目次
●泣く子も黙る1360馬力。楽しければいいじゃない!
「ジャパンモビリティショー」へと名前も変えて新規一転の「旧東京モーターショー」。会場へ行ったら絶対に見逃してはいけないのが、「ニッサン・ハイパーフォース」なるスポーツモデルのコンセプトカーです。
もう話題騒然ですよ。
パワートレインはEVで、最高出力は”1000kW”というから、わかりやすく言えば「約1360㎰」。
「えっ!!!」と思わずにはいられないのですが、絵に描いた餅のコンセプトカーなので、「言ったもの勝ち」でいいんじゃないでしょうかね。
でも、話題騒然となっているのはそこじゃない。
スバリ、見た目です!
日産は「GT-R」とはひとことも言っていないけれど、Cピラー周辺の造形とか、前後に「GT-R」っぽいエンブレムがついているとか、「言わなくてもわかるだろ」的な感じがプンプン。
GT-Rと言わないのは、何かあった時に「あれはGT-Rじゃないですよ、誰かそんなこと言いました?」と言い訳するための保険みたいなものでしょうか。
そっちがその気なら、こっちは「皆まで申すな」ですよ(笑)。
●口の悪い人は「族車」なんて言うけれど
でも、世間をザワつかせているのはそこじゃない。プレスデーでメディア関係者を騒然とさせたのは、その見た目の雰囲気です。
「これって、昔(80年代前半)に大人気だったレーシングカーのカテゴリー『スーパーシルエット』だよね」と感じたのはボクだけではないようです。懐かしすぎるよ、長谷見選手が乗っていた「トミカスカイライン」が。
リヤフェンダーに貼ってある「100kW ASSB E-40RCE」のデカールは、どう見たってその「トミカスカイライン」のベースとなっているDR30スカイラインの「4VALVE DOHC RS-TURBO」(市販車)のパクリ…いやオマージュですよ。見事です。
そのうえで、口の悪い人は「グラチャン仕様」とか「竹やり出っ歯」(どちらも昔の暴走族の定番カスタマイズ)なんて言ったりしているわけですが、それはそうですよね。
だって、80年前後の一部のグランチャン仕様とか竹やり出っ歯は、スーパーシルエットの車両がモチーフになっているわけですから。スーパーシルエットと暴走族の車両が紙一重なのは当然なのです。
なので、個人的に思うのは、ニッサン・ハイパーフォースに足りないのは「竹やり」…、つまり上に突き出た竹のようなマフラーじゃないかと。「竹やり出っ歯」のうち「出っ歯」はあるので、あとは「竹やり」がないとバランスが悪いと思うわけです(冗談なので本気にしないでくださいね)。
●どうせなら素直に盛り上がりたい。打ち上げ花火なんだから。
ところで、ネット記事やSNSのコメント欄を見ると、ニッサン・ハイパーフォースに関して否定的なコメントも多いようです。しかし、「モビリティショー」という祭りを盛り上げるには、こういう盛大な打ち上げ花火も必要だと思うんですけどね。
派手でナンボ、話題になってナンボ。
見た目で話題をさらう、どう考えても市販に結びつかない大胆なスポーツカーもいいじゃないですか。
少なくともボクは、絵空事のコンセプトカーを見て小難しいことを言ってツウを気取るよりも、素直に楽しめるようなポジティブな人生でいたいなって思います。
「すげーなあ。大胆だなあ」でいいじゃないですか。
このコンセプトカーは、将来の脱炭素社会を見据えた社会への提案…なんて真面目で高貴なものではなく、純粋に楽んで盛り上がるための車なのだから。
多様化が叫ばれる社会ですよ。自分の感覚と合わなくたって、それを尊重しなきゃ。
ただ、ある知り合いが言っていた、「2ヵ月半早かったよね。東京オートサロンでお披露目すれば大盛り上がりだったのに!」という意見には強く賛同しますが(笑)。
(工藤 貴宏)