電動船で水上散歩。ヤマハ発動機次世代操船システム「HARMO」の実証運航を徳島市でスタート

■「ひょうたん島」と呼ばれる美しい水都徳島の水上散歩が楽しめる

ヤマハ発動機は、電動推進ユニットとステアリングシステムなどを統合した新しい操船システム「HARMO (ハルモ)」を開発し、2022年春にヨーロッパで販売を開始しています。

日本では、2020年8月7日から北海道小樽市の小樽運河クルーズで実証実験をスタート。徳島市が運航する「ひょうたん島クルーズ」でも「HARMO」を用いた実証運航を2023年8月12日に開始しました。実証運航の期間は、2023年11月下旬の予定です。

徳島市の実証運航で使用される「HARMO」搭載艇
徳島市の実証運航で使用される「HARMO」搭載艇

「HARMO」は、モーターを動力とする推進器ユニット、動作を制御するリモートコントロールボックス、直感的な操作を可能とするジョイスティックなどで構成された「次世代操船システムプラットフォーム」。電動ならではの静粛性により、乗船者がより快適に過ごせるスマートパッケージボートの提供を目指して開発されています。

HARMOの推進ユニット本体。スクリューは周囲の丸い電磁石により駆動される
HARMOの推進ユニット本体。スクリューは周囲の丸い電磁石により駆動されるリムドライブ方式

モーター駆動は、リムドライブ方式で、高効率な電動推進を実現しいるそう。とくに、低速で強い推進力を生み出します。モーター駆動らしく、低振動、低騒音であるのも特徴で、乗船者に快適な乗船空間を提供。さらに、大舵角のステアリング機構により、その場での旋回を可能にするなど、スムーズで高い操船性も実現しているそうです。

既述のように、日本での実証運航は、現在も継続運航されている北海道の小樽運河クルーズ、神奈川県の横浜ベイサイドマリーナYBMクルーズに続く3例目になります。

このほど、開始された実証運航は、徳島市が推進する「徳島市SDGs未来都市計画」の一環。「NPO法人新町川を守る会」が同市の補助を受けて運航している「ひょうたん島クルーズ」や貸切運航、旅行代理店などから申請されたクルーズ企画など、様々な利用方法で「HARMO」の検証が行われています。

「HARMO」の推進機ユニットと操船システムを構築する操舵機器類
「HARMO」の推進機ユニットと操船システムを構築する操舵機器類

徳島市の中心地は、市街地を流れる新町川、助任川などの川に囲まれた中州になっていて、その形状から「ひょうたん島」と呼ばれています。

「ひょうたん島」を周遊する観光クルーズ船が「ひょうたん島クルーズ」。いくつもの橋をくぐり、美しく整備された川岸の公園やヨットハーバーなど、川面から街の景色を楽しめます。現在は、市の補助を受けた「NPO法人新町川を守る会」によって運航されています。

「HARMO」が搭載されるボートは、全長7mで「Promenade(プロムナード)」というコンセプトが掲げられています。ゆったりとした時間を感じながら、水都徳島の水上散歩が楽しめます。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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