■小学生以下のための新型ロードスター
ジャパンモビリティショー2023の声が聞こえ始める(2023年)10月5日、マツダが「ロードスター」の大幅改良型を発表しました。
今回の改良型発売時期は「来年2024年1月中旬予定」とまでにとどめていますが、メーカーが「大幅改良」と謳っているとおり変更の範囲は多岐に渡っており、MRCC(マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール)採用や、改良版マツダコネクト起用のほか、外観では前後ランプやホイールデザインを変え…いや、改良内容は各メディアの既報をごらんいただくとして、マツダブースの前を通りかかったら、純白で塗られた新型ロードスターがどうにも気になったので、吸い寄せられるように近づいて撮った写真をお見せしましょう。
ファンも現行型ユーザーも興味津々の新型ロードスターの雄姿がこれだ!
……………。
「…ん?」と気づいたあなた、鋭い。
計器盤写真を見て「なーんかハンドルだけでかすぎやしないか?」と思った君、よくぞ見抜いた。
このロードスター、ロードスターには違いありませんが、実は外形を実車の3分の2サイズに縮小したモデル。
屋内に置かれているのでモーターぐらい組み込まれていてエリア内を走らせてもよさそうですがそれすらない・・・
最初見たとき、てっきりデザイナーが造ったロードスターのモックアップの展示品と思い込み、「マイナーチェンジのためにわざわざモックアップを造ったなんて、やはりデザインのマツダだなあ」と思ったのですが、ああ大きな勘違い。
このモデルは小学生以下の子供に乗ってもらい、オープンカーの風切るドライビングを疑似体験で楽しんでもらおうというもので、正式名は「MAZDA ROADSTER 2/3 SCALE」。
「いまの若い人たちは自動車に興味がない」といわれるようになって久しいですが、この疑似体験コーナー設置の向こう側には、まだ「若者」にさえ至っていない、小学生までのうちから車の楽しさを知ってもらい、車を造る側も使う側も活気に満ちあふれていた1980~90年代のような車社会を呼び戻したいというマツダの願いが垣間見えます。
ところで「『走らない車で風を』なんておかしいじゃないの」と思ったひと、えらい!
車両前方には運転席から見る走行中の景色がスクリーンに映し出されます。しかしこれだけならゲームセンターで100円入れて遊ぶレーシングゲームと大差なし。
秘密はスクリーン下のダクト。
車のフロアに設置されたアクセルペダルを踏むとこのダクトから風が吹き出し、本物のロードスターよろしく、オープンエア走行が(疑似的に)楽しめるという凝り様になっています。
ハンドルだけは実車のものを持ってきているので、ステアフィール・・・、正確には「ステアグリップフィール」は実体験といえましょう。
ただ乗ってバーチャルドライブするだけではなく、乗車中の子どもを専用タブレットでスタッフが撮影、その場で生成されたQRコードをたどるとその写真をダウロードできるサービスもセット。
対象年齢は小学生以下。タブレット撮影は親権者の同意が必要とのことです。
以上、今回のジャパンモビリティショーを訪れて筆者が最初に気になった、当局はニッコリ見逃してくれても子連れ客は見逃してはいけない「MAZDA ROADSTER 2/3 SCALE」のレポートでした。
(文:山口尚志 写真:山口尚志/マツダ)