メルセデス・ベンツGLCに最強スペック「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE」を追加

■システム最高出力は500kW、最大トルクは1020Nmに到達

メルセデス・ベンツは、プレミアムミドルサイズSUVの「GLC」に、最強のスペックを誇る「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE(GLC 63 S E)」を2024年2月15日に発売しました。なお、もう少しマイルドな性能(それでも十分に速い)が与えられた「メルセデス AMG GLC 43 4MATIC」も同日から発売されています。

「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE」のエクステリア
「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE」のエクステリア

「GLC 63 S E」に搭載されるパワートレーンは、2.0Lの4気筒ガソリンターボに、交流同期モーターとAMG自社製の高性能バッテリー(容量6.1kWh)、パフォーマンス志向の連続トルク可変配分四輪駆動システム「4MATIC+」が組み合わされています。

このバッテリーは、航続距離を最大化することより、速やかな放電と充電を行えることを重点に設計されたもので、EV走行可能距離も16kmを確保。深夜や早朝の住宅地などで静かに走行したい際に重宝します。また、充電は交流充電による3.7kWに対応しています。

システム出力は680PS(500kW)、最大システムトルク1020Nmに達しています。0-100km/h加速は3.5秒でクリアします(スペックはいずれも欧州仕様値)。

定格出力80kW、ピーク出力150kW(最長10秒間)の交流同期モーターはリヤアクスルに配置され、電動シフト式2速トランスミッション、電子制御式リミテッドスリップデフとともに、コンパクトなエレクトリックドライブユニット(EDU)にまとめられています。

●8つの走行モードを用意

「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE」の外観
「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE」の外観

走行モードの「AMG ダイナミックセレクト」には、電動を意味する「Electric」、快適性重視の「Comfort」「Battery(バッテリーホールド)」、 「Sport」「Sport+」「Race」「Slippery(滑りやすい)」「Individual」の8モードが設定されています。ドライブモードによって、駆動システムとトランスミッションのレスポンス、ステアリング特性、サスペンションの減衰特性、サウンドなど、主要なパラメーターが変更されます。

モードの選択は、メディアディスプレイのスイッチと「AMG ドライブコントロールスイッチ」で操作できます。

ハイブリッド化されたことで、運動性能の制御にも寄与しています。4輪いずれかのスリップが過大に増加すると、「ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)」によるブレーキ介入に代わって、モーターによるトラクション制御を実施。

リヤのリミテッド・スリップ・デフを介して、後輪に伝達されるモーターの駆動トルクを制御システムにより低減させることで、ESPの介入は基本的に不要になり、限界付近でようやく介入することになります。ESPの介入を限定的にすることで、エンジン出力を絞る制御が最小限となるため、エンジンの高トルクを保ったままの走りが可能に。もちろん、回生ブレーキにより制動時のエネルギーがバッテリーに充電されます。

さらに、統合型車両運動特性制御システムの「AMG ダイナミクス」も搭載されています。ESPの制御戦略、四輪駆動、リヤの電子制御式リミテッドスリップデフが最適化され、車両の安定性を損なうことなく俊敏性を高めることができます。

「AMG ダイナミクス」は、速度や横方向加速度、ステアリングの舵角、ヨーレートなどを検出するセンサーを使用し、高度な制御を行うことで、ドライバーの入力やセンサーからのデータをもとに、意のままの挙動を先取りすることが可能。優れたコーナリングと最適なトラクション、 高い安定性を伴う信頼性の高いドライブフィールが得られます。

外観で特徴的なのは、ハイグロスクロームの縦ルーバーを備えたAMG専用フロントグリルとフロントスポイラーリップ。「メルセデスAMG」のパフォーマンスモデルであることを雄弁に主張し、アグレッシブな表情を生んでいます。

サイドビューでは、メルセデス・ベンツGLCから30mm伸長された伸びやかな全長と、フロントフェンダーに専用の「TURBO E PERFORMANCE」エンブレムが目を惹きます。足元には、21インチのAMGアルミホイールを用意し、ホイールアーチが先代のブラックからボディ同色になったことで、スタイリッシュな雰囲気を漂わせています。

リヤビューは、パフォーマンスハイブリッドを示す赤く縁取られた「GLC 63 S」のエンブレム、ボディ同色のAMGスポイラーリップ、マットブラックのコントラストが鮮烈なリヤエプロン、台形のデュアルテールパイプが引き締めています。

●太いグリップとナッパレザーの「AMG パフォーマンスステアリング」を装備

「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE」のインテリア
「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE」のインテリア

インテリアは、上下2つのゾーンに分けられたダッシュボードが特徴的です。アッパーは翼のような形状に、 航空機エンジンのナセルを想起させる丸みをつけた横長の角型エアアウトレットが新たに配置されています。さらに「ARTICO」表皮が施され、スポーティで上質なインテリアを演出。

ロア部には、大きなインテリアトリムが配置され、センターコンソールからダッシュボードまで連続しています。また、ドライバーを重視することでスポーツ感を強調すべく、ダッシュボードと縦型の11.9インチのメディアディスプレイを6度、ドライバー側に傾けたデザインを採用。

12.3インチの大型コクピットディスプレイは自立型で、ダッシュボード上部と大きなインテリアトリムの手前に浮かんでいるように配置されています。

コクピットディスプレイとメディアディスプレイは、5つのスタイル(ジェントル、スポーティ、クラシック、Supersport、 Offroad)と3つのモード(ナビゲーション、アシスト、サービス)の中から選択すること ができます。

太いグリップに上質なナッパレザーを採用した「AMG パフォーマンスステアリング」には、ステアリングから手を離さずにメニューや対話型インフォテイメントシステムである「MBUX」の各機能を操作できるマルチファンクションステアリング機能、AMG専用のドライブコントロールスイッチが標準装備されています。

また、シートは、サポート性に優れ、サーキットでのスポーツ走行時でも安定したドライビングポジションを維持でき、ロングドライビングでも疲れにくい「AMGナッパレザースポーツシート」を標準化。また、ホールド性を高め、電動調整機能を備えた専用の「AMGパフォーマンスシート」がオプション設定されています。

GLCで最強のスペックを誇る「メルセデス AMG GLC 63 S E PERFORMANCE」は、スポーツカー顔負けの性能を享受できるモンスターSUVです。

●価格:1780万円

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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