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近年、自動車購入の選択肢として中古車を検討される方が増えています。
新車と比較して購入費用を大幅に抑えられることはもちろん、こだわりの年式やモデルを選べる点も、中古車市場ならではの大きな魅力です。
しかしながら、中古車選びには注意が必要。
定期的なメンテナンスが行き届いていない車両も一定数存在しており、納車後すぐに修理が必要になるケースも少なくありません。
このような想定外の支出を避けるためにも、購入前の入念なチェックが重要です。
本記事では、初めて中古車購入をお考えの方に向けて、以下のポイントを分かりやすくお伝えしていきます。
1.中古車を選ぶ際に必ず確認しておきたい注意点
中古車選びには確認すべき重要なポイントが多く存在します。これらを見落としてしまうと、思わぬトラブルや予想外の出費につながる恐れも。
購入後の「こんなはずじゃなかった」という後悔を避けるためにも、しっかりとした事前確認が欠かせません。本章では中古車を選ぶ際の具体的なチェックポイントと、その確認方法について詳しくご説明していきます。
1-1.修復歴の有無の確認
中古車選びで最も重要なポイントの一つが、修復歴の確認です。
修復歴とは、事故などで車の骨格部分(フレーム)に損傷を受け、修理や交換を行った履歴のことを指します。簡単に言い換えれば「事故後に修復された車両」であることを意味します。
修復歴車は通常、相場よりも安値で販売されているため、一見お得に感じるかもしれません。
しかし、
- 走行時は問題なく見えても、時間経過とともに予期せぬ不具合が発生する可能性
- 安全面での懸念
- 将来的な修理費用の増加
- 売却時の査定額が大幅に下がる
このようなリスクがあることを認識しておく必要があります。
では、修復歴はどのように確認すればよいのでしょうか?
まずは車両の外観を注意深くチェックしてみましょう。
具体的には以下の点に着目してみてください。
- 塗装のムラや色の違い
- 部品の交換痕
- ドアやボンネットの隙間の違和感
ただし、これらは素人目では見分けることが難しい場合も多いため、中古車購入時は専門業者による車両状態チェックを強くお勧めします。
プロの目で入念に点検してもらうことで、修復歴の有無を確実に把握することができるはずです。
1-2.水没車、塩害車かの確認
中古車を選ぶ際の重要なチェックポイントとして、水没車と塩害車の確認があります。見落としがちですが、将来的な故障リスクや維持費に大きく関わってくる部分です。
まず水没車について解説していきます。
水没車とは、台風や洪水などの水害により水没してしまった車両のことで、冠水車や水害車とも呼ばれています。外観が良好に見えても、
- 雑菌繁殖による車内の異臭
- 電装系統(ハーネスなど)のトラブル発生リスク
- 各部品の腐食による耐久性の低下
などのような重大な問題が潜んでいる可能性があります。
水没車を見分けるためのチェックポイントとしては、以下の2点です。
- 車内の臭いチェック:中古車は販売前にクリーニングが行われるため、通常であれば異臭はありません。水没車の場合はシートなどに消えない臭いが残っていることも。エアコンを作動させた際の臭いもチェックしましょう。
- サビ・腐食のチェック:運転ペダル周辺やシートレール部分の異常なサビ、シートベルトを引き出した奥の部分の変色、車体下部やボルト類の腐食などをチェックしましょう。
次に塩害車。塩害車は塩分の付着により錆びや腐食が進行した車両を指します。
主に海沿いの地域で発生しやすく、購入時は問題なくても、2~3年で急激に状態が悪化する可能性も。その際は車両寿命の大幅な低下リスクが懸念されます。
塩害車の確認ポイントとしては、
- エンジンルーム内の錆
- トランクルーム内部の腐食
- 下回りの錆の状態
この3点を入念に確認しましょう。
特にボディの錆はコーティングで隠されている可能性があるため、見えにくい部分の入念なチェックが重要です。
これらの確認を行っても判断が難しい場合は、販売担当者に詳しく確認しましょう。
1-3.走行距離と年式を確認
中古車選びで重要な判断材料となるのが、走行距離と年式です。この2つの要素は車両の状態を推測する上で、非常に重要な指標となります。
