日本初の「自動車保険」は今から110年前に始まった【今日は何の日?2月14日】

■東京海上保険によって日本初の自動車保険(任意保険)が誕生

1914年2月14日、日本初の自動車保険が誕生
1914年2月14日、日本初の自動車保険が誕生

現在、車やバイクを運転するのに不可欠な自動車保険ですが、1914(大正3)年2月14日に東京海上保険株式会社(現、東京海上日動火災保険)から、日本で初めて自動車保険が発売されました。

当時は、車が少なく非常に高価だったので、現在の車両保険がメインでした。


●初期の自動車保険は、主に高価な車を守るための車両保険だった

ガソリン自動車がカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーによって発明されたのは1886年でした。その後、欧州では自動車の普及が始まり、当然交通事故も発生するようになり、自動車が普及し始めた初期から自動車保険が始まったとされています。

日本で初めて自動車保険が誕生した1914年当時は、日本国内にはまだ1000台ほどしか自動車がなく、自動車は非常に高価だったため、当時の自動車保険は被害者への賠償というより、現在の車両保険のような高価な自動車が破損したような場合に備えるための保険がメインでした。

自動車保険の概要
自動車保険の概要

一方、日本で自動車が増え始めた頃の1956年に、交通事故の被害者を守るために自賠責(自動車損害賠償保障)法が施行され、車を購入する際には強制的に自賠責保険に加入することが定められました。

ただし、自賠責保険だけでは保障しきれない不足分を補うために任意保険は必要で、1960年代以降、高度経済成長による自動車急増にともない、自動車保険への加入も大幅に増加したのです。

●現在の自動車(任意)保険の種類

現在、ほとんどのドライバーは、自賠責(強制)保険とともに任意保険にも加入しています。

任意保険は、以下のような対人補償保険や対物補償保険、人身傷害保険、自損事故保険、搭乗者傷害保険、無保険車障害保険などをセットにして加入するのが一般的です。

・対人賠償保険

対人賠償について、自賠責保険の不足分を補う保険。相手が死亡、後遺障害がある場合の賠償はもちろんのこと、治療費や休業損害なども補償され、通常、保険金額は無制限にします。

・対物賠償保険

相手の車や物を壊した際の損害を補償。相手の車や破壊した建物やガードレールなども補償。保険金額は3000万~5000万円が一般的ですが、高額になる場合もあるので無制限にすれば安心です。

・人身傷害保険

搭乗者の傷害による損害を、過失相殺の割合には関係なくすべて補償。他人の車やタクシーに搭乗した場合の事故にも適用され、治療費や休業災害、精神的損害、逸失利益などが保証されます。

・搭乗者傷害保険

ドライバーを含め搭乗者すべての死傷に備える保険で、家族も対象で責任が自分自身にあっても補償。死亡や後遺障害に対する補償と医療保険金が支払われ、保険金額は500万~2000万円程度が一般的です。

・自損事故保険

ドライバー自身の過失による自損事故に備える保険で対人賠償保険とセットです。補償対象はドライバーのみで、死亡時1500万円、後遺障害50万~1500万円の他に、治療費をカバーする医療保険金もあります。

・無保険車傷害保険

事故を受け、加害者が保険に加入していない、あるいは保険金額が十分でない場合に備える保険です。対人賠償保険に自動的に組み込まれ、保険金額は2億円以内で対人賠償保険と同額です。

・車両保険

自車の損害を補償する保険で、事故相手による補償の不足分をカバーします。交通事故だけでなく自然災害やいたずら、飛び石などの修理についても、保険金が支払われるものもありますが、保険料が高くなるので加入しているドライバーは約半数足らずです。


自動車保険が誕生した当時は、車が高価で、また人身事故の損害賠償額が低額であったこともあり、被害者救済というより自車を守るという目的で保険が誕生したようです。今では考えられませんが、そんな時代だったのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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