マツダ「ユーノスロードスター」デビュー。ライトウェイトスポーツの傑作はベースグレード170万円で人気沸騰【今日は何の日?9月1日】

■人馬一体のコンセプトで走る楽しさを追求したライトウェイトスポーツ

1989年にデビューした初代ユーノスロードスター(NA)
1989年にデビューした初代ユーノスロードスター(NA)

1989(平成元)年9月1日、現在もマツダで継承されている開発コンセプト“人馬一体”をベースに開発された「ユーノスロードスター(NA型)」がデビューしました。

魅力的なスタイリングと軽快な走り、優れた操縦安定性、安価な価格で、たちまち世界中で大ヒット。ライトウェイトスポーツブームを巻き起こしたのです。


●先行発売された米国では英国製小型オープンスポーツの再来と話題に

マツダの開発コンセプト“人馬一体”は、ユーノスロードスターの開発から始まりました。人馬一体とは、乗り手がまるで自分の手足のように馬を操り、また馬も乗り手の要求に完璧に応え、馬と人が一体となったかのように、自由自在に走り回ることを意味します。

ユーノスロードスターのリアビュー
ユーノスロードスターのリアビュー

ロードスターが目指したのは、絶対的な速さやパワーでなく、誰が乗っても容易に操れて、純粋に軽快な走りを楽しむスポーティなオープンモデル。欧米では、1950年代から1960年代にかけて、英国のMGやトライアンフ、ロータスなどが同様のコンセプトの軽量小型スポーツカーを世に送り出し人気を集めました。

ロードスターが日本に先行して1989年5月に米国で発売されたときには、先の英国製小型オープンカーの再来と大きな話題を集めました。その3ヶ月後にロードスターは日本でデビューを果たしたのです。

●軽量コンパクトと50:50の前後重量配分で軽快な走りを実現

車名にあるユーノスロードスターの“ユーノス”は、当時展開していた5チャンネル(販売系列)のひとつで、同年に新設された高級車などのスペシャルティカーを扱う販売チャンネルの名称です。

ロードスターの特徴は、スポーツカーらしい軽快な走りを実現するための徹底した軽量コンパクト化と、重量を車体中央に集中させた50:50の理想的な前後重量配分。これによって、スポーツカーらしいレスポンスに優れたハンドリング性能と操縦安定性が実現されました。

エクステリアとインテリアのデザインは、能面をモチーフにした和のテイストを生かして新時代のスポーツカーをアピール。パワートレインは、あえてターボは使わず、最高出力120PSを発揮する1.6L直4 DOHCエンジンを縦置きにしたFRレイアウトでした。

車両価格は、ベースグレードの5MT車が170万円、半年後に追加された4AT車が174万円と、手軽に入手できる低価格も人気を加速させました。ちなみに、当時の大卒初任給は、17万円程度(現在は約23万円)でした。

発売と同時にバックオーダーを抱えるほどの好調な滑り出しで、月間販売台数は8000台を超え、その年の販売台数は2万5000台を超えました。

●2人乗りオープンスポーツの累計販売で世界一としてギネス更新中

その後もロードスターは、2代目(NB:1998年~)、3代目(NC:2005年~)、現在の4代目(ND:2015年~)へと進化を続け、相変わらず多くのファンを魅了しています。

それを表すようにロードスターは、2005年に“2人乗りのオープンスポーツ”として生産累計53万台で世界一としてギネスブックに認定され、その後も2007年80万台、2011年90万台、2017年に累計100万台を超え、現在もギネス記録を更新中です。


手軽に手頃な価格で、小気味よい走りが楽しめるオープンカーとして、世界中から称賛された初代ユーノスロードスター。国内では唯一無二の存在として、現在も多くのファンから絶大な人気を獲得しています。ピュアエンジンのスポーツモデルの存続が危ぶまれる中、ライトウェイトスポーツのけん引役として、これからも多くのファンの期待に応えて欲しいですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる