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■今秋発売の新型N-BOXの先行予約を開始
現在の「国民車」ともいえるホンダ「N-BOX」が、2023年秋に新型にスイッチします。ホンダの中でもN-BOXの知名度は絶大で、イチ軽自動車という枠を超え、「ブランド」にまで昇華している印象を受けます。
軽自動車の販売ランキングでは、8年連続トップを独走。2022年暦年では、登録車を含めた販売ランキングで1位に返り咲き、2021年度、2022年度では登録車を含めて新車販売台数1位になるなど、現行型は登場から6年が経ち、モデル末期になっても衰え知らずの人気ぶり。
軽の半数弱を占める軽スーパーハイトワゴンで30%超のシェアを誇る絶対王者であり、登録車を含めてもここ10年以上、圧倒的な強さを誇っています。
ホンダは、新型N-BOXの今秋発売に先駆けて、2023年8月3日(木)に先行予約の受付を開始するともに、ティザーサイトもオープンしました。
報道陣に披露された新型N-BOXは、ひと目でキープコンセプトと分かるデザインを採用しながらも内外装を一新。
N-BOXとN-BOXカスタムの外板パネルは、ルーフを除き同じとのことですが、「目」に見える丸目ヘッドライトのN-BOX、キリリとしたフロントマスクのカスタムと、明確に作り分けられています。
N-BOXは、上下2分割式のヘッドライトリングからなる丸目ヘッドライトをはじめ、丸穴デザインのフロントグリル、オフホワイトの電動格納式リモコンドアミラー、同じくオフホワイトのアウタードアハンドル、ボディ同色のフルホイールキャップが特徴です。
そのほか、「ファッションスタイル」と呼ぶコーディネイトも選択可能で、内外装の愛らしいスタイリングを享受できます。
N-BOXカスタムは、横一文字のフロントライトをはじめ、ホンダ初となるダイレクトプロジェクション式LEDヘッドライト、N-BOXよりも立体感を抱かせる緻密な造形のフロントグリル、カスタムでお馴染みのクリアレンズのリヤコンビネーションランプを採用。
ロー&ワイドに映るシルエットと空力性能も考慮された専用エアロデザインも特徴です。
さらに、N-BOXカスタムには「コーディネートスタイル」を設定。ボディ同色のルーフカラー、またはブラックの2トーンカラーから選択でき、ダーククロームメッキ加飾のアウタードアハンドル、ブラックアルミホイールなどにより、精悍な雰囲気を漂わせています。
●使い勝手をとことん追求した内装の工夫とは?
エクステリアと比べると、インテリアの方がより大きく変わった印象を受けます。従来型のアウトホイールメーターからインホイールメーターに一新。ホンダの軽で初採用になる7インチのフルグラフィック型ディスプレイに変わったためと、少しでも前方視界を確保するための変更になるそうです。
ステアリングは2本スポークタイプで、従来型にあった運転席アッパーボックスは、インホイールメーター化により廃止された代わりに助手席グローブボックスの大型化(容量が約2倍に)により、高い収納力を備えています。取扱説明書のほか、除菌シートなども楽に収まります。
グローブボックスの蓋には、すき間(スリット形状の切り欠き)も設けられていて、ここにUSBケーブルを通してグローブボックスに収めることで、USBソケットからUSBケーブルがダラリと垂れ下がった状態を回避できます。
また、細部の造形では、トレーやドリンクホルダーなどの角を丸める(カドマル処理)ことで、優しく包み込まれるような一体感も演出。なお、インテリアは、「ラウンドリビング」というコンセプトに基づき、自然に会話が弾むような空間に仕立てられています。
さらに、ポケッテリアでは、ドリンクホルダーとトレーからなる後席の大型サイドポケットも加わり、後席乗員の小物アイテムがすっきり収まるようになっています。
なお、その下にあるライニングは、レールのような形状になっていて、後席に座る子どもがミニチュアカーを動かせる遊び心も設計に盛り込まれています。また、子どもへの配慮として後席のサイドライニングにくぼみが設けられていて、ここに手をかけて楽に乗降できるように配慮されています。
インテリアカラーは、N-BOXがベージュ基調の明るい色合いで、広さを明快に表現。カラーで実寸以上に広く見せる工夫も盛り込まれています。ソファのように座り心地のいいシートとシート生地が採用されているだけでなく、子どもがシートクッションの端に手をつくことが多いため、汚れが目立ちにくいカラーも配されています。
N-BOXカスタムは、ブラック系を基調に、視認性の高いシルバー加飾を用意。本革巻ステアリングや上質感のあるライティング演出、異色ミックスの樹脂トレー(ストーン調)により、質感の高さとパフォーマンスの高さを予感させる仕立てになっています。
