目次
■約1年3ヵ月振りにホンダのフラッグシップミニバンが復活
2023年12月、2022年9月に販売終了したホンダ・オデッセイが一部改良を行い、再登場しました。
再登場したオデッセイは、2020年11月に実施したマイナーチェンジ後のモデルを継承したスタイリングが特徴で、生産は中国の広汽本田汽車で行われ、輸入されます。
外観デザインでは、新デザインのフロントグリルを採用。インテリアでは全グレードの2列目に4ウェイパワーシートを採用。オットマンとリクライニング操作を電動化することにより、きめ細やかな調整が可能となり、より快適な着座姿勢を取れるようになっています。
グレードはアブソルート、アブソルート・EX、アブソルート・EXブラックエディションの3種類。全グレードで2Lエンジンと発電・駆動を行う2モーターを組み合わせた「e:HEV(イーエイチイーブイ)」と呼ばれるハイブリッドシステムを搭載しています。
再販売されるオデッセイは、2013年10月に登場した現行モデルの一部改良ということなので、すでに中古車も豊富に流通しています。
そこで、ここでは現行型オデッセイの歴史と最新の中古車相場。さらに何台もオデッセイを乗り継いでいるドリキンこと土屋圭市さんから、オーナーならではのおススメできるチューニング術を紹介します。
2013年10月に登場した5代目のホンダオデッセイは、上級モデル、エリシオンとのモデル統合によって、先代までの立体駐車場に対応したスタイルをやめて、シリーズ初となるリアスライドドアを採用しました。モデル体系は、標準モデルとエアロパーツを装着したアブソルートの2種類を用意しています。
現行型オデッセイは、ホンダ独自のパッケージング技術をさらに進化させ、リアスライドドアを採用し、さらに天井高を上げるだけでなく、床面高を下げる超低床プラットフォームを採用。
従来モデルをはるかに凌ぐ広く快適な室内空間を確保しながらも、重心を低く抑え、サスペンションの構造を見直すことによって、爽快で安定したハンドリングやしなやかな乗り心地という、快適な走行性能を確保しています。
●2013年に現行モデルは登場し、2016年にハイブリッドを追加
現行型オデッセイのデビュー時のボディサイズは、全長4,840mm×全幅1,820mm×全高1,695mm(アブソルートは1,685mm、4WD車は1,715mm)です。
ライバル車より低い全高ながら室内高は1,325mm(FF車)を確保し、2列目、3列目のヘッドクリアランスはラージクラスと同等のゆとりを実現。また、隣のシートとの距離であるタンデムディスタンスや室内幅も拡大し、多人数での乗車がより快適な室内空間を演出しています。
2列目シートには、シートバックを倒すと、連動してシートクッションが最適な角度に持ち上がる新機構に加えて、オットマンやシートバック中折れ機構も備えた、ゆったりサイズの2列目プレミアムクレードルシートを採用し、包み込まれるような座り心地を実現しています。
そして、3列目シートは3分割リクライニング機構によって、中央部と左右席のリクライニング角度が変えられて、各乗員の肩が触れ合うことなく、3名が座れるようにするなど工夫が施されています。
搭載されているパワートレインは、デビュー当初はホンダの次世代環境技術「アース・ドリームス・テクノロジー」を採用した2種類の2.4L直列4気筒DOHC i-VTECエンジンを採用。どちらもレギュラーガソリン仕様ながら、アブソルートには直噴システムを採用し、力強い加速を実現しています。
両エンジンには、新開発のトランスミッションであるCVTを採用。リニアな加速フィールを実現するだけでなく、アブソルートにはマニュアル感覚でシフトチェンジを楽しめる7スピードモード+パドルシフトも装備しました。
そして、2016年2月にガソリン車の一部改良時に、ホンダの革新的なハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドi-MMD」を搭載しました。このハイブリッドシステムは2Lガソリンエンジンと走行用/発電用2つのモーターを組み合わせた、モーターを主役にしたハイブリッドシステム。
EVドライブモード、ハイブリッドドライブモード、エンジンドライブモードという3つの走行モードからシーンに最適なモードで走行します。さらに、ONにするとバッテリーからの電力を使ってモーターだけで走行するEVスイッチを設定、早朝や深夜などの住宅街での走行時に威力を発揮します。
