日産「エクストレイル・ディーゼル(20GT)」が栃木~九州間1300km無給油走行を達成【今日は何の日?12月11日】

■エクストレイル・ディーゼルが1300kmの無給油走行で低燃費をアピール

2008年12月に1300km無給油走行を達成したディーゼル・エクストレイル20GT
2008年12月に1300km無給油走行を達成したディーゼル・エクストレイル20GT

日産自動車は、2008年9月14日に発売したクリーンディーゼル「エクストレイル20GT」で、栃木~九州間1300kmの無給油走行に挑戦、12月10日に出発して11日に無事完走を果しました。

エクストレイル20GTは、厳しい排ガス規制「ポスト新長期規制」に適合した世界初のクリーンディーゼル車で、その低燃費をアピールしたのです。

●国内SUVトップの座に君臨した初代と2代目エクストレイル

2000年にデビューした初代エクストレイル
2000年にデビューした初代エクストレイル

エクストレイルは、乗用車派生のライト感覚のオフローダーSUVとして2000年11月に誕生しました。スタイリングは直線基調のボクシーなラインと、立体的で大きい角型ヘッドライトが特徴でした。

パワートレインは、2.0L直4 DOHCのNA(無過給)&ターボの2機種エンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WD(ALL MODE 4×4)を設定。初代エクストレイルは200万円台という低価格もあり大ヒット、2001年から国内SUV販売台数トップの座に10年にわたり君臨したのです。

2007年にデビューした2代目エクストレイル
2007年にデビューした2代目エクストレイル

続いて2007年に登場した2代目は、初代のコンセプトを継承しつつ、ひと回り大きくなり、走行性能やインテリアなどがブラッシュアップされました。

パワートレインは、2.0L&2.5L直4 DOHCエンジンと新開発のエクストロニックCVTを中心に6速MTの組み合わせ。駆動方式は、先代同様FFおよび進化した4WDを設定し、引き続き人気を獲得しました。

そして、翌2008年9月には待望のディーゼルモデルが追加されたのです。

●待望のクリーンディーゼル「エクストレイル20GT」デビュー

エクストレイル20GT搭載のクリーンディーゼル・M9Rエンジン
エクストレイル20GT搭載のクリーンディーゼル・M9Rエンジン

追加されたディーゼルモデル「20GT」は、日本の厳しい排ガス規制「ポスト新長期規制」に適合したクリーンディーゼルであり、クリーンな排ガスと低燃費、ディーゼルらしいトルクフルな性能が魅力でした。

ディーゼルエンジンは、ルノーと共同で開発された「M9Rエンジン」。2.0L直4コモンレールディーゼルに、高精度な燃料制御が可能な高圧(160気圧)ピエゾ式インジェクターを採用し、最高出力127kW/最大トルク360Nmを発揮しました。

エクストレイル20GT搭載のクリーンディーゼルの排ガス低減システム(DPFとリーンNOX触媒)
エクストレイル20GT搭載のクリーンディーゼルの排ガス低減システム(DPFとリーンNOX触媒)

排ガス低減については、排気系にPM(粒子性物質)を99%低減するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)と、NOxを浄化するためのリーンNOx触媒を装着。これらの後処理排ガスシステムとエンジン側の改良によって、世界で初めてポスト新長期規制に適合したのです。

燃費は10・15モード燃費15.2km/L(6速MT)を達成、同等出力のガソリン2.5リッターエンジンと比較して約30%向上。軽油の燃料代は、ガソリン車より安いことから経済性に優れ、ユーザーにとって大きなメリットです。車両価格は299.985万円と、ガソリン車よりも約60万円高額でした。

●無給油走行1300kmでクリーンディーゼルの魅力をアピール

栃木~九州間無給油走行のチャレンジは、日産の栃木テストコースを12月10日12時45分に出発し、1都2府12県を走行し、同車を生産する日産自動車九州工場に翌11日午後12時30分に無事到着しました。

走行は、同社の実験部に所属するテストドライバー7名から編成されるチームの他、エコドライブ技術を持たない従業員により編成されたチームもチャレンジに参加し、全てのチームが無給油完走を果しました。

最終的な走行距離は1306km、燃費計による平均燃費は23.9km/Lでした。これは、カタログに記載された10・15モード燃費15.2km/Lよりも57%ほど上回る結果でした。


2010年当時は、経済性に優れCO2低減にも有効なディーゼルエンジンが注目されました。しかし現在では、ディーゼルエンジンの機構に起因するコスト高は不可避であり、さらに電動化技術との組み合わせのハードルも高いことから、かつての勢いは失速しています。最後まで生き残れる内燃機関は、やはりガソリンエンジンということになりそうです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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