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■モビリティは簡単で安心なだけでは面白くない!?
「走る楽しさを追求」なんていうと、この業界ではよく聞くフレーズですが、ここまでラジカルにもういちどそれを追求しようという車両があるでしょうか?
3輪3WSは乗りやすいわけではありません。ヤマハ発動機はそれをわかっていて作っているのです。洗練されたスマートなデザインにだまされてはいけません。この乗り物は反逆児です。
■後輪がステアする
現代の潮流として、自動車やオートバイといったモビリティは、誰でも簡単に、安心して走れる、乗れる方向に進化しています。
ところが、ヤマハ発動機がジャパン・モビリティー・ショーに参考出展したこのTRICERAはまったくちがいます。まず2輪車の全身で操る楽しさ、4輪車の安定感、それを融合させた新しい楽しさを求めて3輪としたそうですが、この車両、後輪がステアするのです。
まぁ、4輪車でも4WSというのは昔からある機構です。このTRICERAは、前輪は通常の機械的な機構でステアし、後輪は電動アクチュエーターでステアするのですが、基本的には自動で制御し、低速では逆位相で小回りがきくようにし、高速では同位相で安定感を出すというのが後輪ステアの公道でのコンセプトです。それはいいとしましょう。
■運転はむずかしい!?
しかし、TRICERAはそれにとどまりません。手動でも後輪ステアができるように切り替えられるようにするというものです。
そうなるとどうなるか? 難しくなるのです!
そう、簡単なものが楽しいとは限らない。たとえば楽器だって難しいことができるようになるから楽しいという部分があるので、車両だってそれでもいいんじゃないかというのです。
運転は難しい、とはいえリヤステアで旋回中心が変わるのはほかにはない感覚だし、3輪であることで車両の動きもリニアにお尻に感じられて楽しいそうです。
これが扱えるようになると、いままでの2輪車や4輪車ではできなかった走りができるようになるかもしれない。自動運転化に向かおうという大きな流れがあるこの時代に、そういう、乗り物の楽しさをゼロから考え直してみようという試作車なのです。
ジャパンモビリティショーでは、展示車両がときどき自動で操舵するようになっているので、見ていると動きがわかります。なんか近未来的でカッコいいです。
なお、この展示車両そのものは走行できないそうですが、走行できる試作車もあり、実際に走行実験を行っているそうです。その映像は展示車両のすぐ脇のモニターで見ることができるのですが、やはり通常の4輪車とはなんか違う動きをしています。これはぜひいちど運転してみたくなりますね。
プレスブリーフィングでもヤマハ発動機の日髙祥博社長自ら「ハンドリングのヤマハ」と強調してたくらいですから、きっと楽しめるハズです!
(まめ蔵)