トヨタ「クラウンクロスオーバー」VS. プジョー「408」、セダン+SUVの新感覚モデル対決!【ライバル徹底比較】

■高級セダンのクラウンも時代の潮流に乗りクロスオーバー化

1955年に登場したトヨタ・クラウンは、国産高級セダンの代名詞として君臨してきました。しかし、2022年7月に発表された16代目クラウンは、クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートという4つのバリエーションとなりました。

クラウンクロスオーバー VS. プジョー408
クラウンクロスオーバー VS. プジョー408

その新世代クラウンの第1弾として登場したのは、セダン+SUVという新たな潮流に乗ったトヨタ・クラウンクロスオーバーでした。

このセダン+SUVというスタイルは欧州では多くのモデルが取り入れており、2023年に日本に導入されたプジョー・408もトヨタ・クラウンクロスオーバーと同じセダン+SUVのファストバックとなっています。

ここではセダン+SUVのファストバックという新種モデルとして登場したトヨタ・クラウンクロスオーバーとプジョー408を比較してみます。


●【外装比較】両モデルともルーフラインからリアへと伸びやかなラインが美しさを表現

トヨタ・クラウンクロスオーバーのフロントスタイル
トヨタ・クラウンクロスオーバーのフロントスタイル

2022年の販売開始から、ちょうど1年が経過したトヨタ・クラウンクロスオーバー。セダン+SUVという革新的なパッケージにより、新しい価値を提供しています。ボディサイズは、全長4,930mm×全幅1,840mm×全高1,540mmというワイド&ローのフォルムが特徴です。

トヨタ・クラウンクロスオーバーのリアスタイル
トヨタ・クラウンクロスオーバーのリアスタイル

外観デザインでは、スタイリッシュなクーペライクなシルエットと、力強さを感じさせるリフトアップスタイルを組み合わせることで、流麗さとダイナミックさを両立させています。また、従来のセダンの常識を打ち破る、19~21インチという大径タイヤを装着することで、踏ん張り感のある力強いスタイルとなっています。

プジョー・408GTハイブリッドのフロントスタイル
プジョー・408GTハイブリッドのフロントスタイル

一方、プジョー408は2023年6月に日本市場に導入されました。プジョー408を見て、トヨタ・クラウンクロスオーバーが行った変革を理解することができました。既存のボディタイプにこだわらず、セダンの品格とクーペの美しさに、SUVの快適性を融合させるのは最新のトレンドだったからです。

プジョー・408GTハイブリッドのリアスタイル
プジョー・408GTハイブリッドのリアスタイル

プジョー・408のボディサイズは全長4,700mm×全高1,850mm×全高1,500mmで、全長は230mmクラウンクロスオーバーのほうが長くなっていますが、そのほかはほぼ同じ数値となっています。

プジョー・408の外観で特徴なのは、センターにライオンエンブレムを配した大型フレームレスグリルです。「解き放たれた新種」をコンセプトにした外観デザインは、エアロダイナミクスを緻密に計算し、美しいスタイルの魅力を発揮しつつ、実用性も兼ね備えています。

●【内装比較】両車ともにシンプルな美しさを追求しているが、先進性ではプジョー・408が上回る

トヨタ・クラウンクロスオーバーのインストルメントパネル
トヨタ・クラウンクロスオーバーのインストルメントパネル

トヨタ・クラウンクロスオーバーの内装は、インストルメントパネルからドアにかけて、ひと続きで包み込むような造形を採用。また、ディスプレイや操作スイッチを水平方向に集約したことで、どの席からも直感的に操作できるレイアウトとなっています。この結果、ドライバーは運転に集中でき、同乗者は心地良く移動できる全席特等席を実現しています。

また、過度に飾り立てず温かみを感じられる金属加飾「WARM STEEL」をはじめ、内装部品一つ一つにもこだわり、上質で豊かさを感じられる空間を演出しています。

プジョー・408GTハイブリッドのインストルメントパネル
プジョー・408GTハイブリッドのインストルメントパネル

プジョー・408のインテリアは、黒を基調としたシックな空間に、多くの革新的な機能が組み込まれています。小径ハンドルやスマートフォンのような滑らかな操作を可能とする10インチタッチスクリーン。ドライバーを取り囲むセンターコンソールと一体化したレイアウトの「プジョーi-コクピット」を採用しているのが特徴です。

トランク容量は450L確保しているトヨタ・クラウンクロスオーバー
トランク容量は450L確保しているトヨタ・クラウンクロスオーバー

ラゲッジスペースの容量はトヨタ・クラウンクロスオーバーが450Lで、一般的な形状の9.5インチのゴルフバックは最大で3個積載可能です。

5人乗車時のラゲッジ容量は536Lを確保するプジョー408GT
5人乗車時のラゲッジ容量は536Lを確保するプジョー408GT

一方のプジョー・408は、5名乗車時で最大536L。後席の背もたれをすべて前に倒すと最大1,611Lまで拡大します。


●【パワートレイン比較】駆動方式は4WDのみでも、パワーと燃費を両立したトヨタのハイブリッドシステムは魅力

2.5Lエンジンのハイブリッドシステムを搭載
2.5Lエンジンのハイブリッドシステムを搭載

新開発の軽量・高剛性のTNGAプラットフォームを採用した、トヨタ・クラウンクロスオーバーに搭載されているパワートレインは、2種類のハイブリッドシステムです。

G、X系グレードに搭載されているのは、最高出力186ps・最大トルク221Nmを発生する2.5L直列4気筒ガソリンエンジンに、最高出力119.6ps・最大トルク202Nmを発生するフロントモーター。そして最高出力54.4ps、最大トルク121Nmを発生するリアモーターを組み合わせたハイブリッドシステム。

