■ブガッティ「ヴェイロン」のW16気筒を超えるエンジン、800SELへの搭載計画
現在、車のエンジンはダウンサイジングが進んでいますが、メルセデス・ベンツは、1990年代に8.0リットルW型18気筒という驚愕のパワートレインを開発していたことがわかりました。
気筒数の多さといえば、ブガッティ「ヴェイロン」の8.0リットルW型16気筒が有名ですが、それより2気筒も多いパワートレーンです。これはW140世代「Sクラス」を生産していた頃に発案されたもので、ドイツエージェントからその設計図を入手しました。
「M216」と呼ばれたこの巨大ンジンは、Sクラスのボンネットの下にフィットさせるため、それぞれバンク角度75.5度の角度で結合された3つの6気筒をW型形状に配置する計画だったようでしたが、設計図の段階で頓挫したといいます。
おそらく、市販化へのコストと供給のバランスが見込めなかった可能性がありそうです。
ドイツ「AutoBild」誌によると、当時メルセデス・ベンツは「800SEL」にパワーの異なる2つのSクラスバリアントを用意し、エンジンを提供することを考えていたようで、1つは最高出力490hp・最大トルク750Nmを発揮、もう1つは最高出力680hp・最大トルク800Nmという強力なモデルです。
W16気筒は夢と終わりましたが、その背景には当時開発していた6.0リットルV型12気筒エンジンが大型セダン、およびスポーツカーのすべての条件を満たすと判断したこともあったようです。
電動化が加速するメルセデス・ベンツやAMGにおいて、もはやこのようなエンジンを見ることはなく残念ですが、今も世界を驚かすパワートレインが計画されているかもしれません。
(APOLLO)