大興奮のJMS2023で欲しくなったバイク・3選【これだけは見逃すなジャパンモビリティショー×バイクのコラム】

■2輪メインのライターがジャパンモビリティショー2023で欲しくなったバイク

東京モーターショーあらためジャパンモビリティショー2023が、東京ビッグサイトにて開催されています。

平素は自動車コラムニストとして活動している筆者も会場に馳せ参じ、四輪自動車メーカーの出展ブースを中心に取材を進めました。もちろん、リターンライダー目線で二輪関連の展示車両をチェックすることも忘れてはいません。

そこで今回は、ジャパンモビリティショー2023の会場で、個人的に目に留まった3台のバイクを紹介したいと思います。

●NinjaハイブリッドはリッターSSの半額くらい?!

Ninja 7 Hybridはロングストロークの451cc2気筒エンジンとシングルモーター、6速AMTによる二輪初のストロングハイブリッドモデル。
Ninja 7 Hybridはロングストロークの451cc2気筒エンジンとシングルモーター、6速AMTによる二輪初のストロングハイブリッドモデル。

一番に紹介するのは、カワサキの「Ninja 7 Hybrid」。すでに、このハイブリッドシステムについてのコラムも書いていますが、ジャパンモビリティショーの会場では開発に関わった方に話を伺うこともできました。

その話の中から気になった点をピックアップすると、駆動モーターとして使われているのは電動バイク「Ninja e-1」と同等ユニットであり、6速トランスミッションをAMT仕様(自動クラッチのAT)にしたのは、複雑なハイブリッド制御にライダーによる変速という要素を入れたくなかったため、そしてシングルモーターながらクラッチの制御によってエンジンで発電するモードもある、ということでした。

さらに気になる価格帯については、「ハイブリッドを用意したのは、CO2排出量削減に貢献するためであり、リーズナブルな価格設定で普及させなければ意味がないと考えています。リッターSSよりはずっと安い価格(ジェスチャーから想像すると半額くらい?)で提供できると思います」とヒントをくれました。

数年前までは二輪についてはカーボンニュートラル燃料か、フル電動以外に生き残る道はない、という風に言われていたこともありましたが、カーボンニュートラルに対するマルチパスウェイ戦略が見直されている昨今の流れが、Ninja 7 Hybridの商品化を後押ししたのでしょう。日本での発売開始を期待して待ちたいと思います。

●マルチパスウェイ対応! 水素エンジン原付が面白い

ヤマハ発動機の展示した水素エンジンのスクーター。大きなタンクを背負った姿がおもしろい。
ヤマハ発動機の展示した水素エンジンのスクーター。大きなタンクを背負った姿がおもしろい。

「マルチパスウェイ戦略」というのはカーボンニュートラルに対して、全方位で技術の可能性を探るという戦略のことです。たとえば、ゼロエミッションの内燃機関も重要なソリューションであるといえます。

より具体的にいえば、水素エンジンがマルチパスウェイ戦略における、電動化以外の有力なテクノロジーとなっています。

ヤマハ発動機のブースには、水素エンジンの新しい提案が展示されていました。それが、原付二種クラスの単気筒エンジンを水素仕様にコンバージョンしたテスト車両です。

ショーモデルとして水素エンジン仕様を目立たせるために、あえて大胆に水素タンクを背負ったようなデザインにしていますが、じつはダミーということ。それでも、このスタイルが来場者にウケていたのも事実で、水素エンジンが身近な二輪に搭載される可能性を存分にアピールすることに成功していたようです。

●懐かしの「チョイノリ」が電動になって復活する!?

パナソニックの電動sアシスト自転車のユニットを流用してチョイノリが蘇った。
パナソニックの電動アシスト自転車のユニットを流用してチョイノリが蘇った。

スズキのブースで注目を集めていたのが、「e-choinori (イーチョイノリ)」です。

とにかくシンプルな設計でリーズナブルに売り出された原付スクーター「チョイノリ」を、電動バイクとして復活させたコンセプトモデル。

そもそもチョイノリというのは、固定ギアで原付の制限速度+α程度しか出せないパフォーマンスでしたから、電動アシスト自転車のパワーユニットを活用して電動バイクに仕立てても「エンジン車よりもトルクフルで乗りやすくなっています」というのが開発者の弁。

なにより、当時のスタイルそのままにチョイノリを復活させるというアプローチは、ユニークかつ、ヘリテージを有効活用するという意味でも有効な手段といえそう。

今回のコンセプトモデルでは原付相当の性能ということですが、速度制限が20km/hで免許不要な特定小型原付として復活させてもおもしろそうですし、Z世代にも受け入れてもらえそうです。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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