そしてRS系グレードには、最高出力272ps・最大トルク460Nmを発生する2.4L直列4気筒ガソリンターボエンジンに、最高出力82.9ps・最大トルク202Nmのフロントモーター。そして最高出力80.2ps・169Nmを発生するリアモーターを組み合わせたハイブリッドシステムです。

組み合わされるトランスミッションは、2.5LエンジンがCVT、2.4Lターボエンジンが6速ATです。駆動方式は4WDのみで、使用燃料は2.5Lがレギュラーガソリン、2.4Lターボがハイオクガソリンと異なります。燃費性能はWLTCモードで、2.5Lハイブリッドが22.4km/L。2.4Lターボハイブリッドは15.7km/Lとなっています。

プジョー・408GTハイブリッドが搭載している1.6LのPHEVシステム
プジョー・408GTハイブリッドが搭載している1.6LのPHEVシステム

プジョー・408に搭載されているパワートレインも2種類です。アリュールとGTに搭載されているのは、最高出力130p・最大トルク230Nmを発生する1.2L直列3気筒ガソリンターボエンジン。そしてGTハイブリッドには、最高出力180ps・最大トルク250Nmを発生する1.6L直列4気筒ガソリンターボエンジンに、最高出力110ps・最大トルク320Nmを発生するモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステム(PHEV)を搭載しています。

組み合わされるトランスミッションは8速ATで、駆動方式は2WD(FF)のみとなっています。使用燃料はハイオクガソリンで、燃費性能はWLTCモードで、1.2Lターボ車は16.7km/L。PHEVは17.1km/Lで、満充電時のEV走行可能距離は66kmとなっています。

●【走り・乗り心地比較】プジョー・408はトーションビームとは思えないシットリとした乗り心地の良さを実現

トヨタ・クラウンクロスオーバーの走行シーン
トヨタ・クラウンクロスオーバーの走行シーン

トヨタ・クラウンクロスオーバーは、パワフルさを前面に押し出した2.4Lターボエンジンのハイブリッドシステムを搭載したRS系と、2.5LハイブリッドのX、G系では走りと乗り心地は大きく異なります。

パワフルなパワートレインを搭載したRS系は、ハンドリングもスポーティな味付けが施されており、ドライバーが人馬一体を味わえる仕様となっています。ドライバーのアクセルペダルの操作にリニアに対応し、気持ちの良いドライビングフィールを味わえます。その反面、乗り心地は装着している21インチタイヤとともにかなり引き締められていて、硬さを感じるハードな味付けとなっています。

225/55R19という大径タイヤを標準装備するG アドバンスド
225/55R19という大径タイヤを標準装備するG アドバンスド

一方、X、Gはこれまでのクラウンを彷彿させる穏やかな乗り心地が特徴です、個人的に特に気に入ったのは19インチタイヤを装着したグレード。駆動方式は変わってもクラウンらしい、無駄な動きが少ないフラットライドな乗り心地を味わうことができます。

プジョー・408GTハイブリッドの走行シーン
プジョー・408GTハイブリッドの走行シーン

一方、プジョー・408のサスペンション形式は、フロントがストラット式、リアがトーションビーム式です。

トヨタ・クラウンクロスオーバーのフロントはストラット式、リアはマルチリンク式と比べると物足りなく感じるかもしれませんが、リアタイヤの接地感も抜群で、フラットライドな乗り心地は格別です。

205/55R19という大径タイヤを装着
205/55R19という大径タイヤを装着

しかし、プジョー独特のi-コクピット特有の小径ハンドルを操作すると、車は間髪入れず動いてくれます。その際、コーナリング時のロール量はかなり抑えているだけでなく、路面からの衝撃もいなしてくれるので、フランス車らしい乗り味の良さを実現しています。

プジョー・408に乗ると、これがリアトーションビームなの?と疑ってしまいたくなるほど、絶妙なチューニングが施されています。この感覚は1.2L車、ハイブリッド車でも変わりません。ハンドリングの良さはフロントが軽い1.2Lターボ車が有利となっています。

トヨタ・クラウンクロスオーバーの車両本体価格は435万~640万円。そしてプジョー408は429万~629万円と、まさにクロスオーバーしています。

乗り比べると、クラウンクロスオーバーはプジョー・408のようなフランス車の乗り味を目指しているのではないかと思うほど似ていると感じました。燃費重視ならば、クラウンクロスオーバー2.5L車ですが、プジョー408GTのPHEVというのが時代にマッチした選択と言えるでしょう。

【Specification】

■トヨタ・クラウンクロスオーバーG アドバンスド:全長4,930×全幅1,840×全高1,540mm、ホイールベース:2,850mm、車両重量:1,770kg、エンジン種類:直列4気筒DODHC、総排気量:2,487cc、最高出力:186ps/6,000rpm、最大トルク:221Nm/3,600〜5,200rpm、モーター種類:交流同期電動機、フロント最高出力:119.6ps、最大トルク:202Nm、リア最高出力:54.4ps、最大トルク:121Nm、WLTCモード燃費:22.4km/L、タイヤサイズ:225/55R19、車両本体価格:510万円

■プジョー・408GTハイブリッド:全長4,700×全幅1,850×全高1,500mm、ホイールベース:2,790mm、車両重量:1,740kg、エンジン種類:直列4気筒DOHCターボ、総排気量:1,598cc、最高出力:180ps/6,000rpm、最大トルク:250Nm/1,750rpm、モーター種類:交流同期電動機、最高出力:110ps、最大トルク:320Nm、WLTCモード燃費:17.1km/L、タイヤサイズ:205/55R19、車両本体価格:629万円

(文・写真:萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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