第5戦S-GT鈴鹿、大逆転で優勝をもぎ取ったUPGARAGE NSX GT3【スーパーGT 2023 GT300】

■FCYが続くも大きなアクシデントの無い展開だった鈴鹿

2023年8月27日(日)に三重県・鈴鹿サーキットで開催された「2023 AUTOBACS SUPER GT第5戦SUZUKA GT 450km RACE」の決勝。

スタートラップの様子
スタートラップの様子

気温33度という暑さの中スタートした450kmレースは、路面温度50度という灼熱の暑さ。富士戦では悪天候によりキャンセルされた地元県警察(鈴鹿では三重県警察)の白バイ8台、パトロールカー3台による交通安全啓発のパレードラップに続き、フォーメーションラップを経て、GT300クラスの決勝が切られます。

中盤で上位に抜け出そうとするマシンたち
中盤で上位に抜け出そうとするマシンたち

ポールポジションからスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTがホールショット、1周目からガンガンと攻めまくりながらリードを拡げ、2周目には約3秒というアドヴァンティージを築きます。2番手には96号車 K-tunes RC F GT3、3番手には4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG、4番手には87号車 Bamboo Airways Lamborghini GT3が続きます。

グッドスマイル 初音ミク AMGのピット
グッドスマイル 初音ミク AMGのピット

第5戦鈴鹿も450kmというレース距離で、2回の給油をともなうピットインが義務づけられています。前戦の富士より5周目に入らなければ給油作業を行えないというルールも定められおり、5周回を過ぎると、5番手を走っていた50号車 ANEST IWATA Racing RC F GT3をはじめ、5号車 マッハ車検 エアバスター MC86マッハ号や、7号車 Studie BMW M4などがピットイン。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

トップのSUBARU BRZ R&D SPORTなどは、この時点ではコースに留まります。また、順位を落とし始めていたK-tunes RC F GT3に代わって2番手となったグッドスマイル 初音ミク AMG、3番手にはBamboo Airways Lamborghini GT3というトップ3を形成。

これもSUBARU BRZ R&D SPORTが16周で、グッドスマイル 初音ミク AMGは18周でピットインし、一時は87号車 Bamboo Airways Lamborghini GT3、No.88 JLOC ランボルギーニ GT3ウラカンGT3のワン・ツー体制となりますが、この2台も24~25周目にピットイン。

Bamboo Airways ランボルギーニ GT3のピット
Bamboo Airways ランボルギーニ GT3のピット
SUBARU BRZ R&D SPORT中盤のバトル
SUBARU BRZ R&D SPORT中盤のバトル

ほぼ全車が1回目のピット義務をクリアしたレース中盤。ここでトップに立ったのは、5周目にピットインした2号車 muta Racing GR86 GT。これに31号車 apr LC500h GTが続きます。

ただ、序盤早めにピットインした陣営に対し、SUBARU BRZ R&D SPORTなどといった比較的タイヤが新しいマシンが続々とオーバーテイクをしていきます。

●ラスト10周で1秒未満の攻防を繰り返すトップの2台

レース終盤、ランキング2位につけている56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rに45周目でトラブルが発生。130Rで右のリアタイヤが外れてしまいます。

UPGARAGE NSX GT3
UPGARAGE NSX GT3

このリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rのトラブル処理のために、フルコースイエロー(FCY)が宣言されます。が、その宣言からピット閉鎖の隙間をついて18号車 UPGARAGE NSX GT3とBamboo Airways Lamborghini GT3がピットイン。

Bamboo Airways ランボルギーニ GT3のピット
Bamboo Airways ランボルギーニ GT3のピット

両車ははタイヤ交換と給油作業を行います。特にUPGARAGE NSX GT3は、ドライバーを小出選手のダブルスティントとして送り出します。

UPGARAGE NSX GT3
UPGARAGE NSX GT3

タイヤがフレッシュとなった、UPGARAGENSX GT3とBamboo Airways Lamborghini GT3。UPGARAGEは若手の小出峻選手、Lamborghiniはベテラン松浦孝亮選手という布陣。前に出ていたUPGARAGEは、Lamborghiniの執拗なプレッシャーを見事はねのけながら、ラスト10周を切って1秒未満の攻防を繰り広げています。