走行距離の基準として、一般的に「1年あたり1万km」が目安とされています。例えば5年落ちの車であれば、おおよそ5万kmが平均的な走行距離となります。
ただし、以下のようなケースには注意が必要です。
- 年式の割に走行距離が多すぎる車両:部品の劣化や故障リスクが高まる可能性がある
- 年式が古いのに走行距離が極端に少ない車両:使用頻度が低く、消耗品の交換が適切に行われていない可能性がある
そのため、走行距離と年式は必ずセットで確認し、総合的に判断することが大切です。片方だけを基準にした判断は避けましょう。
また、購入を検討する際は税金面にも注意が必要です。初年度登録から13年以上経過した車両は、一部を除き自動車税・自動車重量税が増額されます。長期的な維持費を考える上で、重要なポイントとなります。
1-4.現車の確認
中古車購入の際は、写真だけでは分からない状態を確認するため、必ず現車確認を行ってください。
修復歴や水没車の可能性は、実際に車を見て、触れて、乗ってみることでより正確に判断できます。
外観の重要チェックポイントとしては、
- ボディの傷やへこみの有無
- 下回りの錆の状態
- ガラスの傷やヒビの確認
- タイヤの劣化状態
- エンジンルームのコンディション
- 各部の隙間や開閉状態(ボンネット、トランク、ドア)
などが挙げられます。
対して、内装の重要チェックポイントとしては、
- シートの状態(汚れ、傷み、異臭)
- 各種装備の動作確認(ドア、エアコン、ウインカー、ハザード、ナビ・オーディオ)
- トランクルームの状態
- ハンドル操作性
など。
特に車内の臭いについては水没車の可能性を示す重要なサインとなるため、入念なチェックが必要です。また、前オーナーが喫煙者だった場合、タバコの臭いが染み付いていることもあります。
気になる点は些細なことでも販売担当者に確認し、十分に納得してから購入を決めましょう。
2.中古車をよりお得に購入できる可能性が高い時期
中古車の価格は、市場の需要や供給、季節要因などによって常に変動しています。そのため、よりお得に中古車を購入したい方は、「いつ買うか」というタイミングにも注目する必要があります。
中古車を比較的安価に購入できる時期と、その理由について詳しくご説明していきましょう。
2-1.3月もしくは9月の決算期や中間決算期
自動車業界の大きな特徴として、3月と9月に迎える決算期があります。この時期は中古車市場においても大きな動きが見られ、購入のベストタイミングの一つとされています。
決算期に購入するメリットは主に2つ。
まず、中古車販売店が販売台数の確保を目指して、様々なキャンペーンや特典を用意していることです。値引きはもちろん、点検やメンテナンスなど、通常より充実したサービスを受けられる可能性が高まります。
次に、中古車の流通量が増加することです。
新車の売り替えが活発になるため、人気モデルから希少車までより幅広い選択肢の中から理想の一台を見つけられる可能性が高くなります。
このようなチャンスを逃さないためにも、決算期が近づいたら中古車販売店のウェブサイトや広告をこまめにチェックしてみてください。
2-2.10月や11月に新車登録された車両は特に年度末がおすすめ
年末は中古車購入の絶好のタイミングといえます。その最大の理由は、年式の変わり目による価格変動にあります。
車両価格は年が明けると同時に下がる傾向にあるため、多くの販売店では12月のうちから価格調整を始めます。
特に注目したいのが、10月や11月に新車登録された車両。
これらの車は年末を越えると「1年落ち」となってしまいますが、実際の使用期間はわずか2~3ヶ月。つまり、ほぼ新車同様のコンディションの車両を年落ち価格で購入できるチャンスなのです。
このように年末は、状態の良い車両をお得な価格で見つけられる可能性が高い時期となっています。
2-3.中古車販売店が行うセール時期
中古車販売店が独自に実施するセールを活用することで、お得に購入できるチャンスがあります。
主なセールとしては、新店舗オープンセール、在庫一掃セール、新生活応援セールなどが挙げられます。
これらのセールでは車両価格の値下げだけでなく、ドライブレコーダーやナビなどの購入特典が付くことも。そのため、実質的な値引き幅が大きくなる可能性があります。
ただし、販売店独自のセールは各店舗の戦略によって実施時期が異なる点には注意が必要。
気になる中古車販売店があれば、そのウェブサイトや広告をこまめにチェックすることで、お得な購入機会を逃さずに済むでしょう。
