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■意外と回避がむずかしい、寒い朝のエンジン始動不良
つい先日、「冬の朝の突然の始動不良を回避せよ! バッテリーの劣化はCCA値でチェック」という記事を書きました。その中でも書いたように、テスターでチェックしたところ、私の車のバッテリーはまだなんとか大丈夫そうでした。
しかし、恥ずかしながら、この直後に私はバイクのエンジン始動不良に遭遇してしまいました。
具体的にいうと、1月にしてはかなり暖かかった休日の午前中、ちょっとバイクで出かけようかと約1ヵ月半ぶりにエンジンをかけようとしたら、セルが「キュキュ…」ぐらいしか回らなかったのです!
まぁ、これは私も初めてのことではありません。経年劣化が進んだバッテリーでは、こういった寒い日には起こりがちなトラブルでもあります。結局、車のバッテリーからケーブルをつないで始動し、そのあとは大丈夫そうだったのでショートツーリングに出かけてきました。
が、1台しか車両を持っていない人や、出先でエンジンが始動しなかった場合など「とにかく1回だけでもエンジンがかかってくれれば、カー用品店やガソリンスタンドに行ってバッテリー交換ができるのに!」なんていうシチュエーションもありますよね。
というわけで、せっかくエンジンが始動できないほどバッテリーが弱っている状況だからこそ、ぜひ試してみたいツールがあったので、自腹で購入して使ってみました。
それは、スーパーキャパシタを使ったジャンプスターターです。
●事前に充電しなくてもエンジンが始動できる
昔はバッテリーが上がった車のレスキューといえば、他車のバッテリーからケーブルをつないでジャンプスタートするのが定番でした。しかし、車の駐車場所や向き、バッテリーの搭載位置やケーブルの長さなどで、けっこう難しい場面も多かったんですよね。
それがここ10年くらいでしょうか。リチウムイオンなど、片手で持てるくらいのサイズのバッテリーを内蔵したジャンプスターターが出回るようになりました。
バッテリータイプのジャンプスターターはとにかく持ち運びの自由度が高く、車に積んでおくこともできるし、車2台を寄せる必要もなく、扱いやすいのが特徴です。
でも欠点もあります。それは、事前に充電しておかないと使い物にならないということです。車のバッテリーなんていつ上がるかわからない。でも必要なときには、十分充電された状態になっていないと役に立たないわけです。
それが、ここ数年でしょうか? 今度はスーパーキャパシタを使ったジャンプスターターというものが出てきました。これは、なんと事前の充電が不要でジャンプスタートができるというものです。
どういうことでしょうか?
キャパシタは、バッテリーのように長時間電気を溜めておくことはできないのですが、短い時間で電気を蓄えて、すぐにその電力を放出することが得意なようです。
一方、セルを回せないほど弱ったバッテリーでも、完全にカラカラになっているわけではなく、ある程度は電力を残しているのが普通です。その弱い電力をいったんキャパシタに溜めて、一気に放出することでエンジンを始動するというのが、このスーパーキャパシタタイプのジャンプスターターです。
いってみれば、水量が減ってしまって水車を回すことができない川の水を、いったんダムに貯めてから一気に放流することで水車を回そうというような感じでしょうか。
とはいえ私も「ホントにそんなにうまくいくの?」と思っていたので、この機会にひとつ買ってみることにしたわけです。購入はAmazonで一番安かった「BUTURE SC10ジャンプスターター」というモデル。1万5800円でした。
●約2分で充電完了、そしてパワフルにクランキング!
実物は意外と大きいです。バイクでも携行できますが、大きなトップケースを備えているようなバイクでもなければ、常備するのはちょっと現実的じゃないかもしれませんね。
車だったら余裕です。説明書には日本語のページもあります。スタートボタンのイラストが実物のスタートボタンとまったく違う形なのはご愛嬌でしょうか。
それでは、バッテリーが劣化していて、また「キュ…」しかいわなくなったバイク(750cc)を始動してみようと思います。
使い方は簡単。まずクランプをバイクのバッテリーに接続すると、自動で充電を開始します。はじめは速いです。1秒で1ポイントずつくらい数字が上がっていきます。でも後半に入ると上がるスピードが遅くなりました。それでも2分くらいで100%に達しました。
100%になったところで、スタートボタンを押して、バイクのスターターボタンを押します「キュ…」
……おい! かからんやんけ!
と思ってもういちどスターターボタンを押したところ、キーホールに鍵を差し込むようなイラストが出てきました。そしてディスプレイの数値がどんどん下がっていきます。私の確認不足でした。スターターボタンを押して電子音が10回鳴ったところでスタートOKになるようです(ボタンを押すのは1回で大丈夫です)。この状態で30秒以内にエンジンを始動します。
もう一度バイクのスターターボタンを押したところ、「キュキュ! ブォン!」
おぉー! 力強い!! 頼もしい♪
バッテリーが元気だったころより、さらに勢いがよかったような気がします。少なくともこの1、2年で一番、力強くセルが回ったんじゃないでしょうか?
このあと一度エンジンをストールさせてしまい(キャブ車なのでちょっとデリケートなんです)、再度かけ直しましたが、2回目も問題なくセルを回してくれました。
というわけで、使いかたは非常に簡単。少なくとも750ccのバイクならまったく力不足を感じることなく始動できました。Amazonに出ている説明では、8.5Lガソリンエンジン、6.5Lディーゼルエンジンまで対応できるそうです。
前述のとおり、事前に充電をしておく必要がないうえに、リチウムイオン電池のように火災や発熱等のリスクもなく、劣化もしにくいので、車に何年も積みっぱなしにしていても安心という点でも、スーパーキャパシタタイプのジャンプスターターはありがたいです。
たとえば、ジャンプスターターを日常的にモバイルバッテリーのようにも使いたいのであれば、バッテリー内蔵タイプがいいでしょう。でも、普段はまったく使わず、でも非常時には頼りにしたいという人には、スーパーキャパシタタイプのジャンプスターターがいいのではないでしょうか?
ともあれ、ジャンプスターターを1個備えておけば、バッテリーを寿命ギリギリまで使いたいオーナーも安心ですよね。
(まめ蔵)