安全装備は、ホンダの先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」を2015年1月に搭載。衝撃軽減ブレーキのCMBSをはじめ、アダプティブクルーズコントロールなど7つの機能がセットとなっています。
そして2017年11月のマイナーチェンジで、ホンダセンシングは機能を充実させ、さらに歩行車事故低減ステアリングの機能を追加。8つの機能のパッケージとなり全車に標準装備としました。
2020年11月には2度目のマイナーチェンジを実施しています。このマイナーチェンジでは、外観デザインは厚みのあるフードと押し出し感のある大型フロントグリルを採用し、力強いフロントマスクとなっています。
さらに、前後のウインカーには、内側から外側に向かって流れるように点灯するシーケンシャルターンシグナルランプを標準装備し、先進性を主張しています。
安全装備では、運転支援システムの「ホンダセンシング」に後方誤発進抑制機能を追加し、全方位の安全性を実現しました。
また、搭載するハイブリッドシステムの名称がe:HEV(イーエイチイーブイ)と変更されるなど大幅な改良を行い、グレードもスポーティなアブソルート系のみに集約されています。
●流通している現行型オデッセイの中古車はアブソルートがメイン
2013年から2022年まで販売されていた現行型オデッセイは、中古車の流通台数は約980台と非常に豊富です。中古車の平均価格は約183.4万円、中古車の価格帯は約47万~約500万円と、ロングセラーモデルらしくワイドレンジとなっています。
流通している中古車の年式別の分布を見ると、デビューした2013年~2017年の1度目のマイナーチェンジまでが、約680台。2017年の1度目のマイナーチェンジから2020年の2度目のマイナーチェンジまでが約190台。そして2020年の2度目のマイナーチェンジ以降の中古車は約110台と、年式が進んだ中古車が多くなっています。
2Lハイブリッド車が登場したのが2016年式なので、この年式の中古車は2.4Lエンジン搭載車が中心となりますが、ハイブリッド車も約100台流通しています。グレードでは圧倒的にエアロパーツを装着し、スポーティな走りが魅力のアブソルートが主流です。
実は、中古車の流通台数が多いオデッセイアブソルートですが、2013年のデビュー時から2017年に行った1度目のマイナーチェンジまでは、駆動方式によって装着されるタイヤサイズが異なります。
2WD車は225/45R18というサイズで、4WD車は215/55R17でした。しかし、2017年のマイナーチェンジでタイヤサイズは4WD車の215/55R17に統一されています。
この変更の理由を土屋さんは、「18インチの45という偏平タイヤはスポーティな走りには良いけれど、乗り心地という点で物足りなかった。現在乗っている2020年のマイナーチェンジ後のモデルが装着しているサイズも225/50R18。やはり、初期モデルの225/45R18は経年劣化のある中古車にはあまりおススメできない」と話してくれました。
●”ドリキン”土屋圭市流オデッセイアブソルート乗り心地再生術とは?
そこで、土屋さんに中古車で購入したオデッセイアブソルートの乗り心地をシャキッとさせる方法を尋ねてみました。
土屋さん曰く「初期型アブソルートに装着されている225/45R18。そして4WD車やマイナーチェンジ後の215/55R17で18インチにインチアップしたい人におススメしたいのは、225/50R18サイズを装着すること。タイヤの外径は大きくなるけれども、ハンドリングは悪くならないし、なによりセカンドシートの乗り心地は数段アップするなどメリットは多い。
そして、タイヤのメーカーにもこだわってもらいたい。現在乗っているオデッセイの標準装着は、横浜タイヤのアドバンデジベルだった。不満はなかったけれども、溝が減ってきたのでミシュランタイヤのイープライマシー(e·PRIMACY)に交換した。
ミシュラン史上、最高の低燃費性能を誇るプレミアムコンフォートタイヤを謳っているだけあって、平均燃費は13.8km/Lから15.0km/Lに向上。また乗り心地も良くなるだけでなく、雨の日の路面から発生するシャーというノイズも低減されている。タイヤは車で唯一路面に接しているパーツ。タイヤのチョイス一つで車のパフォーマンスに大きく影響する。だからタイヤ選びにはこだわってもらいたい」。
中古車でオデッセイアブソルートを購入したら、まずタイヤ交換。それがドリキン流のチーニング術であり、楽しみ方と言えるでしょう。
(文:萩原 文博/写真:ホンダ技研工業株式会社、萩原 文博)