■計測アタックのあった予選全てでポールポジション!
12月12日・13日に大分県オートポリスで開催のピレリスーパー耐久シリーズ2020 第5戦「TKU スーパー耐久レース in オートポリス」。12日には公式予選が行われました。
スーパー耐久の予選はAからDドライバーまで4回行われますが、AドライバーとBドライバーのベストタイムを合算したタイムで順位が決定します。
4回走るからといってSUPER GTやスーパーフォーミュラのようなノックダウン形式の予選とは異なります。AドライバーとBドライバーの両方が速くなければ予選で上位に来ることは出来ません。しかしどちらかのドライバーは必ずジェントルマンドライバーと呼ばれるアマチュア、もしくはそれに準じたドライバーでなくてはなりません。
777号車 D’station Vantage GT3はプロドライバーの藤井誠暢選手が1分48秒121というタイムで決して速いタイムを出したわけではありませんでしたが、ジェントルマンドライバーの星野敏選手が1分49秒400という、ジェントルマンドライバー唯一の1分50秒を切るという速さを見せ、合算タイムで堂々のポールポジションを獲得しました。
これで3戦連続というポールポジションを記録しました。また悪天候のため予選が中止となったSUGO戦を除いてすべてポールポジションとなり、タイム計測が行われた予選では常に最速であったのです。
■888号車優勝でチャンピオン決定。しかし…。
予選では速さを見せているD’station Vantage GT3ですが、これまでの決勝戦ではポイントの取りこぼしなどがありチャンピオン争いからは遠のいています。
現在のランキングトップは888号車 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3です。開幕戦の富士24時間で優勝。しかし第3戦岡山で不運の大クラッシュとなりドライバーだった高木真一選手は骨折で入院を余儀なくされマシンは全損。
そこから10日足らずで新車を導入し第4戦もてぎで見事に復活の上で優勝し現在90ポイント! このオートポリスで優勝すれば最終戦鈴鹿を待たずにチャンピオンが決定します。
しかしHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が優勝できなかった場合、ランキング2位の31号車 DENSO LEXUS RC F GT3から4位の81号車DAISHIN GT3 GT-Rまでがポイントがほぼ横並びとなり年明け開催の最終戦鈴鹿までもつれ込むことになります。
各チームは最重点としてHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3をマークすることは当然で、とにかくHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3の前にいることが大事な戦略となってくるでしょう。
そうなるとチャンピオン争いは遠のいているとはいえポールポジションのD’station Vantage GT3も気になるところ。またランキング2位のDENSO LEXUS RC F GT3は自身で優勝を勝ち取れば次の鈴鹿までチャンピオンにチャンスを繋げておける、ということになります。
ランキング2位とは言え、ここまで優勝のなかったDENSO LEXUS RC F GT3はこのオートポリスで優勝を本気で狙ってくることも予想されます。
スーパー耐久のオーバーオールチャンピオンとなるST-Xクラス。今回のオートポリスでチャンプが決まるのか?決まらないのか?その1点だけを見てもかなり楽しみなレースといえるでしょう。
(写真・文:松永和浩)