ベクタリング コントロール プラス(GVC Plus)を進化させたそうで、床下が重くなるEVでどういったハンドリングを実現しているのか気になるところ。
回生協調ブレーキもEV専用となっています。ブレーキペダル操作量からドライバーが必要とする制動力を判断し、制動力の範囲内で最大限のエネルギー回生を行い、不足分を摩擦による制動力で補うブレーキを採用。
ドライバーの感覚にあったトルクコントロールを可能とした、エンジン車のアクセルペダルに相当するシステムである「モーターペダル」を採用。なお、マツダの安全思想に基づき、発進から停止までモーターペダル(ワンペダル)だけで操作するシステムは採用されていないそうです。ほかにも、加速状況に応じて発生するトルクの状態をドライバーが無意識に認知できることを考え、モータートルクに同期した「サウンド」を発生させるシステムも採用されています。
また「ステアリングホイールパドル」を搭載。こちらは、通常走行時の「D」レンジを基準に、プラスとマイナス、それぞれ2段ずつの合計5段が設定されていて、ステアリングパドルでの変速が可能になっています。
そのほか、購入に際しては「マツダスカイプラン(残価設定型クレジットプラン) 」が設定されていて、3年プランの場合で残価率55%とEVとしては高い残価率とすることで、EVを初めて買うユーザーの不安を払拭したいとしています。
さらに初めてEVを買うユーザーなどに向けた疑問や困りごとに対応するEV専用ダイヤルの設置、コネクティッドサービスを活用してバッテリー状況をモニタリングし、バッテリーに優しいクルマの使い方をアドバイスしてくれる「バッテリーケアアドバイス (今秋導入予定)」も用意される見込みです。
日本国内の年間販売台数計画は500台。「MAZDA MX-30 EV MODEL」の価格は「EV」が451万円、「EV Basic Set」が458万7000円、「EV Highest Set 」が495万円となっています。
(塚田勝弘)