面白くするため運転を難しくしました!? ヤマハが新しい乗り物はモビリティの非常識!?【これだけは見逃すなジャパンモビリティショー2023】

■モビリティは簡単で安心なだけでは面白くない!?

「走る楽しさを追求」なんていうと、この業界ではよく聞くフレーズですが、ここまでラジカルにもういちどそれを追求しようという車両があるでしょうか?

3輪3WSは乗りやすいわけではありません。ヤマハ発動機はそれをわかっていて作っているのです。洗練されたスマートなデザインにだまされてはいけません。この乗り物は反逆児です。

■後輪がステアする

TRICERAはフロント駆動のEVです。
TRICERAはフロント駆動のEVです。

現代の潮流として、自動車やオートバイといったモビリティは、誰でも簡単に、安心して走れる、乗れる方向に進化しています。

ところが、ヤマハ発動機がジャパン・モビリティー・ショーに参考出展したこのTRICERAはまったくちがいます。まず2輪車の全身で操る楽しさ、4輪車の安定感、それを融合させた新しい楽しさを求めて3輪としたそうですが、この車両、後輪がステアするのです。

まぁ、4輪車でも4WSというのは昔からある機構です。このTRICERAは、前輪は通常の機械的な機構でステアし、後輪は電動アクチュエーターでステアするのですが、基本的には自動で制御し、低速では逆位相で小回りがきくようにし、高速では同位相で安定感を出すというのが後輪ステアの公道でのコンセプトです。それはいいとしましょう。

■運転はむずかしい!?

TRICERAの後輪はご覧のように、けっこう切れます。
TRICERAの後輪はご覧のように、けっこう切れます。

しかし、TRICERAはそれにとどまりません。手動でも後輪ステアができるように切り替えられるようにするというものです。

そうなるとどうなるか? 難しくなるのです!

そう、簡単なものが楽しいとは限らない。たとえば楽器だって難しいことができるようになるから楽しいという部分があるので、車両だってそれでもいいんじゃないかというのです。

運転は難しい、とはいえリヤステアで旋回中心が変わるのはほかにはない感覚だし、3輪であることで車両の動きもリニアにお尻に感じられて楽しいそうです。

これが扱えるようになると、いままでの2輪車や4輪車ではできなかった走りができるようになるかもしれない。自動運転化に向かおうという大きな流れがあるこの時代に、そういう、乗り物の楽しさをゼロから考え直してみようという試作車なのです。

ジャパンモビリティショーでは、展示車両がときどき自動で操舵するようになっているので、見ていると動きがわかります。なんか近未来的でカッコいいです。

なお、この展示車両そのものは走行できないそうですが、走行できる試作車もあり、実際に走行実験を行っているそうです。その映像は展示車両のすぐ脇のモニターで見ることができるのですが、やはり通常の4輪車とはなんか違う動きをしています。これはぜひいちど運転してみたくなりますね。

プレスブリーフィングでもヤマハ発動機の日髙祥博社長自ら「ハンドリングのヤマハ」と強調してたくらいですから、きっと楽しめるハズです!

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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