ハイトワゴンのパイオニア、スズキ「ワゴンR」が5年4ヶ月で国内累計販売100万台を達成【今日は何の日?11月12日】

■背の高いワゴンRが爆発的ヒット、5年4ヶ月で100万台突破

1993年にデビューした初代ワゴンR。ハイトワゴンのパイオニアとして大ヒット
1993年にデビューした初代ワゴンR。ハイトワゴンのパイオニアとして大ヒット

1998(平成10)年11月12日、この日スズキの「ワゴンR」が累積販売100万台を達成しました。

ワゴンRは、従来の軽の常識を覆す車高の高さによって、圧倒的な居住空間を実現した「ハイトワゴン」という新しいジャンルを開拓して大ヒット。発売からわずか5年4ヶ月で、早くも100万台を突破したのです。


●軽ながら圧倒的な居住性を実現したワゴンR登場

1993年9月3日にデビューしたワゴンRは、車高を「アルト」より頭ひとつ分(255mm)高くした1680mm、さらにホイールベースをクラス最大の2335mmに設定。これにより、従来の軽自動車になかった圧倒的な居住性を実現、ハイトワンゴンという新しい軽のジャンルを開拓したのです。

右側1ドア、左側2ドアの個性的な左右非対称の3ドアで、サイドシルの高さを低くしてフロアとの段差をなくし、さらにシートの背もたれの角度を立てて、自然な姿勢での乗降を可能にしたことが大きな特徴でした。

パワートレインは、660cc直3 SOHCエンジンと5速MTおよび3速ATの組み合わせ。1995年にはインタークーラー付ターボモデルも追加して、空前の大ヒット。ワゴンRに続いて、ダイハツ「ムーヴ(1995年~)」、ホンダ「ライフ(1997年~)」、三菱自動車「トッポBJ(1998年~)」が追従し、空前のハイトワゴンブームが巻き起こりました。

●歴代ワゴンRの累計販売台数推移

発売から30年経った現在も、ハイトワゴンブームの中心モデルとして人気を獲得しているワゴンR、その歴史と販売台数履歴を簡単にまとめてみました。

1998年にデビューした2代目ワゴンR、キープコンセプトで全体的にやや丸みを帯びたスタイリング
1998年にデビューした2代目ワゴンR、キープコンセプトで全体的にやや丸みを帯びたスタイリング

・初代ワゴンR(1993年9月~1998年10月)デビュー

→1996年10月に累計販売台数50万台

・2代目ワゴンR(1998年10月~2003年9月)登場

1998年10月の軽自動車規格改定に対応してボディを拡大、ファミリー志向を追求した丸みを帯びた質感の高いスタイリングに変更

→1998年11月に累計販売台数100万台

→2001年5月に累計販売台数150万台

2003年にデビューした3代目ワゴンR
2003年にデビューした3代目ワゴンR

・3代目ワゴンR(2003年9月~2008年9月)登場

新しいプラットフォームに一新され、走行安定性や静粛性が改善。初代に近い直線的なスタイリングに戻り、室内空間が広がり安全性能も向上

→2003年12月に累計販売台数200万台

→2008年6月に累計販売台数300万台

2008年にデビューした4代目ワゴンR
2008年にデビューした4代目ワゴンR

・4代目ワゴンR(2008年9月~2012年9月)登場

新開発のエンジンを搭載し、優れた燃費性能と力強い走りの両立を実現。さらに室内空間がさらに広くなり、安全性能もさらに向上

・5代目ワゴンR(2012年9月~2017年2月)登場

2012年にデビューした5代目ワゴンR
2012年にデビューした5代目ワゴンR

リチウムイオン電池を搭載した“エネチャージ”や“新アイドリングストップ”、“エコクール”など低燃費技術に加え、マイナーチェンジでスズキ初の衝突軽減ブレーキを採用

→2013年9月に累計販売台数400万台

・6代目ワゴンR(2017年2月~現在)登場

2017年にデビューした6代目(現行)ワゴンR
2017年にデビューした6代目(現行)ワゴンR

エネチャージを進化させたマイルドハイブリッドを採用し、スムーズな加速と低燃費を両立。また、軽トップレベルの安全性能と広い室内空間を実現

→2021年5月に累計販売台数481万台

2024年には新型7代目が登場しそうですが、同時に累計500万台も達成しそうです。


ワゴンRの開拓したハイトワゴンブームは現在も続き、さらに車高を高めたスーパーハイトワゴンとともに、現在は軽自動車のスタンダードとなっています。ワゴンRは、軽自動車をファミリーカーへと格上げした革新的なモデルと言えます。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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