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■排ガス規制などの影響で、走りよりも快適性や豪華さを追求
1978(昭和53)年8月17日、日産自動車の「フェアレディZ」が初めてのモデルチェンジを行い、2代目に移行しました。
ロングノーズ&ショートデッキのスポーツカーらしい流麗なスタイリングを継承しつつ、快適性も重視したGTカーへと変貌を遂げたのです。
●初代フェアレディZ(S30型)は、トヨタ2000GTに対抗して登場
初代フェアレディZは、ブランドイメージ向上のため、また「トヨタ2000GT」に対抗する低価格なスポーツカーとして、1969年10月に誕生しました。米国を中心とする海外市場がメインターゲットで、スポーツカーらしいロングノーズ&ショートデッキの美しいフォルムが、大きな注目を集めました。
エンジンは、2.0L直6 SOHCツインキャブで最高出力130PS、トップグレードのZ432には160PSを発揮するDOHC 3連キャブレターエンジン(初代スカイラインGT-Rと同じ)が搭載され、最高速210km/hを記録。インテリアの評価も高く、コクピットには眼前に2つ、センターコンソールに3つのメーターを配置するという凝りようでした。
流麗なスタイリングとパワフルな走り、加えて標準グレードが93万~108万円、Z432は185万円というリーズナブルな価格設定によって、日米で大ヒット。日産の技術イメージ向上に大きく貢献したスポーツカーとなりました。
●2代目(S130型)は、快適性も重視したGTカーに変貌
2代目フェアレディZは、初代のデビューから8年を経た1978年に登場。先代の大ヒットを受け、基本的にはキープコンセプトで外観や基本メカニズムの多くを踏襲しながらも、内装や足回りなどは改良が加えられました。
フロントには、ロングノーズエンドやフード一体型パンパーを採用、リアにはラバー付き大型バンパーや角型テールパイプなどを装着して、よりダイナミックなフォルムに変貌。ボディタイプは、先代同様の2シーターと2by2が設定され、搭載エンジンは先代から採用している2.0L直6 SOHCに加え、2.8L直6 SOHCがラインナップされました。
車両価格は、2シーターで146.0万~179.5万円(2.0L)/180.0万&215.5万円(2.8L)。1970年代後半は、排ガス規制が強化されて速さよりも環境性能や快適さが求められた時期、これを背景に2代目は速さよりも快適性や豪華さを重視したスポーティなGTモデルへと変貌したのです。
同年には、トヨタから強力なライバル「セリカXX(海外名:スープラ)」が登場。対抗するためにフェアレディZには、1980年にガラス製の脱着式ルーフを組み込んだ「Tバールーフ」、1982年にはターボエンジンの搭載モデルがラインナップに加わり、商品力強化が図られました。
●現行フェアレディZは最後のピュアエンジン車か、次期車はEVとして登場か
2022年に登場した現行の7代目(Z34型)は、フロントマスクやサイドボディなどは、初代フェアレディZをモチーフにしてデザインされ、インテリアのインパネ中央最上部に3連メーターが装着されているのも、フェアレディZの伝統です。
最高出力405PS/最大トルク48.4kgmを発揮する新開発3.0L V6 DOHCツインターボエンジン(VR30DDTT型)を搭載し、今や希少となったFRスポーツの卓越した走りが自慢です。
巷では、現行のフェアレディZが“最後のピュアガソリン車”ではないかと心配の声が上がっています。フェアレディZが今後も存続するとすれば、やはり2025年以降にEVとして登場することになるかもしれませんね。
2代目フェアレディZは、排気ガス規制やオイルショックといった時代背景もあり、性能的には比較おとなしいモデルでした。高性能・高機能化が進んだのは、規制から解放された3代目(1983年~)からです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)