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■0-100km/h加速は3.3秒で、スポーツカー顔負けの加速を引き出す
メルセデス・ベンツが誇る最上級セダンであるSクラス。同ブランドのファンであれば、SUVやEVが増えても「いつかは乗ってみたい」と憧れる存在ではないでしょうか。
Sクラスの中でも頂点に立つプラグインハイブリッドの「メルセデス AMG S 63 E PERFORMANCE Edition1(S 63 E PERFORMANCE)」が、2023年9月27日に発表されました。同年10月17日までの期間限定での受付になり、デリバリーは10月以降、順次開始される予定。
販売台数は30台限定で、限定台数以上の申込みがあった場合は、抽選販売になります。
メルセデスAMG社が手がけたプラグインハイブリッドの「S 63 E PERFORMANCE」は、「メルセデスAMG S 63」において、史上最もパワフルなモデルです。
F1由来の技術が投入されたパワートレーンは、4.0L V8ツインターボエンジンに高効率な交流同期モーターとAMG自社開発の容量13.1kWhの高性能バッテリー、AMGのハイパフォーマンス型の連続トルク可変配分四輪駆動システム「4MATIC+」が組み合わされています。
システム最高出力590kW(802PS)に達し、最大システムトルクは脅威の1430Nm以上を発揮。0-100km/h加速はわずか3.3秒で到達するそうですから、スポーツカー並の加速性能を備えています。
出力140kW(190PS)の交流同期モーターはリヤアクスルに搭載され、電動シフト式2速トランスミッションと電子制御式リミテッドスリップデフとともに、コンパクトなエレクトリックドライブユニット(EDU)にまとめられています。サプライヤーなどにより「P3ハイブリッド」と呼ばれているレイアウトが採用されています。「P3」は、変速機内、あるいは変速機よりも下流にモーターが配置されたハイブリッドのことです。駆動用バッテリーは、リヤアクスル上方に搭載されています。
●航続距離よりもハイパフォーマンスを優先したバッテリー設計
先述したようにバッテリーは13.1kWhという容量で、連続出力80kW、最高出力140kW(10秒間)を発生。同バッテリーは、航続距離を延ばすことよりも、速やかな放電と充電が行えることを重点に置いて設計されています。
EV走行可能距離は37kmで、近距離のドライブがまかなえるだけでなく、早朝深夜などに静かに移動したい際にも重宝するはず。
バッテリーセルは直接冷却式で、充放電の頻度に関係なく平均45度という最適な動作温度範囲内に常に保たれ、サーキットなどでの高付加域でも性能を維持できるとのこと。さらにバッテリーを直接冷却することで、回生ブレーキも最適化が可能になるとともに、4段階の強さの回生ブレーキをステアリングスイッチで選択可能になっています。
AMG ダイナミックセレクトには「Electric(電動)」、「Comfort」、「Battery Hold(バッテリーホールド)」、「Sport」、「Sport+」、「Slippery(滑りやすい路面向き)」、「Individual」の7つのモードが用意されていて、走行状況などに応じて変更できます。
メカニズム面では「BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)」の搭載も見どころで、ジェネレーターとスターターを1つのモーターに統合。エンジンを始動させるだけでなく、エアコンなどの電装品に対して基本的な電力が供給されます。BSGは、400V高電圧電気システムに組み込まれていて、ハイレスポンスを実現。
トランスミッションは、トルコンの代わりに湿式多板クラッチが搭載され、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率が実現されています。さらに、連続トルク可変配分式四輪駆動システム「4MATIC+」は、フロントアクスルとリヤアクスルへの可変のトルク配分により、物理的な限界まで最適なトラクションを確保するだけではなく、ドライ、ウェット、スノーなど、あらゆる走行条件下で高い操縦安定性と安全性を実現します。
足まわりには、「AMG RIDE CONTROL+エアサスペンション」が備わり、セルフレベリング機構付マルチチャンバーエアサスペンションをベースに、減衰力特性の調整が可能な電子制御アダプティブダンパーと組み合わせたシステムにより、快適性を高めつつ、スポーティな走りを可能にするとしています。加えて、ダイナミクス性能を高める「AMG ACTIVE RIDE CONTROL」、小回り性能と操縦安定性を高めるリヤアクスルステアリングも用意されていて、取り回しのしやすさと高速域のスタビリティ向上に寄与します。
●AMGらしいスポーティな内外装も魅力
内外装のトピックスは、まず「MANUFAKTUR アルペングレー(ソリッド)」のボディカラーと各所に施されたブラックアクセント。21インチの「AMGクロススポークアルミホイール(鍛造)」とレッドペイントブレーキキャリパーが備わり、足元からエクステリアを引き締めています。また、給油口にはAMGのロゴ入りフューエルフィラーキャップ(シルバークローム)、「Edition1」のロゴ入りインドアカーカバーも標準装備され、特別感が演出されています。
エクステリアデザインでは、Sクラスで初めて垂直ルーバーとセントラルスターグリルが備わるAMG専用フロントグリルが目を惹きます。ボンネット中央にある先端のマスコットがシルバークローム/ブラックのAMGエンブレムに置き換えられています。
さらに、大きなサイドエアインレットを備えたジェットウィングデザインのフロントエプロンが、フロントマスクを印象づけています。サイドビューでは、21インチのAMGホイールとAMGのサイドシルパネルが目を惹き、リヤエンドには、スクエアタイプの4本出しエグゾーストエンド、縦フィンとディフューザーボードを備えたワイドディフューザーなどが用意され、スポーティ感を強調。
Sクラスらしい高い質感を備えたインテリアはAMGならではのレーシーなムードが演出されています。「AMGパフォーマンスステアリング(ナッパレザー)」、「AMGドライブコントロールスイッチ」、「AMGスポーツペダル」、「AMGロゴ入りイルミネーテッドステップカバー」を特別装備。AMG専用のダイヤモンドステッチ付シートに加え、AMGバッジ付の前席バックレスト、ヘッドレストにはエンボス加工されたAMGロゴも備わります。
なお、対話型インフォテインメントシステムの「MBUX」はハイブリッドモデル専用ディスプレイになっています。
世界のセダンの中でもトップクラスの快適性、ドライバーズサルーンといえる資質を持つSクラス。究極の速さとプラグインハイブリッドシステムにより、37kmのEV走行も可能な「メルセデス AMG S 63 E PERFORMANCE Edition1」は、1台ですべてをまかなえそうな究極のユーティリティプレイヤーといえそうです。
●価格:4040万円
(塚田 勝弘)