■大型ディスプレイオーディオと、電動パーキングブレーキを用意
『コンセプトカー』とひと言でいっても、「未来的過ぎて絶対出ないだろう」というモデルから、「今すぐ売りそうでは?」というモデルまでいろいろあります。車好きであれば、ひな壇でアンヴェールされるコンセプトカー然としたモデルを眺めるのもいいでしょう。
一方で、あまりにも現実感が薄く、興味を惹かれない方もいるでしょう。
都内の本当に狭い住宅街に住んでいる筆者は、駐車場と道路事情からCセグメント(小さめの)級が限度で、コンパクトカーといわれるBセグから車を選択することになります。
10月28日〜11月4日まで東京ビッグサイトにて一般公開される「ジャパンモビリティショー2023」で個人的に最も見たかったのは、スズキ・スイフト コンセプトです。
現行スイフトといえば、Bセグハッチバックの中でもリーズナブルな価格設定が惹かれるポイント。物価高の中、現行スイフトスポーツでも230万円を切るプライスタグを付けています。
筆者はマツダ・デミオ(1.5LのMT車)に乗っていて、MAZDA2も含めて次期型の国産Bセグメントの行方が気になっています。
そんな中、世界初公開されたスイフトコンセプトの顔つきは、写真で見るとグリルが現行型よりも小さく、ちょっとおちょぼ口のように映りますが、写真よりも精悍な顔つきが印象的。「L」字型のデイタイムライトがアクセントになっていて、ワイド感も抱かせます。
また、前後フェンダーの張り出しは、写真で見るよりもワイド感をもたらすアクセントになっていて、安定感のあるスタンスに寄与。そのほか、ボンネットフードの先端(開口部)からサイドまでつながっているラインもシャープな印象をもたらしています。
リヤまわりでは、テールランプからバンパーまで立体的な造形になっていて、「コ」の字型のテールランプが目を惹きます。エクステリアは、基本的にはキープコンセプトのように映りますが、よりシャープな狙いがうかがえます。
インテリアは現行型よりもモダンになり、先進的な仕立てになっています。アッパーとロア部に分けた立体感のあるインパネで、大型のセンターディスプレイ、黒ベースに白い文字盤が浮かび上がる視認性の高いメーターパネル、スイッチ式のエアコンパネルなどを搭載。
センターコンソール先端には、USBポート、インパネ右下にカメラの切り替えスイッチなどを用意。アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなどのスイッチ類はステアリングに配置されています。
そのほか、センターコンソールまわりに、電動パーキングブレーキ、前席シートヒータースイッチを用意するなど、インテリアの操作系も今すぐにでも出せそうな仕上がりに映りました。
先進安全装備では、衝突被害軽減ブレーキの「デュアルセンサーブレーキサポートII」「アダプティブハイビームシステム」「ドライバーモニタリングシステム」の搭載がアナウンスされています。
パワーユニットの詳細は明らかにされていませんが、高効率エンジンの搭載などにより、走りと燃費性能を両立させるマイルドハイブリッドが採用されるようです。
発売時期は明らかにされていません。コンセプトカーの完成度からすると、2024年の前半あたりになっても不思議ではありません。なお、関係者からは、次期スイフトスポーツの存在も含めて何も聞き出せませんでしたが、ベース車の後に登場する流れになるのではないでしょうか。
(文・写真:塚田 勝弘)