日産 フェアレディZ NISMOのルーツといえる「バージョンNISMO」は2007年に登場【NISMOロードカー・中古車vol.2】

■旧世代のZ33型からNISMOが手掛けたモデルが存在

2013年6月に、日産・フェアレディZ NISMOが発表されました。しかし、日産・フェアレディZには、このモデルの前にもNISMOが手掛けたモデルがありましたので紹介しましょう。

日産・R33型フェアレディZ バージョンNISMOのフロントスタイル
日産・Z33型フェアレディZ バージョンNISMOのフロントスタイル

2007年1月に行った一部改良時に、日産・フェアレディZ NISMOのルーツと言える、日産・Z33型フェアレディZ バージョンNISMOが登場しました。

日産・Z33型フェアレディZ バージョンNISMOは、日産自動車のワークスチームとしてスーパーGT等に参戦するニスモのノウハウと、多くのコンプリートカスタムカー製造実績をもつオーテックジャパンのノウハウの融合により生まれたモデルです。

日産・フェアレディZ NISMOのフロントビュー
日産・フェアレディZ NISMOのフロントビュー

外観デザインは、スーパーGT参戦車両から得られた空力データをベースに、スーパーコンピューターによるシミュレーションを活用しながら、走行実験部門とデザイン部門による綿密な検討を通じて実現した、走行安定性にすぐれた特徴的なフォルムとし、あわせて「効果的なダウンフォース」という機能性を両立しています。

日産・フェアレディZ NISMOのサイドビュー
日産・フェアレディZ NISMOのサイドビュー

走行性能では、ボディの溶接面積増をはじめ、補強バーや補強パネルの追加等によるボディ剛性の見直しを実施。加えて、ハイグリップタイヤ「ブリヂストン製ポテンザRE-01R」の装着による路面からの高入力に対応させています。同時に、サスペンションの全面リセッティングを行い、コーナリングパフォーマンスを高めています。

日産・フェアレディZ NISMOのリアビュー
日産・フェアレディZ NISMOのリアビュー

さらに、車体への入力を効果的に減衰させるパフォーマンスダンパーの採用により、ハンドリングと快適性を高次元で両立させたのが特徴です。日産・Z33型フェアレディZ バージョンNISMOの新車時価格は、6速MT車が439万9500円、5速AT車が449万4000円でした。

そして2007年6月には、スーパー耐久参戦用のホモロゲーションモデルである、日産・Z33型フェアレディZバージョンNISMOタイプ380コンペティションのロードモデルが300台限定で発売された、日産・フェアレディZ バージョンNISMO タイプ380RSです。

その名のとおり、3.8Lに排気量アップしたVQ35HR V6エンジンを公道向けに最高出力350psにデチューンしています。日産・フェアレディZ バージョンNISMO タイプ380RSの車両本体価格は、539万7000円でした。

日産・フェアレディZ NISMOのフロントスタイル
日産・フェアレディZ NISMOのフロントスタイル

2008年にフルモデルチェンジを行い、日産・フェアレディZは現行モデルであるZ34型へと進化しました。標準車に遅れること約半年、バージョンNISMOが登場します。新車時価格は6速MT車が493万5000円、7速AT車が504万円でした。

外観デザインは、スーパーコンピューターによるシミュレーション技術を活用し、走行実験部門とデザイン部門による綿密な連携を通じて、効果的なダウンフォースの獲得と空気抵抗の低減という、相反する要件を両立させた、世界最高水準の空力特性を実現しています。

日産・フェアレディZ NISMOのリアスタイル
日産・フェアレディZ NISMOのリアスタイル

インテリアにおいても、本革とスエード調ファブリックを用いた専用のシート表皮やステッチ色の変更、随所に配されたNISMOロゴなどにより、スポーティで特別感のあるムードを演出しています。

ボディは、専用の補強パーツやYAMAHA社製パフォーマンスダンパーの採用により、剛性アップと振動減衰の両側面からのチューニングを実施。あわせて、サスペンションのチューニングやパワーステアリングの特性変更を行い、よりスポーツ志向を高めたハンドリング性能を実現しています。

日産・フェアレディZ NISMOに搭載されているエンジン
日産・フェアレディZ NISMOに搭載されているエンジン

そして搭載しているエンジンは、より力強い加速を実現するため、専用設計した等長フルデュアルエキゾーストシステムの採用とコンピューターのチューニングを行い、エンジン出力を基準車に対して19ps向上させ、最高出力を355psまで向上しています。

2012年7月にマイナーチェンジを行い、エンジンの出力特性、タイヤ、ボディ剛性、サスペンション、ブレーキなど、多岐にわたる見直しを実施し、従来以上のハイパフォーマンスを実現しています。

日産・フェアレディZ NISMOのインテリア
日産・フェアレディZ NISMOのインテリア

エンジンはコンピューターチューニングを見直すことにより、最高出力355psを維持しながら、中速域のトルクアップを図りました。

そしてタイヤには、最高峰のグリップ性能を誇る「ブリヂストン製ポテンザRE-11」を採用。このハイグリップタイヤ性能を活かしきるために、ボディの補剛パーツを追加。また、ブッシュの硬度を見直し、入念なサスペンションチューニングを実施しています。

