日産が燃費を改良した「新型HR15DEエンジン+エクストロニックCVT」をコンパクカー6車種に搭載【今日は何の日?12月25日】

■低燃費と低排ガスを両立した「新型HR15DEエンジン+エクストロニックCVT」

新型HR15DEエンジン+エクストロニックCVT
新型HR15DEエンジン+エクストロニックCVT

日産自動車は、低燃費とクリーンな排出ガスを両立した「新型1.5Lエンジン(HR15DE)+エクストロニックCVT」を、2006(平成18)年12月25日より発売するコンパクトカー6車種、「キューブ」「キューブ・キュービック」「ノート」「ティーダ」「ティーダ・ラティオ」「ウイングロード」に搭載することを発表しました。

●新型HR15DEエンジンの改良ポイント

HR15DE+エクストロニックCVTについては、エンジンの熱効率向上とエクストロニックCVTを組み合わせたパワートレイン全体での効率向上によって燃費改善を実現しました。

HR15DEエンジンは、日産とルノーが共同開発した排気量1.5L直4 DOHCエンジンで、最高出力109PS/最大トルク15.1kgmを発揮。従来型に対する主な改良点は、

新型HR15DEエンジン
新型HR15DEエンジン

・フリクション低減:カムシャフトのクラウニング鏡面加工仕上げ、世界初となるチェーンガイドのフッ素コート化などによるエンジンフリクションの低減

・C-VTC(連続可変バルブタイミング制御)の変換角度拡大と制御改良:吸気バルブの閉じるタイミングを遅らせアイドリング時のポンピングロスを低減

・オルタネーターの回生制御:減速時に走行している車の運動エネルギーを電気エネルギーに変換(発電)してバッテリーへ回収。走行中およびアイドリング時にこの蓄えられたエネルギーを使用することによって燃費を改善

●CVTを含めたパワートレインの改良ポイント

エンジン改良に加えて、エクストロニックCVT との協調制御によってさらに燃費向上を図っています。

具体的には、

・アイドル回転数低下による燃費低減

・ニュートラル制御の採用:ニュートラル制御とは、停車時にDポジションであってもCVTはニュートラル状態にして燃費を低減

・CVT変速パターンの最適化:もっとも燃費の良いエンジン回転数で変速するように、CVTの変速パターンを設定

・CVTのロックアップ解除領域を低下させ、燃料カット領域の拡大:ロックアップは、エンジンとCVTを直結する機構で、燃費向上に寄与しますが、回転が下がるとギクシャク感が発生するので回転が下がるとロックアップを解除します。その解除回転を低下させると、その分燃費は良くなるのです

●新型HR15DEエンジン+エクストロニックCVTで車の燃費は7%~8%向上

以上のような効果によって、HR15DE+エクストロニックCVTを搭載したコンパクトカー6車種は、「平成22年度燃費基準+20%」と「平成17年度基準排出ガス75%低減レベル(SU-LEV)」の認定を受け、グリーン税制において最高額の優遇措置を受けたのです。

具体的な搭載車種の10-15モード燃費の向上は、

2006年12月25日に発売された「新型HR15DEエンジン+エクストロニックCVT」搭載のキューブ
2006年12月25日に発売された「新型HR15DEエンジン+エクストロニックCVT」搭載のキューブ

・キューブ:18.0km/L → 19.4km/L、キューブ・キュービック:17.8km/L → 19.2km/L

・ノート:18.2km/L → 19.4km/L

・ティーダ:18.2km/L → 19.4km/L、ティーダ・ラティオ:18.2km/L → 19.4km/L

・ウイングロード:18.0km/L → 19.2km/L


2000年頃まではAT車とCVT車の燃費は、MT車に大きく劣っていました。しかし、クラッチ制御を含めたエンジンとミッションの協調制御や多段化技術を採用することよって、特にCVTは現在MTに負けない燃費性能を達成しています。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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