日産自動車の歩み:傑作スポーツカーを生み出し、現在はEVと自動運転技術に注力【自動車用語辞典:日本の自動車メーカー編】

■事業構造改革計画「NISSAN NEXT」を基軸に日産らしさの復活を目指す

●カルロス・ゴーン氏の不正問題を機にルノー・日産・三菱3社連合の脆弱性が露呈

ルノー・日産・三菱の3社連合の2019年の販売台数は、VW、トヨタに続いて世界第3位でした。現在EVと自動運転技術の開発を積極的に推進していますが、2019年は巨額赤字を計上。ルノー・日産・三菱3社連合の再整備や戦略見直しを推進中です。

カルロス・ゴーン氏が去り、今後の立て直しが注目される日産自動車のこれまでの歩みについて、解説していきます。

●会社概要と業績

日産自動車は、ルノー・日産・三菱3連合の中核を担っている大手自動車メーカーです。

・会社名:日産自動車株式会社

・代表取締役社長:内田 誠

・創立:1933年

・資本金(2019.3現在):6,058億1,300万円

・従業員数(2019.3現在):連結13万8910人、単独2万2272人

・販売台数:518万台(2019.1~2019.12)

●起源

ダット自動車商会とダット自動車製造が合併して戸畑鋳物の傘下に入り、同社が新たに自動車製造株式会社を設立。その名称を1939年に変更する形で誕生したのが、日産自動車です。

第1号モデルはダット自動車(脱兎号)で、ダット(DAT)は出資者の田、青山、竹内の三氏の頭文字から取っています。1966年には、プリンス自動車工業と合併して多くの技術者を迎え入れて、技術基盤を強化しました。

●メーカーとしての歩み

創業当初から技術志向の社風があり、1980年代に90年代までに技術で世界一を目指す「901運動」を計画しました。

一時はトヨタと販売数を競った時期もありましたが徐々に差が大きくなり、バブル崩壊時には経営危機に陥りました。1998年には、有利子負債が約2兆円に達し、1999年にルノーの傘下に入りました。

最高経営責任者に、当時ルノーの副社長であったカルロス・ゴーン氏が就任、大胆なリストラと積極的な新型車の投入を行い、V字回復を果たして2003年に負債を完済しました。

2016年、三菱自動車の筆頭株主になり、ルノー・日産・三菱の3社連合ができました。ところが、2018年カルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反で逮捕され、2019年には特別背任法で追起訴されました。多額の報酬のほかにも金銭などを私的に流用していたことなどが問題視され、CEOの座からも追放されます。同氏は2019年末に母国レバノンへ脱出しました。

●往年の代表的なモデル

ダット自動車商会時代の脱兎号に始まり、ダットサントラックやダットサン乗用車をベースに成長を果たしました。

1959_ブルーバード
1959_ブルーバード

・1959年、現代的な3ボックススタイルで、後に長く日産の代表車種になるブルーバードを発売

・1960年には、フェアレディとセドリックを発売

・1965年にシルビア、1966年にはサニーを発売、いずれもモータリゼーションの流れに乗ってヒット

1969_フェアレディZ
1969_フェアレディZ

・プリンスとの合併後、1968年の3代目スカイラインは「ハコスカ」と呼ばれ、現在も語り継がれる名車、1972年の4代目スカイライン「ケンメリ」も大ヒット

・1969年には、スカイラインGT-RとフェアレディZ、2つのスポーツカーを発売

 

1972_スカイライン(ケンメリ)
1972_スカイライン(ケンメリ)

●最近の代表的モデル

1980年代は世界的な好景気の波に乗り、1982年のマーチ、後半にはシルビア、スカイライン、フェアレディZの後継車と次々にヒットを生み出しました。

・1988年のシーマは、バブル期の空前の高級車ブームの象徴的モデル

1990年代に入ってバブルが崩壊し、ヒット商品を生み出せず、経営危機状態に陥りました。カルロス・ゴーン体制下で車種整理が行われ、V字回復を達成しました。

2010_リーフ
2010_リーフ

・2007年、日本を代表するスポーツカー、NISSAN GT-Rデビュー

・2010年、電気自動車リーフ、2016年のシリーズハイブリッド車のノート e-Powerを発売、ノートは乗用車販売数のトップになるなど大ヒット

 

2013_日産デイズ
2013_日産デイズ

・2016年、運転支援システム「プロパイロット」を搭載したセレナを発売


日産自動車は、新しい技術に取り組み、これまでも多くのスポーツタイプの名車を生み出しました。最近は、EVやシリーズHEVなどの電車化技術とプロパイロットに代表される運転支援、自動運転技術に積極的に取り組んでいます。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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