ヤマハ「TRACER9 GT+」にミリ波レーダー活用のACCとブレーキアシストが搭載される【バイクのコラム】

■世界初、ミリ波レーダーと連携したブレーキシステム

ミリ波レーダーの情報を使い、エンジン・サスペンション・ブレーキを統合制御する。
ミリ波レーダーの情報を使い、エンジン・サスペンション・ブレーキを統合制御する。

史上最強に暑かった夏の終わりもみえてきた今日この頃、ツーリングシーズンがやってくる!とワクワクしているライダーの方も多いのではないでしょうか。

そんなツーリングシーズンにピッタリといえるニューモデルが、ヤマハ発動機から誕生します。

それが888cc 3気筒エンジンのツアラー「TRACER9 GT+」です。

バイクとしての基本的なメカニズムは、TRACER9 GTをベースにしつつ、ヤマハ発動機として初めてミリ波レーダーを使うACC(アダプティブクルーズコントロール)を搭載したことで、その名前に「+」の文字が加わったモデルと理解していいでしょう。

左側のスイッチでACCをコントロール。追従走行時の車間設定は4段階に設定できる。
左側のスイッチでACCをコントロール。追従走行時の車間設定は4段階に設定できる。

四輪においては、軽自動車クラスでもACCは珍しい装備ではなくなっています。高速道路などで前方を走る車との距離をミリ波レーダーなどのセンサーによって測定、速度を合わせ、常に最適な車間距離を維持してくれる機能として知られています。

こうした機能は、ツーリングでライダーの疲労を大幅に軽減してくれることは確実です。

さらに「TRACER9 GT+」においては、旋回を検知すると、車速の上昇を抑えたり、先行車がいる場合は追従加速度も制限したりする「旋回アシスト機能」を搭載。ウインカー操作により、車両が追い越し状態にあると判断すると、通常の車速回復時よりもスムーズに加速する「追い越しアシスト機能」も装備しているというのも、バイクのACCとして注目すべき機能といえます。

さらにミリ波レーダーを使ったUBS(ユニファイドブレーキシステム)を、自動二輪車として世界で初めて搭載しています。

●スマホにつながる7インチ液晶メーターも魅力

専用アプリを使うことで7インチ高輝度TFTメーターに地図表示が可能となる。
専用アプリを使うことで7インチ高輝度TFTメーターに地図表示が可能となる。

具体的には『前走車との車間に対し、ライダーのブレーキ入力が不足している場合、前後配分を調整しながら自動でブレーキ力をアシストする』という機能。ミリ波レーダーと6軸IMUの情報を連動させ、ブレーキアシストに合わせて電子制御サスペンションのセッティングを変更、前後の動きであるピッチングを抑えて、安定した車両姿勢を実現するといった機能も与えられています。

まさにハイテク系ツーリングモデルというわけです。

スマートフォンと連携する7インチの高輝度液晶メーターを備えているというのも、最新テクノロジーを搭載したツアラーというキャラクターを引き立てます。

●ツーリングシーズン真っ盛りの10月6日に発売

888cc 3気筒エンジンを積むTRACER9 GT+。メーカー希望小売価格は182万6000円。
888cc 3気筒エンジンを積むTRACER9 GT+。メーカー希望小売価格は182万6000円。

電子制御デイバスでいえば、ほかにも「シフトアップ&ダウンに対応する第3世代クイックシフター」や「SPORT/STREET/RAIN/CUSTOMの4モードから選べる走行モード」といった機能も備えていることも見逃せません。

なにより、これだけ電脳化したハイテクモデルながら、182万6000円というメーカー希望小売価格はある意味でバーゲンプライスといいたくなるほど高コスパに感じます。

ミリ波レーダーを搭載した「TRACER9 GT+」の発売は2023年10月6日(金)。国内での年間販売計画は1000台と発表されています。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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