ホンダの「クイントインテグラ」デビュー。人気のインテグラの基盤を作ったクイントインテグラ(初代インテグラ)は119.8万~157.5万円【今日は何の日?2月19日】

■ファミリーカーのクイントからスポーティに変貌したクイントインテグラ

1985年にデビューした「クイントインテグラ」(初代インテグラ)
1985年にデビューした「クイントインテグラ」(初代インテグラ)

1985(昭和60)年2月19日、ホンダの「クイント」がモデルチェンジして、車名にインテグラを加えた「クイントインテグラ」としてデビュー、発売は翌日から始まりました。

モデルチェンジを機に、ファミリーカーだったクイントをスポーティなモデルへと変身させたのです。


●クイントの販売不調を挽回するために登場したクイントインテグラ

1980年にデビューした初代「クイント」。「シビック」と「アコード」の中間の位置づけで登場
1980年にデビューした初代「クイント」。「シビック」と「アコード」の中間の位置づけで登場

クイントは、「シビック」と「アコード」の中間に位置するハッチバックのコンパクトカーでしたが、中途半端な位置づけであったようでもあり、販売は振るいませんでした。挽回のためにモデルチェンジして誕生したのが、クイントインテグラです。

クイントインテグラは、先代の実用性重視のファミリーカーから一転、スタイリッシュなフォルムのスポーティなモデルへと変貌。低いノーズで当時流行っていたリトラクタブルヘッドライトを採用し、3ドア/5ドアハッチバックと4ドアセダンの3つのスタイルが用意されました。

クイントインテグラの流麗かつスポーティなスタイリング
「クイントインテグラ」の流麗かつスポーティなスタイリング

パワートレインは、すべてDOHCの1.6L直4エンジンと5速MTおよび3速AT(後に4速AT)の組み合わせで、駆動方式はホンダが得意とするFF。こうして出来上がったクイントインテグラは、すでに人気を獲得していた「プレリュード」よりも小気味よい走りで高い評価を受け、国内外でヒットしたのです。

車両価格は、119.8万~157.5万円に設定、ちなみに当時の大卒の初任給は14万円程度(現在は約23万円)でした。

●2代目は、“カッコインテグラ”で人気爆発

クイントインテグラが初代インテグラとなり、1989年に登場した2代目では車名からクイントが外れて、「インテグラ」となります。

1989年にデビューした2代目「インテグラ」
1989年にデビューした2代目「インテグラ」

2代目インテグラは、リトラクタブルヘッドライトを廃止、代わりに横長ワイドのヘッドライトを採用。スポーティなロー&ワイドのウェッジシェイプのフォルムに、3ドアクーペと4ドアハードトップが用意されました。

エンジンは、1.6L直4 SOHCのデュアルキャブ仕様と電子制御噴射PGM-FI仕様、そして最上級グレードには新開発の1.6L直4 DOHC VTECを搭載。160PSを発揮したVTECエンジンは、NA(無過給)で初めてリッター100PSを超えたエンジンであり、“エンジンのホンダ”を世界に再認識させた名機です。

インテグラは、TVコマーシャルに当時「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で人気となったマイケル・J・フォックスを起用し、CM中の“カッコインテグラ”のフレーズとともに、爆発的な人気を記録。また、上皇陛下の愛車としても有名になりました。

●5代目インテグラが北米で復活、でも日本投入は期待薄か

1993年に3代目、2001年に4代目へと移行しましたが、この頃には市場のクーペ人気は低迷したため、2006年インテグラは生産を終了しました。

2021年に北米で復活した5代目「インテグラ(アキュラ・インテグラ)」
2021年に北米で復活した5代目「インテグラ(アキュラ・インテグラ)」

一方北米では、初代インテグラ(クイントインテグラ)が、1986年に北米で開業したホンダの高級ブランド“アキュラ”から「アキュラ・インテグラ」として販売されて、米国でも人気を獲得していました。

その後、北米でも販売は休止されましたが、2021年に5代目インテグラ(アキュラ・インテグラ)が15年ぶりに復活し、2023北米“カー・オブ・ザ・イヤー”を受賞しました。

その新型インテグラが、2023年6月に突然青山にある「ホンダウエルカムプラザ青山」で展示されました。もしや日本でも復活するのではと話題になりましたが、ホンダは北米カー・オブ・ザ・イヤー受賞記念によるもので、今のところ日本の発売はないと説明しています。


1970年代にファミリーカーの「シビック」と「アコード」で成功したホンダが、1980年代に入ってからは「プレリュード」と「インテグラ」を投入して、スポーティ路線で大ヒットを飛ばしました。まさにこの頃に、ホンダのスポーティで若い企業イメージが定着したのではないでしょうか。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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