4代めエクストレイルのプロパイロットパーキングは脱帽もの! さすが「技術の日産」!!【新車リアル試乗 10-8 日産エクストレイル プロパイロットパーキング編】

■エクストレイルのプロパイロットパーキングを試す

その精度の高さにぶったまげました。
その精度の高さにぶったまげました。

リアル試乗・エクストレイル第8回目は、プロパイロットパーキングを試します。

車庫入れ、駐車操作に付随する話なので、いわば今回は車庫入れ編のショート延長戦です。

いやあ、久しぶりに「技術の日産」を認識させられた出来でした。

●驚愕! 完璧! な自動駐車システム

スイッチ操作をすればクルマ自身が車庫入れ操作をしてくれるデバイスの初ものは、2代めプリウスに搭載されたインテリジェントパーキングアシストです。その後改良はされていますが、基本的にはバックカメラ画像から把握した駐車位置をねらってハンドル操作をするだけのもの。エリアセンサーも持っていなかったので、そもそものスタート位置と駐車枠の位置関係がシステムの望むとおりでなければ平気でフェンスにバックしていくような、何ともトホホなものでした。

その後カローラではエリアセンサーを与えて空間認識機能も併用する改良型も登場しましたが、クルマによりけりでいまのToyota Safety Senseに含まれる自動駐車デバイスは、2代めプリウスの「トホホ」などすっかり過去のものというほど確実性の高いものになっています。

で、こちら日産のプロパイロットパーキング。

プロパイロットが行うことができる駐車操作は、通常の「車庫入れ」「縦列駐車」、アタマからスペースに突っ込む「前向き駐車」の3種類。

ここではいちばん使用頻度が高いと思われる車庫入れ操作を、街の駐車場で、あえて取扱説明書を見ないで試してきました。

プロパイロットパーキングに必要なセンサーは、要するにインテリジェントアラウンドビューモニタ用のセンサーがそのまま使われる。
プロパイロットパーキングに必要なセンサーは、要するにインテリジェントアラウンドビューモニタ用のセンサーがそのまま使われる。
リヤ用。
リヤ用。

プロパイロットパーキングに必要なセンサーはインテリジェントアラウンドビューモニターとまったく同じ。すなわちNISSANマーク下のフロントビューカメラ、左右ドアミラー下面ひとつずつに取り付けられたカメラ、バックドアのリヤビューカメラ。そして前バンパーに6つ、後ろバンパーに6つ、計12のソナー。

プロパイロットパーキングスイッチ。
プロパイロットパーキングスイッチ。

車内にまわり、操作に必要なのはシフトレバー前方の、ハンドルの絵に「P」が重なった「AUTO」ボタン(プロパイロットパーキングスイッチ)、そしてモニターに映ったプロパイロットパーキング画面のチョンチョンタッチのみ。

ボタン類が少ない分操作も極めて簡単で、クルマを入れたいスペースが見えてきたら停車し、「AUTO」ボタンを押す。これが第1ステップ。


スイッチを押すと画面がこのようになる。
スイッチを押すと画面がこのようになる。

ボタンを押すとプロパイロットパーキング画面に変わって自車マークと周辺、フロントビューが映し出され、このとき自車が駐車枠に対して半端な位置にあれば、少し前進すると駐車が可能なスペースや他の駐車可能枠の候補を知らせてきます。可能枠が真横に来ればPマークが表れ、無視して通過すればPが○に変わって次の枠の真横にPが表れる。ここで〇をタッチすればPマークに変わる。

たまたまクルマが認識しなければドライバーのほうで指定することも可能で、左上の「△▽」をチョンチョンタッチすれば微調整で決めることもできる・・・このへん、操作にめんどうくささがいっさい感じられず、直感的に操作することができます。

今回は試すためにいろいろとやってみたわけですが、たいていの場合はドライバーが停めたいと思った場所とクルマが「ここ!」と考える場所は一致することでしょう。

車両サイド(ここでは左側)の2本の点線の間に区画線が入るようにする(約1m)とシステムは駐車位置の検出がしやすくなるが、そうでなくとも認識度は高かった。
車両サイド(ここでは左側)の2本の点線の間に区画線が入るようにする(約1m)とシステムは駐車位置の検出がしやすくなるが、そうでなくとも認識度は高かった。

写真のモニター画像で、車両両脇それぞれに、緑の点線2本があります。後で取扱説明書を見ると「2本の点線の間に駐車枠が入るようにすると駐車位置を検出しやすくなる」とありましたが、写真のようにいくらか無視してもきちんと駐車しました。かなりの柔軟性を有しているようです。

停めたい場所のPを決めたらその枠の前でいったん停止し、第2ステップとして画面内の「駐車開始」をタッチ。静かにブレーキペダルを離すとクルマ任せのパーキング操作が始まります。

通常のドライバーによる駐車操作同様、まずいったん右斜め前(左後退駐車の場合)に出るところから自動操作スタート。「さてさて、どこまで自動でやってくれるのかいな?」と膝に手を置いて観察すると、前進してハンドルが勝手にぐるぐるまわるのにはいまさら驚きはしませんが、いったん右斜め前に出てハンドルを切り替えし、再度バックに入れる、あるいは途中の切り返し・・・一連の駐車操作すべてを自動でやってのけました。つまりその途中のシフトDからRへの切り替えまでをもクルマ自身がやってくれたわけ。「トヨタより進んでいるな」と思いましたが、考えて見たら、以前ここで採りあげたヴォクシーはガソリン車。電気シフトでないこともあり、シフト操作だけはドライバー頼りでしたが、ハイブリッド車になると電気シフトになるので、確かめてはいませんが、もしかしたら自動でDとRを切り替えるかもしれません。

