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■セカンドシートの乗り心地とともに使い勝手も大幅に向上
2022年9月に販売終了したホンダのフラッグシップミニバンであるオデッセイ。2023年12月、約1年3ヵ月ぶりに中国で生産され輸入されるモデルとして復活しました。
そこで今回は、オデッセイを愛車としているドリキンこと土屋圭市さんに、改良前後で乗り心地の違いや使い勝手をインプレッションしてもらいつつ、新旧モデルで全方位で比較してみました。
再販売した現行型ホンダ・オデッセイは、2013年に登場。
上級モデルのエリシオンとのモデル統合によって、先代までの立体駐車場に対応したスタイルから、シリーズ初となるリアスライドドアを採用したスタイルへと変化しました。
2015年には、ホンダの先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」を搭載。そして2016年には2Lガソリンエンジンと走行用/発電用2つのモーターを組み合わせたハイブリッドシステム搭載車を追加しています。
2017年11月のマイナーチェンジで、内外装の変更に加えて、運転支援システムであるホンダセンシングの機能を充実。さらに、歩行車事故低減ステアリングの機能を追加し全車標準装備となりました。
さらに2020年11月に2度目のマイナーチェンジを実施。外観デザインは、厚みのあるフードと押し出し感のある大型フロントグリルを採用した力強いフロントマスクが特徴です。前後のウインカーには、内側から外側に向かって流れるように点灯するシーケンシャルターンシグナルランプを標準装備し、先進性を主張しています。
インテリアでは、インストルメントパネルのデザイン変更をはじめ、触り心地の良いソフトパッドを手の触りやすい位置に配置するなど、質感を向上させています。コンビメーターパネルは、7インチの高精細フルカラー液晶パネルを採用。アナログスピードメーターとの組み合わせにより、情報がわかりやすくなりました。
快適装備では、ドアノブに触れることなく流れる光に手をかざすことで、パワースライドドアの開閉が可能となるジェスチャーコントロールパワースライドドアを国内初採用しています。
そして安全装備では、運転支援システムの「ホンダセンシング」に後方誤発進抑制機能を追加し、全方位の安全性を実現しています。
現在、この2度目のマイナーチェンジ後のモデルが土屋さんの愛車となっています。
2023年12月に一部改良して再販売されたオデッセイは、この2020年のマイナーチェンジ後のモデルをベースに手が加えられています。
主な変更点は、外観では新デザインのフロントグリルを採用し、グリル開口部を拡大することでワイド感を強調しています。また、水平基調の5本メッキバーに突起状のデザインを組み合わせることで高級感を高めています。
新グレードのe:HEVアブソルート・EXブラックエディションは、ブラッククロームメッキのフロントグリルをはじめ、ブラックスモークレンズのリアコンビランプ、マットベルリナブラックの18インチアルミホイール、ブラックのルーフ/ピラーライニングなど内外装の随所にブラック加飾を採り入れているのが特徴です。
インテリアでの変更点は、全グレードの2列目シートに4ウェイパワーシートを採用しています。オットマンとリクライニング操作を電動化したことで、きめ細やかな調整が可能となり、より快適な着座姿勢を取ることが可能です。
また2列目シートにはヒーター機能や折りたたみ式のセンターテーブル、ミニテーブル付きのアームレストを採用。シート足元にはUSBチャージャー(タイプC)を全グレードに標準装備し、利便性を向上させています。
そしてシフトノブは、指1本でスムーズなシフト操作ができるエレクトリックギアセレクターに変更。パドルシフトによる減速セレクターを新たに設定し、アクセルオフ時の減速の調整が可能で、下り坂での走行や前走車との車間距離の調整に活躍します。
安全運転システムであるホンダセンシングには、新たに近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビーム、急アクセル抑制機能を追加。
また、フロントカメラの広角化により、衝突軽減ブレーキの検知対象を拡大し、新たに交差車両、右折時の対向車、横断自転車、二輪車、夜間の歩行者が検知可能となり、安全性が向上しています。
●改良前/後の走りの違いはどうだ?
それでは、改良前/後のオデッセイのインプレッションです。
土屋さんの愛車である改良前モデルに比べて、改良後のオデッセイは静粛性が向上しているように感じます。またモーターだけで走行する領域が拡大しているように思います。
改良前後のオデッセイe:HEVに搭載されているエンジンのスペックはほぼ同じです。しかし、エンジン型式は一部改良前がLFA型なのに対して、一部改良後はLFB11型と変わっています。これが静粛性などの差となっているのかもしれません。
また燃費性能はWLTCモードで、改良前が19.8~20.0km/Lだったのに対して、改良後は19.6~19.9km/Lと若干悪化。これは車両重量が30kg重くなったことが影響していると言えるでしょう。
装備面では、セカンドシートの快適性やホンダセンシングの充実などがポイントとなっていますが、改良前に採用されていたジェスチャーコントロールパワースライドドアを廃止しています。
さらに、アブソルートEXのセンターコンソールボックス後部に設置されていた100V AC電源がなくなっているなど、快適装備が省かれているのは気になるところです。
●買い替えを真剣に考えたくなるほど質感が向上している
最も気になるセカンドシートの快適性について、土屋さんに聞いてみました。
土屋さん曰く、走り出してすぐに、一部改良後のオデッセイのほうが乗り心地は良いと感じたそうです。一部改良前、つまり自分の車はちょっと突き上げがあって、これはホンダらしいスポーティな味付けとも言えるとのこと。
しかし一部改良後のモデルは、タイヤが転がった瞬間から質感の高さを感じるようです。それはスプリングだったり、ダンパーだったりの味付けが上手で入力が上手くて、おっ高級感あるぞ!という入力で全然乗り心地が違うとのこと。
わかりやすくいうと、改良前がプレミアムエコノミーで改良後がビジネスクラス。それくらい快適性が違う、と話してくれました。
さらに、一部改良後のオデッセイは、セカンドシートの間にテーブルが付いたことで、快適性は一気に高くなったと褒めています。ドリンクホルダーの位置も絶妙。肘置きの位置も良い。スマートフォンの置けるスペースもあり改良前の不満が解消されているそうです。
高級ミニバンの2列目シートは広いだけではだめで、電動でリクライニングできたり、テーブルがあったりという利便性がないと快適にならないとのこと。座り心地も一部改良後のほうが良く、スッポリと包んでくれるような感覚があるそうで、正直、買い替えようかなと思ったとコメントしてくれました。
一部快適装備が廃止されているものの、走行性能や静粛性そしてセカンドシートの快適性が向上したオデッセイ。試乗したオデッセイe:HEVアブソルート・EXは500万600円と価格設定も絶妙です。
土屋さんのインプレッションをもっと詳しく聞きたいという方は、DRIFT KING TELEVISIONをチェックしてみてください。
(文・写真:萩原 文博)