■Gr.1の予選がキャンセルになるほどの大豪雨
2020年10月10日~11日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催された、ピレリスーパー耐久シリーズ2020第2戦「SUGO スーパー耐久3時間レース」。
東日本に近づいていた台風が上陸コースをそれたとはいえ、秋雨前線を刺激して朝から強い雨が降るスポーツランドSUGO。ST-4クラスとST-5クラスのGr.2予選はヘビーウェットながらも行われましたが、雨の勢いは強まるばかりでGr.1予選はキャンセルとなり、Gr.1レースのスターティンググリッドは富士24時間レースのリザルトでポジションを決めるという裁定がなされました。
(※グループ分け:Gr.1=ST-X、ST-Z、ST-TCR、ST-1、ST-2、ST-3クラス/Gr.2=ST-4、ST-5クラス)
この強い雨の中、ST-4クラスとST-5クラスのGr.2決勝が10日の午後からスタートとなりましたが、通常スタートでは危険だという判断でセイフティカースタートとなります。
今回のレースは3時間フォーマットで行われ、ドライバー交代を伴う義務ピットインは2回となっており、このセイフティカー導入の間に義務ピットインを消化してしまおうというチームも多く、スタートラップからいきなりピットインというチームもありました。
このSUGO戦出場の全クラスのなかで一番参加台数が多い13台のST-5クラス。その中でもマツダ勢の台数が多く、またそのうち8台がロードスターという、まさにロードスターの天下ともいえる状況で、ポールポジションは村上モータースMAZDAロードスターとなっています。
しかしヘビーウェットとなるとFF車が安定度の高さから有利になってきます。そこで頭角を現してくるのはホンダ FIT3勢。中でもTHE BRIDE FITはホンダ勢の中では予選最速で、4位のポジションからスタートしています。
今シーズンで6シーズン目のチャレンジとなるデミオディーゼル・DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dも今やフィット勢と遜色ないラップタイムでグリッドの中盤あたりからスタートするまでになっています。
しかし勝負の決め手である燃費ですが、ヘビーウェットでは全体のペースも落ち気味でライバルの燃費も向上してしまうのでデミオディーゼルの特色を生かしきれない状況となります。
つまりセイフティカースタートをするような大雨のスーパー耐久ではホンダ FIT3勢が有利ということになります。しかしそう単純に事が進まないところがスーパー耐久の面白さ。
●速さと作戦の妙技がスーパー耐久の醍醐味
レース中盤にセイフティーカーが入ったことにより2周連続でピットインという荒技を繰り出した村上モータースMAZDAロードスター。
これで義務ピットインを消化して谷川達也選手が残り1時間半以上というロングラン体制に入り、この時点で実質トップに躍り出ます。
25秒のアドヴァンテージを持っていた村上モータースMAZDAロードスターに対し猛追をして生きたのがTHE BRIDE FIT。なんと20周足らずで村上モータースMAZDAロードスターに追いつき逆転トップに。
マシンはフィット有利でもドライバーはロードスター有利という印象でバトルが続き、残り時間1時間ほどのところでTHE BRIDE FITがコースアウト。再び村上モータースMAZDAロードスターがトップに。
しかし競り合いではTHE BRIDE FITが強く再びトップへ。結局トップ争いは最後まで1秒未満の接戦でTHE BRIDE FITが勝利しました。
続く3位争いもホンダvsマツダという戦い。スーパー耐久公式のYOUTUBEライブ中継の車載カメラが37号車DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dに搭載されていたおかげでこのバトルは大迫力映像で見ることが出来ます。
こちらもJ’S RACING☆FITにDXLワコーズNOPROデミオSKY-Dの井尻薫選手が猛追を仕掛けていきますがなかなか前に出ることが出来ないというバトルを、大雨の中で1時間弱も繰り広げるという、耐久レースとは思えない展開でSUGOの、そしてネット中継の観客を魅了していきました。
激しい戦いの末に勝利したのはJ’S RACING☆FIT。3位表彰台を獲得しました。
最終的な順位はホンダ、マツダ、ホンダということになり、ヘビーウェットでのホンダの安定感が目立った結果となりました。
DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dは4位になったとはいえ、富士24時間レース優勝の恩恵は大きく、依然シーズンランキングはトップのまま。しかし油断は許されません。
次戦の岡山も激しいバトルを見ることが出来るでしょう。
(写真・文:松永和浩)