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■神奈川都市交通が世界初の燃料電池ハイヤーを運営
2007(平成19)年2月20日、日産自動車はハイヤー仕様の燃料電池車「エクストレイルFCV」を神奈川都市交通へ納車したことを発表しました。
エクストレイルFCVは、2004年から神奈川県や横浜市に限定販売を始めた2005年モデルで、FCVのハイヤー運営は世界初の試みです。
●2004年に限定的なリース販売を開始したエクストレイルFCV
FCEVのベースとなったエクストレイルは、2000年にデビューして人気を獲得したライト感覚のSUVです。
日産は、1990年中頃から本格的なFCEVの開発に取り組み、エクストレイルFCVは中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2005」に基づいて開発され、2002年に燃料電池車として国土交通省大臣の認定を取得しました。
エクストレイルFCVは、燃料電池とリチウムイオン電池を組み合わせたハイブリッド方式で、燃料タンク位置に350気圧の水素タンクを搭載、リチウムイオン電池は床下に搭載。出力85kWのモーターをエンジンルームに搭載して前輪駆動で走行し、最高速度145km/h、水素満充電時の航続距離は350km程度でした。
その後、国内外の公道試験で信頼性を高め、2004年に神奈川県や横浜市などに限定リース販売を開始しました。
●性能を向上させたエクストレイルFCVを神奈川都市交通に納車
改良を進めたエクストレイルFCVの2005年モデルでは、燃料スタックをそれまでの米国“UTC Fuel Cells社”製から、自社開発の燃料電池スタックに変更して、最高出力を63kWから90kWに向上。さらに水素タンク圧力も700気圧に上げて、満充電時の航続距離は500km超まで改善されました。
2005年モデルは、2006年4月より本社ギャラリーにおいて一般のお客様向けに体験試乗会を開催するなどして、FCEVの魅力や性能をアピールしていました。そして2007年のこの日、神奈川都市交通に納車し、燃料電池車として世界で初めてハイヤーとしての営業を開始したのです。
運行は、FCEVの実証試験という位置付けでもあったので、2011年1月17日に約4年間の実証試験を終了。同年2月5日からは、タクシーとして電気自動車「リーフ」の運行を始めました。
●トヨタやBMWもFCEVタクシーの運用を開始
トヨタも、2011年1月29日より、成田国際空港を拠点に実施される「FCVハイヤー実証」プログラムにFCEV「トヨタFCHV-adv」を提供して、FCEVハイヤー運営を開始。FCHV-advは、最高出力90kWのトヨタFCスタックに700気圧の水素タンクを搭載することで、航続距離は約830kmを実現しています。
その他、最近になって神戸MKがポートアイランドにある本社の隣接するエリアで、2023年5月10日よりトヨタ「MIRAI(ミライ)」2台のタクシーの運用を開始。ミライをタクシーとして運用するのは、関西の法人タクシーとして初めてです。さらに2023年8月には、BMWのFCEV「THE iX5 HYDROGEN」を導入し、ビー・エム・ダブリュー株式会社と共同で実証実験を開始しています。
FCEVの普及にとって課題のひとつは、水素インフラの整備であり、いまのところ水素ステーションの数が限られていることがあります。ですが、ハイヤーやタクシーなら走行範囲が限られるので、水素ステーションがあるエリアに限定すれば運用しやすいと思われます。タクシー業界もカーボンニュートラルに積極的に取り組んでいるのです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)