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■オフローダーから、クロスオーバーSUVへ変貌した2代目
2007(平成19)年2月22日、ホンダからクロスオーバーSUVの2代目「クロスロード」が発表、翌日から発売されました。
初代クロスロードは、英国のランドローバー社「ディスカバリー」のOEM車でしたが、2代目はホンダ自社開発のクロスオーバーSUVへと変貌しました。
●RVブームに乗り遅れたホンダのRVはOEMからスタート
1991年にバブルが崩壊、日本市場はスポーティなクーペや高級車からRVブームへと移行、特に三菱「パジェロ」やトヨタ「ハイラックスサーフ」など、4WDのオフロード車が大きな人気を集めていました。
当時オフロード4WDを持たなかったホンダは、RVブームに乗り切れず、販売シェアは急降下。すぐにRVの開発に注力し始めますが、当面の急場を乗り切るため、1993年にいすゞとの間で商品の相互補完に関する契約を締結し、4WD車をOEM供給で受けることを決めます。
同年には、いすゞ「ミュー」をコンパクトなSUV「ジャズ」の車名で、1994年には「ビッグホーン」を本格オフロード車「ホライゾン」として販売を始めました。
●初代は、ランドローバー・ディスカバリーのOEM車
ホンダは、いすゞだけでなく同時期にランドローバー社からもOEM供給を受けていました。欧州での4輪生産の足掛かりとするため、1979年にランドローバーと技術提携を締結。1990年には資本提携を結び、コラボモデルも投入されました。
1993年にランドローバーの本格オフローダー「ディスカバリー」のOEM供給を受けて、クロスロードとして販売を始めました。初代クロスロードは、基本的にはディスカバリーと同じスペックを持つ本格的な4WDオフローダーです。
低速から高いトルクを発揮するトルクフルな3.9L V8 OHVエンジンを搭載し、センターデフ・ロック付フルタイム4WDを装備。さらに、堅牢なラダーフレームや4輪ビームアクセルリジット&コイルサスペンションなどによって、本格的な走行性能と走破性が魅力でした。
初代クロスロードは、オフロード走行を好むユーザーから高い評価を受けましたが、1998年にランドローバーがBMWに売却されたため、ホンダとの提携関係は解消し、堅調な販売を続けながらクロスロードは同年に販売を終えました。
●2代目は、自社開発でクロスオーバーSUVに変貌
初代の販売終了から9年後の2007年に登場した2代目クロスロードは、ホンダの自社開発で初代の頑強なオフローダーから日常ユースを重視した、扱いやすいクロスオーバーSUVへと変貌しました。
ミニバン「ストリーム」のプラットフォームをベースに、パワートレインは1.8L&2.0L直4 i-VTECエンジンと5速ATの組み合わせ、駆動方式はFFと4WD。3列7人乗りで、“スカルプチャル(彫刻のような)・タフ・フォルム”と呼んだシャープなスタイルによって、クロスオーバーらしさをアピールしたのです。
車両価格は、184万~234万円(FF)/215万~278万円(4WD)。しかし、当時はトヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」のような都会的な雰囲気のソフトなSUVが流行っていたため、ややオフローダーよりだったクロスロードの人気は限定的でした。また、当時人気の「ハマーH2」に似ていると言われ、パクリを連想させたのもマイナス要因になったかもしれません。
今でもクロスロードを時々街中で見かけることがありますが、決して古臭くなく、むしろ新鮮に見えます。それを裏付けるように中古車市場では、結構な人気があるようです。登場が早すぎたのかもしれません。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)