GT-Rらしき日産のアレは、”竹やり”をつけ忘れているのでは?【これだけは見逃すなジャパンモビリティショー2023】

●泣く子も黙る1360馬力。楽しければいいじゃない!

「ジャパンモビリティショー」へと名前も変えて新規一転の「旧東京モーターショー」。会場へ行ったら絶対に見逃してはいけないのが、「ニッサン・ハイパーフォース」なるスポーツモデルのコンセプトカーです。

もう話題騒然ですよ。

日産ハイパーフォース
日産ハイパーフォース

パワートレインはEVで、最高出力は”1000kW”というから、わかりやすく言えば「約1360㎰」。

「えっ!!!」と思わずにはいられないのですが、絵に描いた餅のコンセプトカーなので、「言ったもの勝ち」でいいんじゃないでしょうかね。

でも、話題騒然となっているのはそこじゃない。

スバリ、見た目です!

日産ハイパーフォースの丸テールとGT-Rっぽいエンブレム
日産ハイパーフォースの丸テールとGT-Rっぽいエンブレム

日産は「GT-R」とはひとことも言っていないけれど、Cピラー周辺の造形とか、前後に「GT-R」っぽいエンブレムがついているとか、「言わなくてもわかるだろ」的な感じがプンプン。

GT-Rと言わないのは、何かあった時に「あれはGT-Rじゃないですよ、誰かそんなこと言いました?」と言い訳するための保険みたいなものでしょうか。

そっちがその気なら、こっちは「皆まで申すな」ですよ(笑)。

●口の悪い人は「族車」なんて言うけれど

でも、世間をザワつかせているのはそこじゃない。プレスデーでメディア関係者を騒然とさせたのは、その見た目の雰囲気です。

日産ハイパーフォースのリヤスタイル
日産ハイパーフォースのリヤスタイル

「これって、昔(80年代前半)に大人気だったレーシングカーのカテゴリー『スーパーシルエット』だよね」と感じたのはボクだけではないようです。懐かしすぎるよ、長谷見選手が乗っていた「トミカスカイライン」が。

スカイライン スーパーシルエット グループ5(1982)
スカイライン スーパーシルエット グループ5(1982)

リヤフェンダーに貼ってある「100kW ASSB E-40RCE」のデカールは、どう見たってその「トミカスカイライン」のベースとなっているDR30スカイラインの「4VALVE DOHC RS-TURBO」(市販車)のパクリ…いやオマージュですよ。見事です。

RSターボへのオマージュ?
RSターボへのオマージュ?

そのうえで、口の悪い人は「グラチャン仕様」とか「竹やり出っ歯」(どちらも昔の暴走族の定番カスタマイズ)なんて言ったりしているわけですが、それはそうですよね。

だって、80年前後の一部のグランチャン仕様とか竹やり出っ歯は、スーパーシルエットの車両がモチーフになっているわけですから。スーパーシルエットと暴走族の車両が紙一重なのは当然なのです。

なので、個人的に思うのは、ニッサン・ハイパーフォースに足りないのは「竹やり」…、つまり上に突き出た竹のようなマフラーじゃないかと。「竹やり出っ歯」のうち「出っ歯」はあるので、あとは「竹やり」がないとバランスが悪いと思うわけです(冗談なので本気にしないでくださいね)。

●どうせなら素直に盛り上がりたい。打ち上げ花火なんだから。

ところで、ネット記事やSNSのコメント欄を見ると、ニッサン・ハイパーフォースに関して否定的なコメントも多いようです。しかし、「モビリティショー」という祭りを盛り上げるには、こういう盛大な打ち上げ花火も必要だと思うんですけどね。

派手でナンボ、話題になってナンボ。

見た目で話題をさらう、どう考えても市販に結びつかない大胆なスポーツカーもいいじゃないですか。

少なくともボクは、絵空事のコンセプトカーを見て小難しいことを言ってツウを気取るよりも、素直に楽しめるようなポジティブな人生でいたいなって思います。

日産ハイパーフォース
日産ハイパーフォース

「すげーなあ。大胆だなあ」でいいじゃないですか。

このコンセプトカーは、将来の脱炭素社会を見据えた社会への提案…なんて真面目で高貴なものではなく、純粋に楽んで盛り上がるための車なのだから。

多様化が叫ばれる社会ですよ。自分の感覚と合わなくたって、それを尊重しなきゃ。

ただ、ある知り合いが言っていた、「2ヵ月半早かったよね。東京オートサロンでお披露目すれば大盛り上がりだったのに!」という意見には強く賛同しますが(笑)。

(工藤 貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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