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■5代目ベースの躍動感あるスタイルと開放感が魅力の4シーター電動オープン
1990(平成2)年8月24日、1989年に登場した5代目セリカ(ST180型)にセリカ・コンバーチブルが設定されました。
先代セリカ(T160型)には、日本市場でもコンバーチブルが追加設定されており、セリカ・コンバーチブルとしては2代目。電動開閉式ソフトトップを架装した曲線曲面基調の躍動感あふれるスタイリングと、トヨタ初のデュアルモード4WS(4輪操舵)を組み合わせているのが特徴でした。
●日本初のスペシャリティカーとして大ヒットした初代セリカ
セリカ(A20/30型)の誕生は、1970年まで遡ります。ロングノーズのピラーレス・ハードトップのクーペで、スポーツカーのようなスタイリングと性能を持った、日本初のスペシャリティカーとして多くの若者を魅了。そして、1973年には、テールゲートをヒップアップさせたリフトバック「セリカLB」が登場し、さらに人気が加速します。
初代の大ヒットに続いた2代目(A40/50型)、3代目(A60型)でしたが、初代のような存在感は示せず、1985年に4代目(T160型)セリカが登場します。
4代目は、個性的な流面形スタイリングに変貌し、駆動方式をそれまでのFRからFFに変更。さらに、WRCで大活躍したラリーモデルのベースとなったフルタイム4WD「2000GT-FOUR」も追加されるなど、大変身を遂げたのです。
1987年には、セリカ初のコンバーチブルが設定されました。
●2代目コンバーチブルのベースとなった5代目セリカ
1989年9月、4回目のモデルチェンジによって5代目(ST180型)がデビューしました。
曲線曲面基調の躍動感あふれる3ドアクーペで、エンジンは2.0直4 DOHCに加えて、フルタイム4WD「GT-FOUR」には、最高出力225PSを発揮する2.0L直4 DOHCターボも用意されたのです。
また、積極的に新技術や機構が採用され、トヨタ初の“デュアルモード4WS(4輪操舵システム)”や、限定販売のアクティブサスペンションを備えた”アクティブ・スポーツ”、さらに翌年にはGT-FOURをベースに前後プリスターフェンダーを組み込んでワイドボディ化した“GT-FOUR A”、さらにWRC参戦のためのホモロゲ用の“GT-FOUR RC”も発売されました。
GT-FOURベースのラリーカーは、4代目に続いて1992年からWRCに参戦。サインツがドライバーズチャンピオン、翌年1993年にはトヨタ初のドライバーズとコンストラクターズの両方のタイトルを制覇するなど、4代目を上回る大活躍によってトヨタのラリー黄金時代を築きます。
●電動オープンだけでなく、装備も充実させたセリカ・コンバーチブル
2代目セリカ・コンバーチブルは、フルオープン時は開放感、閉じるとパーソナル感が楽しめる、スイッチひとつで簡単にオープンとクローズができる電動開閉式ソフトトップです。
そのスタイリングは躍動感溢れ、パワートレインは165PSを発揮する2.0L直4 DOHCエンジンと5速MTの組み合わせで、“ノーマル”と“スポーツ”に切り替え可能な4WSも搭載されました。
そのほかにも、4スピーカーオーディオ、パワーアンテナ、前席パワーウインドウが標準装備され、多くのオープンカーファンから熱視線を浴び、人気を獲得しました。
ちなみに、標準的な4WS仕様が169万~206万円に対して、セリカ・コンバーチブルの価格は、248.5万~331.9万円とそれなりの上乗せが必要でした。
かつては、セリカのような人気モデルには、必ずと言っていいほどオープンモデルがありました。ですが、最近はマツダ「ロードスター」やダイハツ「コペン」、レクサス「LCコンバーチブル」のように数が限られてきています。衝突安全性や軽量化への対応、しかも手間もコストもかかって造られているのですから、オープンモデルの未来はさらに希少価値となりそうです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)