カワサキからスポーツタイプの電動原付が誕生。注目の価格は100万円オーバー【バイクのコラム】

■ジャパンモビリティショーでも注目の的だった!

Ninja e-1は原付二種の電動スポーツモデルとして誕生。メーカー希望小売価格は106万7000円(バッテリーパック2個含む)。
Ninja e-1は原付二種の電動スポーツモデルとして誕生。メーカー希望小売価格は106万7000円(バッテリーパック2個含む)

2023年に記念すべき第一回が開催されたジャパンモビリティショーでは電動モビリティが目立っていましたが、その中でも伝統的なスタイリングとゼロエミッションの電動パワートレインを組み合わせたモデルとして注目を集めていたのがカワサキの「Ninja e-1」でした。

カワサキの伝統的なスポーツモデル「Ninja」そのものといえるルックスながら、よく見るとマフラーやクラッチレバーがないことから電動パワートレイン仕様であることがわかるというのは、『電動だからといってミライ的にすればいいってもんじゃないよ』というカワサキファンの心理を掴んだよう。

結果的に、モーター定格出力1000W以下の原付二種クラスのモデルとして市販されたのですが、原付クラスの電動バイクでは珍しく「チェーン駆動を採用するというこだわり」もNinja e-1のスポーツ性を示しているように思います。

そのNinja e-1の発売予定日が2024年1月13日に決まったこと、そしてメーカー希望小売価格が106万7000円となることが発表されました。

原付二種としては高価に思えますが、この価格にはカワサキが独自に開発したという交換型バッテリー2個が含まれているということです。

●カウルタイプとネイキッドタイプを設定する

もう一台の「Z e-1」はネイキッドスタイル。メーカー希望小売価格は101万2000円(バッテリーパック2個含む)。
もう一台の「Z e-1」はネイキッドスタイル。メーカー希望小売価格は101万2000円(バッテリーパック2個含む)

フルカウルタイプのスーパースポーツ電動バイクである「Ninja e-1」に加え、ネイキッドスタイルの「Z e-1」も同じく原付二種クラスとして同日発表、発売されます。

モーターやバッテリーなどの駆動系をはじめ基本的なアーキテクチャーはNinja e-1共通ですが、こちらのメーカー希望小売価格は101万2000円とカウルがないぶんだけお手頃になっているようです。

重量についてもNinja e-1が140kg(バッテリー2個含む)なのに対してZ e-1は135kg(同)と軽くなっているのはカウルの有無が影響しているといえそうです。

メーターは4.3インチのTFT液晶。Bluetoothによりスマートフォンと連携できる。
メーターは4.3インチのTFT液晶。Bluetoothによりスマートフォンと連携できる

原付二種相当となるためには定格出力1000W以下の駆動モーターであることがレギュレーションとして定められていますが、あくまで定格出力であってパフォーマンスが1000W以下という話ではありません。カタログスペックは最高出力9.0kW、最大トルク40Nmとなっています。

バッテリーのスペックは50.4V、30Ahなので、総電力量は1512Wh 、このバッテリーを2個搭載しているので満充電での電力量は約3kWhと計算することができます。

三菱eKクロスEVのような軽EVのバッテリー総電力量が20kWhですから、ざっと約1/7というイメージです。それでいて100万円を超える価格というのはちょっと割高に感じる部分もありますが、車体設計の基本が400ccクラスの電動バイクだと思えばリーズナブルなのかもしれません。

●独自の交換型バッテリー、3種類の充電方法

バッテリー単体、専用充電器、車体オンボードと3通りの充電方法を用意する。
バッテリー単体、専用充電器、車体オンボードと3通りの充電方法を用意する

とはいえ、100万円を超える電動モビリティにおいて満充電での航続可能距離が短いのは残念ポイントといえそう。

カタログ値として発表されている60km/h定地走行での一充電航続距離は、Ninja e-1で55km、Z e-1では53kmでしかないのです。

通常の原付モデルであれば一日の走行距離が20km以上になることは稀でしょうから、このスペックでも十分といえますが、カワサキの電動バイクは、趣味性の強いファンモデルです。このスペックに100万円以上を支払えるというライダーがどれほどいるのかは疑問も覚えます。

もっとも、スタイリングはスポーティであっても、日常使いを基本とするというのであれば、この航続性能でも問題ないでしょう。

専用のリチウムイオンバッテリーの重量は1個が約11.5kg。コンセントが確保できればオンボードでの充電が便利そうだ。
専用のリチウムイオンバッテリーの重量は1個が約11.5kg。コンセントが確保できればオンボードでの充電が便利そうだ

気が利いているのは3通りの充電方法が用意されていること。

集合住宅などに住んでいると駐輪場で充電することは難しいわけですが、その場合はバッテリーを取り外して部屋まで運んでコンセントから充電すればOK。その際には、バッテリーに直接充電ケーブルを接続するか、充電ドックを利用するかを選ぶことができます。

ガレージなど駐輪スペースにコンセントが用意できるのであれば、タンデムシートの下にあるコネクターに充電ケーブルをつなぎ、バッテリーを摘んだままオンボードで充電することも可能となっています。

1個11.5kgというバッテリーを2つ部屋まで運ぶことを考えると、コンセントが用意できる環境であればオンボード充電がもっとも手軽で、ストレスなく乗り続けられるかもしれません。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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