Bamboo Airways ランボルギーニ GT3
Bamboo Airways ランボルギーニ GT3

その攻防の後方では、その2台のラップタイムよりも1秒以上速いラップタイムで駆けよってくる、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT。計算上ではファイナルラップに入ったくらいで3台がもつれ合うこととなります。

SUBARU BRZ R&D SPORT中盤のバトル
SUBARU BRZ R&D SPORT中盤のバトル

しかし、小出選手のGT500マシンをうまく使った防戦と粘りによって、UPGARAGENSX GT3は見事にチェッカーを1番最初にくぐり抜けることとなりました。

UPGARAGE NSX GT3チェッカーの瞬間
UPGARAGE NSX GT3チェッカーの瞬間

UPGARAGENSX GT3は今季、開幕の岡山に続いて2勝目。小出選手はGT300優勝のチェッカーを自力でくぐり抜けた初めてのレースとなりました。

Bamboo Airways ランボルギーニ GT3
Bamboo Airways ランボルギーニ GT3

2位はBamboo Airways Lamborghini GT3。3位はNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTとなりました。

SUBARU BRZ R&D SPORT中盤のバトル
SUBARU BRZ R&D SPORT中盤のバトル

予選Q2を電気トラブルで走ることが出来ず、16番手からスタートしたUPGARAGE NSX GT3が、大逆転優勝を果たすという劇的展開!

喜びを表現する小出選手
喜びを表現する小出選手

ドライバーズランキングでは、18号車 UPGARAGE NSX GT3が優勝回数2回で40ポイント。7号車 Studie BMW M4の荒聖治選手と同点となりますが、優勝回数が多いため、トップはUPGARAGE NSX GT3となります。

喜びのUPGARAGE NSX GT3、ドライバーと監督
喜びのUPGARAGE NSX GT3、ドライバーと監督

次戦は2023年9月16日(土)~17日(日)にスポーツランドSUGOにて開催される300kmレース。サクセスウェイトがフルロードされる最後のレースとなります。

ランキング上位陣は、少しでも上位でポイントを増やしていくような作戦をとるのか、それとも魔物を弾き飛ばして一気にチャンピオンへ勝負をかけるのか? ここでもドラマが始まります。


●スーパーGT2023第5戦 鈴鹿 GT300決勝結果

GT300クラス暫定表彰式
GT300クラス暫定表彰式

順位 ゼッケン 車名 ドライバー 周回数
1 18 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志、小出 峻 71
2 87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 松浦 孝亮、坂口 夏月 71
3 61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人、山内 英輝 71
4 88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史、元嶋 佑弥 71
5 4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口 信輝、片岡 龍也 71
6 31 apr LC500h GT 嵯峨 宏紀、小高 一斗、根本 悠生 71
7 2 muta Racing GR86 GT 堤 優威、平良 響、加藤 寛規 71
8 96 K-tunes RC F GT3 新田 守男、高木 真一 70
9 27 Yogibo NSX GT3 岩澤 優吾、伊東 黎明 70
10 50 ANEST IWATA Racing RC F GT3 I.オオムラ・フラガ、古谷 悠河、小山 美姫 70
11 9 PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG 阪口 良平、リアン・ジャトン、川端 伸太朗 70
12 60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本 大樹、河野 駿佑 70
13 10 PONOS GAINER GT-R 安田 裕信、大草 りき 70
14 360 RUNUP RIVAUX GT-R 青木 孝行、田中 篤、大滝 拓也 70
15 11 GAINER TANAX GT-R 富田 竜一郎、石川 京侍、塩津 佑介 70
16 7 Studie BMW M4 荒 聖治、ブルーノ・スペングラー  70
17 30 apr GR86 GT 永井 宏明、織戸 学、小河 諒 70
18 20 シェイドレーシング GR86 GT 平中 克幸、清水 英志郎 69
19 48 植毛ケーズフロンティア GT-R 井田 太陽、眞田 拓海、甲野 将哉 69
20 22 アールキューズ AMG GT3 和田 久、城内 政樹  68
21 5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 冨林 勇佑、松井 孝允 54
R 56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R J.P.デ・オリベイラ、名取 鉄平 44
R 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹、川合 孝汰 28
R 55 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥、篠原 拓朗 16
R 6 DOBOT Audi R8 LMS 片山 義章、R.メリ・ムンタン、神 晴也 9

(文:松永 和浩 /写真:吉見 幸夫)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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