2013年6月に登場した日産・フェアレディZ NISMOは、モータースポーツで培ってきたテクノロジーを投入し、NISMOスピリットのデザインモチーフを織り込んだ、専用のエクステリアおよびインテリアを採用しています。

日産・フェアレディZ NISMOのメーター
日産・フェアレディZ NISMOのメーター

ベース車であるフェアレディZの持つ高い運動性能をベースに、さらなるスポーツドライビングの楽しさを提案するべく、空力特性に優れたエアロパーツの採用や、エンジンの高出力化を図りました。

パワートレインをはじめ、タイヤ、ボディ剛性、サスペンション、ブレーキに至るまで入念な専用チューニングを実施し、コーナリング性能の向上、運転の楽しさ、抜群の安定性を実現したモデルで、新車時価格は6速MT車が521万8500円、7速AT車が532万3500円です。

2014年7月にフェアレディZ NISMOはマイナーチェンジを行い、最新のニスモデザインアイデンティティを採用し、エクステリアデザインが刷新されています。

日産・フェアレディZ NISMOのフロントシート
日産・フェアレディZ NISMOのフロントシート

ニスモレッドアクセントを配した専用バンパー、サイドシルプロテクターなどのボディパーツの変更により、前後のダウンフォースバランスを最適化することで、高速域でのハンドリング性能を向上させています。

インテリアでは、NISMO専用チューニングのレカロ製スポーツシートを採用し、中高速域でもドライバーが安心して操作ができるホールド性を実現しています。

日産・フェアレディZ NISMOのラゲッジスペース
日産・フェアレディZ NISMOのラゲッジスペース

2016年の一部改良では、「カーウイングスナビゲーションシステム」「BOSEサウンドシステム(8スピーカー)」「アクティブ・サウンド・コントロール」「アクティブ・ノイズ・コントロール」を標準装備し快適性を向上しています。

日産・フェアレディZ NISMOのフロントアルミホイール
日産・フェアレディZ NISMOのフロントアルミホイール

2017年の一部改良では、新型の高効率クラッチの採用により、クラッチペダル踏力が軽くなるとともに、半クラッチコントロールの操作性を向上しました。また、合わせガラスの中間膜に遮音層を挟み、遮音性を向上させたフロントガラスを採用することで、静粛性を向上させています。

更に転がり抵抗を20%低減した新タイヤを採用することで、フェアレディZを操る喜びを損なわず、低燃費とロードノイズの1db低減(50km/h時)を実現しています。

●従来のモデルとは異なり、NISMOは9速AT車のみに設定

そして2023年8月、日産・フェアレディZの2024年モデルの発表とともに、フェアレディZ NISMOが追加されました。

日産・フェアレディZ NISMO 2024年モデルのフロントスタイル
日産・フェアレディZ NISMO 2024年モデルのフロントスタイル

外観は、フロントグリル、フロント&リアバンパー、フェンダーモール、サイドシルプロテクター、リアスポイラー、そしてリアLEDフォグランプをNISMO専用パーツとして開発しています。これにより、低重心かつ長く伸びやかなスピード感を演出し、ダウンフォースの強化と、主に空力性能を向上させています。

また、新たに設定した19インチの全面グロス塗装の鍛造アルミホイールは、剛性と軽量化を両立した9本のラジアルスポークデザインを採用。リム幅を広げながら、軽量化も実現しています、

搭載している3L V型6気筒ツインターボエンジンは、NISMO専用チューニングによって最高出力420ps(+15ps)、最大トルク520Nm(+45Nm)アップし、パワフルな加速を実現させています。

組み合わされる9速ATのトランスミッションは、変速レスポンスと耐久性を向上させることで、俊敏なシフトチェンジが可能です。

また、ステアリングとボディのねじり剛性を高めるとともに、シャシーに施されたチューニングや、新設定の「トラクションモード」により、狙い通りのラインをトレースすることが可能です。

そして、ブレーキにはNISMO専用ブレーキシステムを採用。ドライブモードにもNISMO専用のスポーツ+モードを含む3種類のドライブモードを設定し、走行シーンに合わせた最適なチューニングを施しています。2024年型フェアレディZ NISMOの新車価格は920万400円となっています。

●Z33型のフェアレディZバージョンNISMOは約157万~、Z34型フェアレディZバージョンNISMOは約168万~、Z34型フェアレディZ NISMOは約279万~

日産・フェアレディZ NISMOの走行シーン
日産・フェアレディZ NISMOの走行シーン

それでは、フェアレディZ NISMOの中古車事情を見てみましょう。まずはZ33型のフェアレディZバージョンNISMOからです。現在、約16台の中古車が流通していて、価格帯は約157万~約780万円です。限定300台の380RSも5台流通しています。

Z34型フェアレディZバージョンNISMOの中古車は約17台流通していて、価格帯は約168万~約363万円。そしてZ34型フェアレディZ NISMOは約19台の中古車が流通していて、価格帯は約279万~約629万円となっています。

各モデルの中古車の流通台数は少なめですが、現在のところプレミアム価格になっていないので、買うなら早めがオススメです。

(文:萩原 文博/写真:日産自動車、萩原 文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
続きを見る
閉じる