コンパクトミニバンのパイオニア・ホンダ「ストリーム」登場。5ナンバーながら3列7人乗りを実現【今日は何の日?10月27日】

■背の低い扱いやすいコンパクトミニバンとして大ヒット

2000年にデビューした初代ストリーム
2000年にデビューした初代ストリーム

2000(平成12)年10月27日、ホンダからコンパクトミニバン「ストリーム」がデビューしました。

5ナンバーサイズでありながら、画期的な低重心・低床パッケージングによって流麗なスタイリングと、3列7人乗りの室内空間を実現して、扱いやすいコンパクトミニバンとして大ヒットしました。


●ホンダのミニバン攻勢はオデッセイから始まった

1990年に、“天才タマゴ”のキャッチコピーとともに、トヨタのミニバン「エスティマ」がデビューしました。エスティマは、従来のワンボックススタイルでなく、洗練された1.5ボックスの卵型フォルムで大ヒット、ミニバンブームに火を付けたのです。

1994年発売の大ヒットしたオデッセイ
1994年発売の大ヒットしたオデッセイ

後れを取ったホンダが、エスティマの対抗馬として1997年に投入したのが「オデッセイ」でした。オデッセイは、ホンダが進めた “クリエイティブ・ムーバー(生活創造車:空間効率に優れ、走行中でも停車中でも楽しめる車)”というコンセプトに基づいて開発されました。

1996年にデビュー、ミッドサイズのミニバンとして大ヒットしたステップワゴン
1996年にデビュー、ミッドサイズのミニバンとして大ヒットしたステップワゴン

オデッセイは、全高を可能な限り低くしたスタイリッシュなフォルムに、後席ドアはミニバンの特徴であるスライド式でなく、乗用車の感覚を大事にしてあえて乗用車と同じヒンジ式でした。エスティマよりさらに乗用車ライクで、ステーションワゴンの背を高くしたような独特なスタイルで大ヒットを記録しました。

●コンパクトミニバンとしてデビューしたストリーム

オデッセイに続いて1996年にデビューしたミッドサイズのミニバン「ステップワゴン」も大ヒット。それに続いたのがコンパクトサイズのミニバン「ストリーム」でした。

2000年発売のストリームの後ろ外観、背の低い流麗なスタイリング
2000年発売のストリームの後ろ外観、背の低い流麗なスタイリング

ストリームは、“新価値7シーター”をコンセプトに、従来のミニバンにはない低重心・低床パッケージングによって、5ナンバーサイズでありながら3列シート7人乗りの室内空間と流麗なスタイリングを両立。

パワートレインは、1.7L直4 VTECエンジンと4速AT、2.0L直4 i-VTECにはスポーツモード付き4速および5速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFとフルタイム4WDが用意されました。

2000年発売のストリームの3列シートレイアウト
2000年発売のストリームの3列シートレイアウト

車両価格158.8万~189.8万円(1.7L)/189.8万~227.8万円 (2.0L)で販売されたストリームは、販売から10ヶ月で10万台を超える大ヒット。ちなみに当時の大卒の初任給は、19.7万円(現在は約23万円)程度でした。

ところが、2003年に同じコンセプトのトヨタ「ウィッシュ」が登場すると、状況は一変してストリームの販売台数は減速し始めたのです。

●ストリームを凌駕したウィッシュも生産終了

ウィッシュは、ストリームとまったく同じコンセプトで、ボディサイズもスタイリングもストリームに似通ったコンパクトミニバンでした。

2003年にデビューしたトヨタのウィッシュ、ストリームに続いて大ヒット
2003年にデビューしたトヨタのウィッシュ、ストリームに続いて大ヒット

ストリームの開拓した市場を奪取したウィッシュは、最初の1年間で15万台を販売する大ヒットを記録。トヨタは、ストリームの市場評価を分析して、コンセプトとボディサイズをほぼ同じにしながらも、すべてにおいてストリームを少しずつ上回る、いわゆる“2番手戦略”で成功したのです。

ところが、その後ウィッシュの販売も徐々に失速し、2017年に生産を終了しました。ちなみに、ストリームは2014年に生産を止めていました。

ウィッシュの販売低迷の理由は、市場が求めるミニバンのスタイルの変化、よりファミリー志向が強くなったことに関係しています。乗用車のようなスタイリッシュさよりも、余裕のある室内の広さ(車高の高さ)や乗降のしやすさ(両側スライドドア)が必須アイテムとなってきたからでした。


オデッセイやストリームが開拓した乗用車ライクなミニバンは、現在は市場から淘汰されています。軽でも、車高の高いスーパーハイトワゴンが長く主流になっており、このトレンドがミニバンでも定着しています。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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