■「エアポート」は増えるけど速達列車は減る?
JR北海道はインバウンドの増加を見越して2024年春に、新千歳空港アクセス列車「エアポート」の日中(9〜16時)の運転本数を毎時5本から毎時6本に増発。新たに一部列車の停車駅を増やすことを発表しました。
「エアポート」は札幌方面から新千歳空港を結ぶ空港アクセス列車です。新千歳空港ターミナルビルの地下にある新千歳空港駅が開業した1992年7月1日から運行しています。
「エアポート」は札幌〜新千歳空港間で途中新札幌駅・北広島駅・恵庭駅・千歳駅・南千歳駅の5駅に停車する快速と、新札幌駅・南千歳駅のみ停車する特別快速を設定。
快速が基本で、特別快速は現在早朝の上り(新千歳空港行き)と夜間の下り(札幌方面行き)の各2本のみの運行となっています。
2024年春からは日中に運行する毎時6本の「エアポート」のうち、毎時1本を特別快速、毎時3本を快速、毎時2本を区間快速とし、札幌〜新千歳空港間の途中停車駅を3パターンとします。
新たに設定される区間快速は、新札幌駅と北広島〜新千歳空港間の各駅に停車します。
現在札幌〜千歳間を運行している普通列車(毎時2本)は札幌〜北広島間に短縮し、北広島〜千歳間の輸送は区間快速が担うことになります。
この結果、新千歳空港アクセス列車としての「エアポート」は日中毎時5本から6本に増発され、特別快速が設定される代わりに、途中5駅停車する快速は毎時5本から3本に減ります。3駅停車の特別快速を含めても毎時4本なので、1本減となります。
一方で快速が通過する島松駅・恵み野駅・サッポロビール庭園駅・長都駅の利用者にとっては札幌〜北広島間を快速運転する区間快速に乗れることになります。また、新千歳空港にも乗り換えなしで行けるようになります。
気になるのは札幌〜新千歳空港間の所要時間。現在特別快速は33分、快速は37〜39分となっていますが、これらは特に変化は無いと思われます。それに対し、区間快速は停車駅が4駅増えます。北広島〜千歳間の普通列車の所要時間は、快速の13〜14分に対して20〜21分と7分ほど延びていますので、区間快速の所要時間は44〜46分程度になると思われます。
「エアポート」に使用している車両は1992年の運行開始から使用している721系近郊形電車と、2014年から導入している733系通勤形電車の2形式があります。どちらも6両編成で、1〜3・5・6号車が一般車両(普通車自由席)、4号車が普通車指定席uシート車となっています。
721系と733系の大きな違いは一般車両の座席です。721系は中距離の移動を考慮した近郊形電車で、転換クロスシートを配置しています。
7次車以前の車両は冬季の車内保温のためデッキを備え、デッキと客室の間には仕切り扉を設けています。
「エアポート」は新千歳空港アクセスだけではなく、沿線の足としても定着していて、途中停車駅の乗降が多くなっています。そのためデッキ付きの721系は乗降に時間がかかる傾向にありました。
2003年に登場した721系8次車はデッキを廃止。さらにドア付近をロングシートとして乗降をスムーズにしています。車内保温策としてドア付近には温風を流すエアカーテンと大型の袖仕切りを設置しています。
733系は収容力を重視した通勤形電車で、デッキは無く、座席はロングシートとして立席面積を拡大しています。
4号車の指定席uシートは2000年11月からサービスを開始しました。それ以前の「エアポート」は一般席を使用した指定席が設定されていましたが、割高感から利用率が低迷していました。そこで特急車両並みの快適なリクライニングシートを配置して、ワンクラス上のくつろぎを訴求しました。
登場当時のuシートは半室でしたが、好調だったため2003年から全室化されました。また、大型荷物置場を設置していて空港利用者には便利です。
一般車両がロングシートの733系では、uシートの快適性が更に際立っています。千歳空港アクセスと沿線住民の足を両立している「エアポート」。2024年春の増発と運行形態の細分化も「エアポート」ならではの特色なのかもしれません。
(ぬまっち)