レクサス初のプレミアムコンパクトカー「CT200h」デビュー。ハイブリッドスポーツは若者にも入手可能な355万円【今日は何の日?1月12日】

■性能と燃費を両立させたハイブリッドのプレミアムコンパクトカー

レクサスCT200h
2011年にデビューしたレクサスCT200h。レクサス初のハイブリッド専用車

2011(平成23)年1月12日、トヨタの高級車レクサスブランドから、ハイブリッド専用モデル「レクサスCT200h」が発売されました。

若いユーザー層の獲得を狙ったスポーティなハッチバックスタイルを採用した、レクサス初のプレミアムコンパクトカーです。


●ベンツやBMWに対抗するために設立した高級ブランドのレクサス

高級車が飛ぶように売れた1980年代後半のバブル景気の真っただ中、ホンダとトヨタ、日産の3社は、世界の高級車市場に参入するために、メルセデス・ベンツやBMWに対抗した海外向けの高級ブランドを立ち上げました。1986年のホンダ“アキュラ”に続いて、1989年にはトヨタが“レクサス”、日産が“インフィニティ”を設立したのです。

1989年にデビューした高級車セルシオ。レクサLS400を国内で販売
1989年にデビューした高級車セルシオ。レクサスLS400を国内で販売

レクサスのクルマづくりは、それまでのトヨタ車とは一線を画し、すべての製造過程の加工精度を上げ、内装材は厳選した高級素材を、ボディも特別な塗装方法を採用し、その質感と耐久性は際立っていました。

レクサスの設立と同時に発売されたのが、「レクサスLS400」であり、その1ヶ月後に日本仕様にして「セルシオ」として日本に投入。LSに続いて、GSは「アリスト」、ESは「ウインダム」、ISは「アルテッツァ」として、2005年までの日本展開では、レクサス名とは違う車名で販売されました。その後2005年からは日本でもレクサスの販売網を開業して、モデル展開を始めました。

●レクサスの末っ子としてTHS IIを流用し登場したレクサスCT200h

2009年のフランクフルトモーターショーと、翌2010年3月のジュネーブモーターショーで公開されたコンセプトモデルが、2011年にレクサスCT200hとして日本デビューを果たしました。

レクサスCT200hは、レクサス初のプレミアムコンパクトカーでハイブリッド専用モデルとして開発され、ユーザー層の拡大、特に若いユーザーの獲得を狙ったモデルでした。狙いに相応しいように、スポーティさを強調した5ドアハッチバックフォルムを採用したのが特徴です。

3代目プリウス搭載のリダクションギア付THS II
3代目プリウス搭載のリダクションギア付THS II

プラットフォームは、プリウスと同じで車体サイズもプリウスとほぼ同等でした。アピールポイントのハイブリッドシステムも3代目プリウスの“リダクション付THS(トヨタハイブリッドシステム)II”を流用し、コストを抑えながらパワーと燃費の両立を成し遂げたのです。

車両価格は、ベースグレードの355万円に加えて、バージョンC:375万円、バージョンL:430万円、そしてスポーティなFスポーツが405万円。エントリーモデルとして購入しやすいように355万円というリーズナブルな価格設定にしたことが、人気を呼びました。

●燃費だけでなくトルクも重視したリダクション付THS II

レクサスCT200hのベースとなった2009年に登場した3代目プリウス
レクサスCT200hのベースとなった2009年に登場した3代目プリウス

プリウスのハイブリッドシステムTHSは、現在も進化を続けています。2代目プリウスのTHS IIは、昇圧コンバーターによってモーターの駆動電圧を270Vから500Vまで昇圧してモーター出力を向上。3代目では、駆動電圧を650Vまで上げ、同時にモーター出力部にリダクション(減速)ギアを付加したリダクション付THS IIへと進化、これがレクサスCT200hに流用されました。

リダクションギヤの役目は、高回転型モーターの回転を減速してトルクを向上させ、全域で高いトルクを得ること。燃費向上のためのTHSシステムですが、パワー不足というユーザーからの不満を解消するために、トルクを向上させる進化も続けているのです。


レクサスCT200hは、上級版プリウスのような存在で、レクサスのエントリーモデルとして存在感を発揮しましたが、2022年10月に生産を終了しました。一方2023年1月に、スポーティに変貌し、燃費と出力を大幅に向上した5代目プリウスが登場しました。ブランドは違いますが、新型プリウスはレクサスCT200hの後継の役目も担っているのかもしれません。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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