パッケージングの面では、N-BOXの美点である軽乗用車最大級のキャビンや、高いアイポイントを踏襲。低い開口部を備えた大開口のテールゲートなども健在です。
なお、リヤクォーター部トリムの薄型化(リヤハーネスの通し方を変更)により、後席のショルダールームが55mm拡大。前席横方向も5mm拡幅し、前席頭上まわりも5mm広くなるなど、制約のあるボディサイズの中でもさらなる快適性向上まで盛り込まれています。
インパネは、上面がフラットになり水平基調になったことで、さらに視界が良くなっただけでなく、車幅やロール姿勢までつかみやすいように進化を遂げたそう。最近のホンダ車のテーマである「ノイズレス」な視界や内装の見え方が、新型N-BOXでも採用されています。
従来型は、シートハイトやステアリングのチルトを使っても、小柄なドライバーから前が少し見えにくいという声もあったそうで、新型ではセンターディスプレイ上部の張り出し(ダッシュボード上辺から上に出ているディスプレイの部分)まで緻密に練ることで、良好な視界が確保されています。
そのほか、左右フロントピラーにあった2つのミラーのうち、サイドアンダーミラーがドアミラーに移設され、外観がすっきりしただけでなく、左前方の視界やバックして駐車する際の安心感も高めています。なお、テールゲート内側上部にあったミラーも廃止されています。
積載性では、自転車の積載性安定性が向上し、前輪が載せやすくなり、積載時の安定性も向上。低い開口高と大開口テールゲート、リヤシート前倒し時の段差(スロープのような角度)を小さくした、N-BOXならではの美点が磨き上げられています。
大開口により自転車などでも高い積載性を実現する一方で、大きなテールゲートならではの、使い勝手でのデメリットもあります。コストなどの面からもテールゲートの電動化は現実的ではなく、開閉時に力がいるだけでなく、開ける際は後ろに大きく後ずさりする必要があります。
そこで、従来型よりもテールゲートの解除レバー(オープンスイッチ)を70mm下げ、オープン時の後ずさりする距離を短縮し、開ける際の力も小さくなった印象を受けます。さらに、リヤランセンスプレートライトの工夫により、いままで右側にオフセットされていた解除レバーがセンターに移動。
従来型はオープンスイッチの場所を知らせるため、四角い凹みが4つありましたが、新型は中央になりマークもなくなり、すっきりした見た目に。これにより、初めてでも戸惑うことなく操作でき、開ける際の人の動きも小さくなっています。
リヤシートでは、後席の前後スライド、チップアップ、ダイブダウンは健在で、後席座面を跳ね上げて固定することで、着替えや靴の履き替え、背の高い荷物の積載にも対応します。一方で、ニーズが少なかったという助手席スーパースライドシートは廃止。先述したように、助手席グローブボックスの容量拡大は、助手席ロングスライドが廃止されたことで、衝突安全性能の面からも可能になったとのこと。
そのほか、N-BOX、N-BOXカスタムともにスロープ仕様を設定。「福祉車両=廉価仕様」というイメージを払拭し、普段使いも含めて1台ですむデザインが採用されています。スロープの操作も11手順から5手順に大幅に減らし、使い勝手を向上。従来型と同様に、電動ウインチの採用で、車いすを押す方の介護負担の軽減も図られています。
●ホンダアクセスのオシャレアイテムも!
ホンダアクセスによる純正アクセサリーも用意されます。N-BOXは20代女性をメインターゲットに据え、「MODERN CASUAL STYLE for N-BOX」のコンセプトのもと、上品な色味のデカールをはじめ、スタイリングに変化をもたらすフォグライト、ソファのようなくつろぎ空間に仕立てる素材のシートカバーなどが設定されます。
子離れ層男性をターゲットにするカスタムは「PREMIUM STYLE for N-BOX CUSTOM」をテーマに、高級感を高めるメッキパーツをエクステリア全体に配し、きめ細かなメッキによるフロントグリル、ソファのような高い質感を実現したというシートカバーも見どころです。
従来型から絶対王者として君臨してきたN-BOXは、男女や年齢層を問わず幅広い層から支持を集めることで、驚異的なセールスを維持してきました。
新型は、同モデルの美点である内外装をさらに磨き上げ、居心地のいいキャビンや高い積載性を細部まで煮詰めることで、見た目以上にデザイン、パッケージングの面で大きく進化を遂げています。
(文:塚田 勝弘/写真:塚田 勝弘、ホンダ)
【関連リンク】
N-BOX 特設サイト
https://www.honda.co.jp/Nbox/new/