60年落ちの保存車だった東武8000系8111編成がアーバンパークラインで現役復帰!

■12年振りに定期運用が復活

東武鉄道は1963年に製造された古豪・8000系8111編成を、11月1日からアーバンパークライン(野田線)での営業運転に復帰させました。

11月1日からアーバンパークラインで営業運転を開始した8000系8111編成
11月1日からアーバンパークラインで営業運転を開始した8000系8111編成

8000系は1963年〜1983年に製造された通勤車両で、私鉄の車両では最多となる712両が製造されました。

8111編成は1963年11月30日に4両編成で落成して東武東上線で運用を開始。1972年1月11日に中間車2両が落成し、6両編成化されました。6両編成のうち、4両は間もなく製造60年を迎えます。

8000系は1986年〜2007年にかけて、ほとんどの車両の車体修繕を行いました。8111編成は、修繕初年度の1986年12月3日に施工。なお、1986年度に車体修繕を行った編成は前面が原型のままでしたが、1987年度以降に車体修繕を行った8000系は、前面を大改造して原型では無くなっています。

2004年から8000系の廃車が始まり、8111編成は原型顔で残った最後の編成として注目されるようになりました。しかし、2011年6月30日で定期運用を終了しました。

東武博物館での動態保存開始と同時に登場時のツートンカラーに復元
東武博物館での動態保存開始と同時に登場時のツートンカラーに復元

2012年8月に、8111編成は東武博物館が保有する動態保存車両となりました。これに合わせて、車体カラーを8111編成がデビューした当時のロイヤルベージュ+インターナショナルオレンジのツートンカラーとしました。

8111編成は、動態保存後も本線での運行も可能。普段は南栗橋車両管区春日部支所で保管して、イベント列車等で運用したほか、車両基地で開催される一般公開イベントにも展示されました。

1970年代後半から1980年代後半までの車体カラー、セイジクリームとなった8111編成
1970年代後半から1980年代後半までの車体カラー、セイジクリームとなった8111編成

2016年8月には、塗装をセイジクリーム1色に変更。この塗装は1974年に登場したもので、後に8111編成も塗り替えられ、現行塗装のジャスミンホワイト+ロイヤルブルー・リフレッシュブルー帯に塗り替えられるまで活躍しました。

2023年10月11日に、東武鉄道は8111編成をアーバンパークライン南栗橋車両管区七光台支所に転属することを発表。車体カラーを再びツートンカラーに塗り替え、10月28日に転属機年回送列車ツアーを南栗橋〜東武日光〜七光台で運行後、七光台支所で夜間撮影会を行いました。

乗れるうちにぜひ乗っておきたい8000系8111編成
乗れるうちにぜひ乗っておきたい8000系8111編成

8111編成は11月1日から通常の列車で運用を開始。定期運用終了から12年、そして製造60年を前に定期運用に復帰したこともあり、初日から注目を集め、沿線には大勢のファンが訪れていました。

アーバンパークラインは今後、5両編成化されることになっていて、2024年度からは5両編成の新型車両を順次導入する計画となっています。

そのため、8111編成が営業運転で活躍する期間も長くないかもしれません。この機会に古き良き東武の電車に乗ってみてはいかがでしょう。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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