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■ホンダのロボット技術を応用した倒れないバイクのコンセプトを初公開
ホンダは、2017(平成29)年1月5日から3日間米国ラスベガスで開催された“CES2017”において、ホンダの2輪車のコンセプトモデル「ホンダ・ライディングアシスト」が、“Best Innovation”および“Best Automotive Technology”、“Editors’ Choice Awards”の3つの賞を受賞したと、2017年1月9日に発表しました。
●自動でバランスを取って倒れないロボット技術を2輪車に応用
ライディングアシストは、ASIMOに代表されるヒューマノイドロボット研究で培ったホンダ独自のバランス制御技術。これを応用した2輪車コンセプトモデルを、世界最大の家電見本市“CES 2017”(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー2017)でホンダは世界初公開しました。
ライダーが乗っていても、乗っていなくても自立することができ、ライダーが少しバランスを崩しても、バイク自体がバランスを保つことで、低速走行時や停止時のふらつき、取り回しの際の転倒リスクを軽減します。一方で、通常の走行時には、既存の二輪車と同等の操縦性を実現し、日常のバイク走行やツーリングをより安全に楽しいものにします。
まだ実用化されていませんが、2輪車の安全性向上や将来の自動運転にもつながる有望な技術として評価され、CESで上記の3賞を受賞したのです。
●ホイールの向きやハンドルの切れ角、キャスター角を自動調整して転倒を防止
2輪車は、中高速域ではバランスが取りやすいのですが、渋滞や信号持ちなど低速になると不安定になり、ライダー自身がバランスを取らなければいけません。ライディングアシストは、電動バイクに適用して以下の3つの機能を制御します。
・フロントフォークのキャスター角の可変化
・モーターによるステアリング操作
・電気的にステリングを操作するステアバイワイヤ
ステアバイワイヤとモーターによる操舵の微調整で横方向のバランスを取り、キャスター角を調整して直進安定性を高めるという仕組みです。自転車で定位置にとどまるために、ハンドルを左右に小刻みに調整しながらバランスを取る仕草に似ています。
ライディングアシストは、超低速時のふらつきや転倒を防ぐ機能なので、2017年当時は車速3~4km/h以下で作動するように設定されていましたが、現在は主として後輪にバランス制御を導入して20km/h以下で制御するように設定されています。
●実用化の課題はコストだけでない
バイクが自らバランスを取ってくれるライディングアシストは、小柄で非力な女性でも足つきのことを気にせずに大型バイクも乗りこなすことができます。バイクが安全で乗りやすくなるシステムですが、実用化時期についてはまだ公表されていません。
実用化の課題は、まずバランス制御導入によるコストアップです。もうひとつの課題は、ライダーが車体を故意に傾けた場合に、バイクの自立制御がライダーの意志と転倒リスクの違いを判別できるのかなど、ライダーの意思と無関係に制御が介入するリスクが発生する恐れがあることです。
この2つの課題が実用化の壁となっていると思われます。
まだ先かもしれませんが、倒れない2輪車ができれば2輪の自動運転無人タクシーが実用化できます。スクーターにキャノピーがついただけの簡単な2輪車であれば、安くて駐輪スペースも取らずにどこにでも行ける新しいモビリティが期待できるかもしれません。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)