3.希望の車種と出会うためにはオンライン中古車サイトの活用も。より良い検索をするためのポイント
中古車を探す際、グーネット(ここにパラメータ付きリンク挿入)などの中古車検索サイトを利用するがおすすめ。しかし、膨大な物件情報の中から理想の一台を見つけるには、効率的な検索方法が欠かせません。
まずは自分が求める車の条件を明確にしましょう。予算はもちろん、走行距離、年式、装備品(カーナビなど)といった具体的な条件を決めておくことで、より的確な車選びができます。
それでは、中古車検索サイトで条件を絞り込む際の重要なポイントについてご説明します。
3-1.無理のない予算を決めて探す
まずは自分の予算をしっかりと定め、その範囲内で検索することが賢明です。
中古車の価格帯は幅広く、数十万円から300万円以上、希少性の高い車種によっては1000万円を超えるものまで存在しており、実に様々な選択肢があります。
価格によって車の状態も大きく異なります。
比較的安価な数十万円台の車両は、年式が古めだったり走行距離が長めだったりする傾向にあります。反対に、高価格帯では希少性の高い車種を除き、比較的年式の新しい、いわゆる新古車に近い状態の車両が中心となります。
予算を超える車両を検討する場合は、ローンの利用も選択肢の一つしょう。
ただし、ローンを組む際は月々の返済額をしっかりと計算し、無理のない支払い計画を立てることが重要です。
また、同じモデルでも販売店によって価格設定は異なります。できるだけ多くの販売店の車両を比較検討することで、より良い条件での購入につながるでしょう。
3-2.走行距離や年式を比較する
前述したように、走行距離を確認しておくことも中古車購入の際は重要なポイントです。
走行距離が長くなればなるほど、価格は安くなる傾向にありまずが後々にトラブルのリスクが高まることを覚えておきましょう。
絞り込みをする際は走行距離5万~6万kmを目安に検索することを推奨します。また、走行距離を確認する際に年式も併せてチェックしてください。
3-3.希望の装備で絞り込む
走行距離は中古車選びの重要な判断基準の一つです。
走行距離が長くなると車両価格は安くなりますが、その分、将来的な故障や修理のリスクも高まる傾向にあります。
中古車検索の際は、走行距離5万~6万kmを目安に絞り込むことをおすすめします。これは一般的に部品の消耗や劣化が顕著になる前の、比較的コンディションの良い状態で乗り続けられる目安となる距離です。
また、走行距離を確認する際は必ず年式と照らし合わせて判断してください。年間1万kmが平均的な走行距離とされており、これを基準に車両の使用状況を判断することができます。
3-4.欲しい車が見つかったら見積もりを依頼する
理想の中古車が見つかったら、具体的な商談に向けて次のステップに進みましょう。多くの中古車検索サイトでは、ウェブ上で簡単に在庫確認や見積もりの依頼ができます。
ただし、実際の購入費用には本体価格以外にも様々な諸費用が発生することを覚えておきましょう。
車庫証明や登録費用、自動車税、重量税など、必要な諸費用も含めた総額が予算内に収まるかどうかをしっかりと確認することが重要です。
早めに見積もりを取得し、総費用を把握しておくことで、スムーズな購入判断につながります。
ただし、希望額以内での見積もりが出てきたとしてもすぐに購入を決定してはいけません。写真上車に破損がないように見えたとしても、実は水没車だったなどという可能性もあります。面倒に思えるかもしれませんが、必ず現車確認を行なってください。
まとめ
中古車の購入は初期費用を抑えられる魅力的な選択肢です。しかし同時に、購入後の予期せぬトラブルや安全性の問題にも目を向ける必要があります。
写真で見る限り状態が良好に見える車両でも、実際には内装に様々なダメージを抱えているケースがあります。特に修復歴車や水没車といった災害車は、外観からは判断が難しく、慎重な確認が必要です。
そのため、必ず実車を確認してから購入してください。外装や内装を自分の目で直接チェックし、不自然な錆や異臭がないかなど、細かな部分まで注意深く見ていきましょう。
少しでも気になる点があれば、その場で販売担当者に質問し、十分に納得してから購入を決めることが大切です。
この記事でご紹介した内容が、安心できる中古車選びの参考になれば幸いです。