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■「ノイズ」を減らしたプレーンなデザインへ移行
近年、ホンダ車のデザインが大きく変わったとする声が聞かれるようになりました。
同社のラインナップを改めて見ると、確かにこれまでのデザイン路線から変化しているようです。
本稿では主だった車種の具体的な傾向や、変化の背景に迫りたいと思います。
まずはコンパクトクラスの「フィット」から。
初代モデルは2001年6月に登場。ワンモーションフォルムを採用した同モデルは世界的にヒットしました。
国内でも発表直後に月販目標台数8,000台に対して6倍の受注を得るほどの人気を博したことから、2007年10月発売の2代目フィットのデザインもキープコンセプトで登場しています。
そして2013年9月に登場した3代目からデザインに変化が現れ始めます。
●3代目フィットからデザイン決定プロセスを変更
各種情報によると、2011年からホンダのデザイン部門が新体制となり、それまで社内の役員会で議論してデザインを決定していたプロセスを、当時の伊藤孝紳社長(2009年~2015年)とデザイン部門のトップで決定する方法に変更した模様。
デザイン・アイディアをダイレクトに生産モデルに反映することが目的だったようで、そのターゲットとなった最初のモデルが3代目「フィット」だったようです。
デザイン決定プロセスの変更が奏功し、同モデルは登場から6年経過後も約7.4万台(約6,200台/月)の販売台数を維持。
しかし、八郷隆弘社長(2015年~2021年)の時代に開発された2020年2月発売の現行4代目フィットでは、先代のヒットをよそにデザインの方向性を一変させます。
スポーティさがウリの先代に対して“愛犬”をイメージしたカワイイ系のデザインを採用。
パッチリとした目元や小ぶりのラジエターグリルを採用しており、デビュー当時は同車のデザイン変化代の大きさに驚いたユーザーも多かったようですが、デザイン部門のトップは先代モデルと同人物だったようです。
●フィット以外のデザイン傾向は?
その他の車種のデザイン傾向についても見て行きましょう。
【ヴェゼル】
フィットのデザイン路線変更から1年後の2021年4月に登場した、2代目となる現行「ヴェゼル」においても、やはりボディデザインが大きく変貌しています。
初代ヴェゼルはノーズが低くスラント姿勢を基本としていますが、2代目ではベルトラインがボディ前方から後方まで高い位置を水平に貫いており、ベルトライン下の板金部分にボリュームを持たせることで、車体全体を大きく見せる工夫が見られます。
車両サイズを拡大することなく、初代より立派に見せているのが現行モデルの最大の特徴。
また、初代の押し出し感の強いメッキ調のラジエターグリルを、ボディと同色のスリットタイプに変更することで、控え目なイメージに一新しています。
【ステップワゴン】
同じような傾向が2022年5月発売の現行の6代目「ステップワゴン」にも見受けられます。
先代のメッキ部分が目立つラジエターグリルを控え目な形状としており、ボディ前端のスラントを減らしてボクシーな雰囲気に大きく変更。
ボディサイドのレリーフも極度に減らして、非常にプレーンな造形となっています。
その一方、2023年4月発売の上級SUV「ZR-V」では、輸出仕様(ハニカムタイプ)と異なる“バーチカル・フロントグリル”を国内向けに採用。
良く言えばマセラティ・グレカーレ似の“おちょぼ口”が特徴ですが、最近のホンダ車の中では異彩を放つ存在と言えます。
●現在も社長とデザイン部門TOPで決めている?
このように、近年ホンダ車のデザインが、モデルチェンジを機に大きな変貌を遂げているのは、デザイン決定の仕組みに起因している可能性があります。
社長とデザイン部門のトップ間でデザイン決定する方式に切替えて、既に10年以上が経過していると思われますが、社長はその間、現在の三部敏宏氏で3人目。
一方のデザイン部門が一貫した陣容の場合、デザイン部門の意向で開発が進んでいる可能性もありそうです。
同社のデザイン部門は現在、“ノイズ”と感じる線や面を可能な限り減らすプレーンな造形を目指しているようですが、他社との競走上、この先も同社にとってそれがベストな方向性であり続けるとは限りません。
最近のトヨタ車がそうであるように、車両性能だけでなく、デザインの良し悪しが決定的に販売を左右するだけに、外部の意見も取り入れてリスクヘッジした方が、“ブレの無い”安定したデザイン開発に繋がるのかもしれません。
上述した一連のデザイン変更が、今後ホンダ車の販売にどのような効果をもたらすのかが注目されます。
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