トヨタ「ウィンダム」2代目デビュー。レクサスESの日本版として、標準モデルが297万円(2.5L)/336.6万円(3.0L)で登場【今日は何の日?8月21日】

■キープコンセプトながらパワートレインと安全性能を強化

1996年に登場した2代目ウィンダム(弊社刊「ニューモデル速報 すべてシリーズ 新型ウィンダムのすべて」より)
1996年に登場した2代目ウィンダム(弊社刊「ニューモデル速報 すべてシリーズ 新型ウィンダムのすべて」より)

1996(平成8)年8月21日、トヨタのウィンダムが2代目に移行しました。

米国で「レクサスES」を名乗る日本名「ウィンダム」は、ゆとりある快適性を追求したニューエグゼクティブサルーンといった高級4ドアハードトップ。

先代のキープコンセプトながら、パワートレインを一新して燃費性能の向上と、世界トップレベルの安全性能を実現しました。

●レクサスESの日本仕様・初代ウィンダムデビュー

1991年発売の初代ウィンダム
1991年発売の初代ウィンダム
1989年発売の超高級車初代セルシオ
1989年発売の超高級車初代セルシオ

トヨタは、1980年代後半バブル景気の波に乗り、1989年に米国に投入された高級セダン「レクサスLS400」を日本で「セルシオ」と名乗りデビューさせました。

そのセルシオのワンランク下のアッパーミドルの高級セダンとして、レクサスESを1991年に日本名ウィンダムとして投入したのです。

ウィンダムは、当時流行りのサッシュレス4ドアハードトップの米国サイズの落ち着いた雰囲気の3ナンバーセダンで、パワートレインは3.0L V6 DOHCエンジンと電子制御4速ATの組み合わせ。もともとレクサスブランドの主力モデルとして開発されたため、徹底した静粛性と快適性が追求され、充実した内装や快適装備が目を引きました。

ウィンダムは、アクティブなエリートが乗る“パイロット御用達”といったイメージが定着し、安定した販売を記録したのです。

●燃費向上と世界トップレベルの安全性能を実現した2代目

1996年に登場した2代目ウィンダム(弊社刊「ニューモデル速報 すべてシリーズ 新型ウィンダムのすべて」より)
1996年に登場した2代目ウィンダム(弊社刊「ニューモデル速報 すべてシリーズ 新型ウィンダムのすべて」より)

堅調に推移した初代ウィンダムを受けて、2代目はキープコンセプトのモデルチェンジとなり、初代のイメージを引き継ぎながらも随所に上質化が図られました。

スタイリングは、エレガントな4ドアハードトップスタイルを採用し、パワートレインは3.0L V6 DOHCエンジンと新開発2.5LV6 DOHCの2機種と電子制御4速ATの組み合わせで、改良が施されたエンジンによって燃費が改良されたことが魅力のひとつでした。

2代目ウィンダムの豪華なインテリア(弊社刊「ニューモデル速報 すべてシリーズ 新型ウィンダムのすべて」の新型ウィンダム本カタログ抜粋部分より)
2代目ウィンダムの豪華なインテリア(弊社刊「ニューモデル速報 すべてシリーズ 新型ウィンダムのすべて」の新型ウィンダム本カタログ抜粋部分より)

また安全性能についても積極的に取り組み、ボディはGOA(全方位衝突安全ボディ構造)が採用され、デュアルSRSエアバッグを標準装備され、上級モデルにはエンジン出力とブレーキを統合制御するTRC(トラクションコントロール)も装備されました。

車両価格は、2.5L仕様が297万円(2.5G)/342万円(2.5X)、3.0L仕様が336.6万円(3.0G)/380.6万円(3.0X)でしたが、初代に比べて販売は伸び悩みました。良質に進化した2代目でしたので、斬新さというよりはゆとりに秀でていた控えめな印象が強かったと言えます。

●存在感が薄れた3代目ウィンダムでついに幕を下ろす

2001年にデビューした3代目ウィンダム
2001年にデビューした3代目ウィンダム

2001年にウィンダムは3代目に移行。北米の志向に合わせて大型化し、室内空間がさらに拡大したことで、3代目は北米では人気を博しました。が、日本の販売は引き続き伸び悩みました。

3代目が登場した2001年頃は、ミニバンブームの真っただ中。さらに、SUVもブームの兆しが少し見え始めたタイミング、クルマにおけるライフスタイルが良くも悪しくも日本的と言えるスタイルに変わっていく時代ですので、高級ながら地味な存在だったセダンが売れないのも当然かもしれません。

2005年には、月販台数が2ケタまで落ち込み、翌年ウィンダムはカムリと統合される形で生産が終了しました。


ウィンダムは、ハイステータスの比較的若いエリート層が選ぶクルマというイメージが定着しました。しかし、そんな人たちも2000年を迎える頃には、セダンではなくミニバンやSUVを選ぶようになった、まさに“セダン冬の時代”に突入した頃に登場してしまった、素晴らしき上級セダンだったのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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