それはさておき、プロパイロットパーキングは狙うスペースへの収容も正確で、左右ドアミラーを見ればボディと駐車枠との間隔も左右均等・・・ではありましたが、駐車完了後にクルマを降りて外から見ると、最終的には枠線の中央からわずかに右にオフセットしていたのはご愛敬。何度か自動切り替えししている間に右寄りになったようですが、まァ許容範囲です。先端も枠線に対してちょうどいい位置に収まっています。いずれにしてもヘタなひとの入れ方よりよほどきれいに収まっており、初めてプロパイロットパーキングを使ったひとは「やるな、エクストレイル!」と思うでしょう。

ここまでの一連を外から見たときの様子をお見せします。

●感心した点

ヴォクシーも同じでしたが、何かの理由で動作中にドライバーが本能的にブレーキを踏んでもキャンセルしないこと、実は前回の「車庫入れ編」では触れませんでしたが、この車庫でプロパイロットパーキングを試したとき、段差や勾配があってもそれが些少ならキャンセルすることなく継続したことに感心。これが縁石ほどの高さだとさすがにキャンセルしますが、しかし段差のない駐車場ではかなり実用性が高いと見ました。

これまでこの手のデバイスは正確性に欠けていたり、「ここは人手頼りか」という部分があったりと、期待外れのものが少なくなかったのですが、いまのところ自動駐車アシストデバイスとしては日産がいちばん進んでいるのではないかというのがプロパイロットパーキングを試しての感想でした。

もうひとつ感心したのは、乗る人間に不安やがっかり感を微塵も抱かせることないほど高度な働きを見せるデバイスの割に、操作が実に簡単なことです。メインのスイッチを押し、モニター上のターゲットスペースに指1本チョンすればそれでおしまい。たまたま自車とスペースの位置関係がずれていれば微調整もできますが、それとてチョンチョンタッチのシンプル操作。誤認識もしない。プロパイロットのアダプティブクルーズコントロールと違い、こちらはおそらく初めて乗るひとでも取扱説明書を見ずして操作できると思います。

いつもと同じく、試乗に撮影、記事書きに画像加工、すべてをひとりで行っていて、実践は外で確認してくれるひとがいないため、間違いが起きないよう、両脇にクルマがない3台スペースの中の真ん中を使いましたが、実感からすると、満車に近い駐車場で、運よくやっと見つけた、たった1台分のスペースにも正確に入ってくれそうな仕上がりでした。

単独行動の制約から「縦列駐車」「前向き駐車」は試しませんでしたが、少なくとも「車庫入れ」機能についてだけいうなら、「ここがこうであれば」「ここは要改良」などと難癖つける部分はただのひとつもありはしません。

開発陣が「やっちゃえNISSAN」の意気込みで造った・・・かどうかは知りませんが、プロパイロットパーキングを試した筆者の感想は、「やったな、日産!」。

拍手!

「リアル試乗」にしてはめずらしくほめっぱなしのまま、次回「ユーティリティ編」になだれ込みます。

おしまい。

(文/写真:山口尚志

【試乗車主要諸元】

■日産エクストレイル G e-4ORCE アクセサリー装着車〔6AA-SNT33型・2022(令和4)年7月型・4WD・ステルスグレー&スーパーブラック2トーン/ブラック内装〕

★メーカーオプション(税込み)
・アダプティブLEDヘッドライトシステム(オートレベライザー付):3万3000円
・クリアビューパッケージ(リヤLEDフォグランプ):2万7500円
・BOSE Premium Sound System(9スピーカー):13万2000円
・ステルスグレー/スーパーブラック 特別塗装色:7万7000円
・ルーフレール+パノラミックガラスルーフ(電動チルト&スライド、電動格納式シェード付):18万1500円

★販社オプション(税込み)
・グリルイルミネーション(インテリジェント アラウンドビューモニター付車用):6万3840円
・日産オリジナルドライブレコーダー(フロント+リヤ):8万6302円
・ウインドウ撥水 12ヶ月(フロントガラス+フロントドアガラス撥水処理):1万1935円
・ラゲッジトレイ:1万7800円
・デュアルカーペット:3万9800円
・滑り防止マット:1980円
・アドベンチャーズパッケージ(リモコンオートバックドア・インテリジェント アラウンドビューモニター付車用):16万3118円(セット内容:フロントアンダーカバー、リヤアンダーカバー、フロントバンパーフィニッシャー(ブラック))
・フードディフレクター:2万9800円

●全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm ●ホイールベース:2705mm ●トレッド 前/後:1585/1590mm ●最低地上高:185mm ●車両重量:1880kg ●乗車定員:5名 ●最小回転半径:5.4m ●タイヤサイズ:235/60R18 ●エンジン:KR15DDT型(水冷直列3気筒DOHC) ●総排気量:1497cc ●圧縮比:8.0-14.0 ●最高出力:144ps/2400-4000rpm ●最大トルク:25.5kgm/2400~4000rpm ●燃料供給装置:ニッサンDi ●燃料タンク容量:55L(無鉛レギュラー) ●モーター型式(フロント):BM46 ●種類:交流同期電動機 ●最高出力:204ps/4501-7422rpm ●最大トルク:33.7kgm/0-3505rpm ●動力用電池(個数/容量):リチウムイオン電池(-/-) ●モーター型式(リヤ):MM48 ●種類:交流同期電動機 ●最高出力:136ps/4897-9504rpm ●最大トルク:19.9kgm/0-4897rpm ●動力用電池(個数/容量):リチウムイオン電池(-/-) ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):18.3/16.1/19.9/18.4km/L ●JC08燃料消費率:-km/L ●サスペンション 前/後:ストラット式/マルチリンク式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク ●車両本体価格478万8700円(消費税込み・除くメーカーオプション)