■低重心とマルチリンクサスペンションを実現
アルピーヌは、2023年12月、コンパクトハッチEV「A290_β(ベータ)」を「A290」として、2024年半ばにワールドプレミアすることを発表していましたが、その量産型プロトタイプをスクープしました。
1970年代のオリジナルの「ルノー5アルピーヌ」は、伝説的なフォルクスワーゲン「ゴルフGTI」を上回るスペックで市場に投入されました。今回も同じことが行われる予定ですが、今回はフルエレクトリックのみのパワートレインが採用されます。
約50年前の祖父と同様に、新型アルピーヌもルノー5をベースに開発。ルノーは長年愛されてきたルノースポールブランド(R.S.)を撤退したため、ホットハッチ業務はすべてアルピーヌが担当することになっています。
ベースのルノー5とホットハッチ版アルピーヌはどちらも同じ「CMF-BEV」プラットフォームを使用しており、ルノーはこれにより低重心とマルチリンクサスペンションを実現していると発表していますが、これは小型の前輪駆動車では珍しい特徴と言えます。
アルピーヌは二輪駆動にこだわっていますが、それは遅いという意味ではありません。2023年5月に発表された「A290bコンセプト」のスペック通りなら、量産車は最高出力272psを発揮するはずで、これは新型ミニクーパーEVの最速モデルSEの最大218psよりも強力になることになります。ただし、一部の情報筋によると、高出力モーターは後から登場し、最初はクーパーSEとまったく同じ出力を備えたバージョンのA290を発売する予定だといいます。
厳冬のスカンジナビアで捉えたプロトタイプですが、後部ドアノブはCピラーの根本に隠されており、ルノー5と同様に量産型では、4枚のドアを装備しています。またボディをローダウンしてフェンダーフレアが装着されており、ボディがワイド化されることを示唆しています。
フロントエンドでは、ボンネットにデュアルエアスクープを配置、その奥にも怪しい盛り上がりが確認できます。またコンセプトのX字ライトが採用されるか不明ですが、プロトタイプのヘッドライト内側に偽装が見られます。
側面ではより強調されたサイドシルを装備、後部ではリアスポイラーも装着されます。
デザインディレクターのアントニー・ヴィラン氏によると、プラットフォームは通常のルノー5と比べて改良されており、低速から加速時まで安定するようになっているといいます。また同氏は、A290量産型では、A110と同じ4ピストンブレーキを使用しますが、フロントシングルモーターの再生と調和するように修正されているとも述べています。
A290はルノー5の後、今年半ば以降にデビューする予定で、アルピーヌが今後数年間に展開する予定の拡大ラインナップの中で最も手頃な価格のモデルとなります。 同ブランドはフルエレクトリック化を進めており、A290に加えて、新しいA110クーペとコンバーチブル、クーペクロスオーバー、SUVの開発に取り組んでいます。