■加藤正夫選手がヒルクライム連勝でタイトルに大手!
すでに販売終了から9年となるダイハツの軽自動車「エッセ」を使用し、3カテゴリでエッセ日本一を決めるというモータースポーツ競技が今シーズンから始まりました。それがエッセだけのワンメイクレース「ALL JAPAN ESSE CUP(AJEC)」です。
ダイハツ・エッセは6代目ミラをベースとして開発され、2005年から2011年まで販売された5ドアハッチモデルです。その車名は「ESSENCE(エッセンス・本質)」に由来した造語で、軽自動車の本質を見直したモデルでした。
全長3395mm×全幅1475mm×全高1470mmという軽自動車規格サイズの中では少しコンパクトで、女性ユーザーをターゲットにしたシンプルでリーズナブルな実用車として登場しています。
一部鉄板むき出しの内装などもあり、車両重量は700㎏ほどと軽量で、最高出力58ps/7200rpm・最大トルク6.6kgm/4000rpmの3気筒12バルブKF-VE型エンジンで軽快な走りを見せるモデルでした。
新車販売台数も多かったこともあり、新車販売が終了してしまっている現在でも中古車の流通量も多く、手ごろな価格で入手できる一台です。
このAJECは、ジムカーナ、林道アタック、サーキットトライアルの3カテゴリーでの競技を行い、各ラウンドのポイント制でシリーズを争うシリーズとして、今年2020年よりスタートしたシリーズです。全6戦(1大会2ラウンド)の開催となり、初回となる第1戦および第2戦(ジムカーナ)は6月に開催されました。
そして10月10日(土)、台風14号が接近する中、長野県木曽郡の山中で、そのAJEC第3戦および第4戦が開催となりました。この大会は前大会から変わって、林道アタックのヒルクライムでの2戦となります。
この大会は、ひとつの峠道の行きと帰りのルートを第3戦と第4戦のコースに設定するというもの。コースは基本ヒルクライムとなりますが、ゴール地点までの区間では下りも設定されています。2回の練習フリー走行の後、2本を走行してその計測2本のうちのベストタイムで順位を決めることとなります。
当日朝9時半からスタートした練習走行は、台風の影響もあり時折強い雨に見舞われ、もちろんコースは完全ウェット。さらに山から出た水がところどころコース上を川のように流れています。そんな状況にもかかわらず、参戦各車はいいペースでコースの確認をして行きます。
2本の練習走行を終え、ランチタイムを過ぎると、強かった雨もスッキリと上がり、山から湧き出た水も減少し、路面は依然ウエットのままながらも、徐々にコンディションが良くなっていく展開です。
ジムカーナの第1戦で優勝、さらに第2戦で2位に入ってランキングトップを走る加藤正夫選手(#37 水色エッセ)は「雨の下りって大好きなんで、今日は踏めるだけ踏んだって感じです」と、第3戦1本目2分12秒7で暫定トップタイム。帰りの第4戦1本目でも3分31秒9とこれまたトップタイム。続いての第3戦2本目では2.3秒縮めてダントツのトップタイムで優勝を決めます。
続く第4戦2本目はタイム更新はならなかったものの唯一の32秒台でこのヒルクライムで2連勝。これでほぼタイトルを手中に収める形となりました。
この加藤選手のタイムに続くのは、AJECシリーズ発足のきっかけとなったBRIGヒルクライムシリーズで今季のタイトルを決めた保科学選手(#30 NHKメック スーパーエッセ)。第3戦は1本目は2分18秒1(5番手)、第4戦1本目も3分39秒1(3番手)からスタート、2本目はしっかりタイムアップして第3戦は2分12秒1、第4戦は3分32秒5のタイムで2戦ともに2位を獲得しました。タイトル獲得しているだけに「くやしい」とひと言。
第3戦3位に入ったのは、西脇裕一選手(#32 ウエストサイドレーシング・エッセ肆号機/1本目2分16秒0、2本目2分13秒0)。第4戦で3位に入ったのは中川勇気選手(#33 チームナビックみどりエッセ/1本目3分34秒8、2本目走行ナシ)でした。
2020シーズンのAJECは残り1大会2戦のみとなります。その第5戦&第6戦は、11月28日(土)にモーターランド鈴鹿でのサーキットトライアルとなります。また、この大会では、来季のAJECの概要についても話があり来季は4大会(全8戦)での開催となることが発表されました。