現在受注停止中、納車まで数年!それでも欲しいランクルの魅力とは【トヨタ・ランドクルーザー中古車相場】

初代モデル登場から72年が経過した、時代を超えたベストセラーSUV

トヨタ・ランドクルーザーの歴史02ちょうど2年前の2021年8月に登場した300系と呼ばれる現行型トヨタ・ランドクルーザー。

日本国内だけでなく、世界170の国と地域で高い支持を受けており、販売直後から受注停止となり、納車まで数年と言われるほどの人気モデルです。

ここではトヨタを代表する人気モデル、ランドクルーザーの歴史を振り返りつつ、最新の中古車事情を紹介します。

トヨタ・BJジープのフロントスタイル
トヨタ・BJジープのフロントスタイル

ランドクルーザーのルーツは、1951年~53年に販売された強力なエンジンを搭載した4WD車のトヨタジープBJ型です。

当時の警察予備隊からの大量受注を目指して開発されましたが、入札前のテストでライバル車に敗北。民生用として販売されることになりました。搭載されているエンジンは最高出力85psを発生する3.4L V6OHVエンジンでトランスミッションは4速MT。駆動方式はパートタイム4WDでした。

トヨタ・20系ランドクルーザーのフロントスタイル
トヨタ・20系ランドクルーザーのフロントスタイル

1955年に2代目となる20系ランドクルーザーが登場しました。多岐におよぶ用途に応えられるように、3種類の異なるホイールベースのシャシーを採用していました。

搭載されているエンジンは3.4Lと3.9Lの直列6気筒ガソリンの2種類。駆動方式は4WDに加えて、後輪駆動の2WDも用意されていました。

ボディバリエーションはソフトトップ、ピックアップ、2ドア/4ドアバンそして消防車なども設定していました。この20系ランドクルーザーから海外へ輸出されるようになりました。

トヨタ・40系ランドクルーザーのフロントスタイル
トヨタ・40系ランドクルーザーのフロントスタイル

1960年に登場したのが40系ランドクルーザーです。後に登場するFJクルーザーはこのモデルをオマージュしていますが、それは信頼性の高いSUVとして海外でも高い評価を得たモデルだったからです。

シャシーは20系と同じ3種類のホイールベースを採用。搭載するエンジンは、20系にも搭載されていた2つのガソリンエンジンに加えて、3.6L直6そして3L直4ディーゼルエンジンを搭載しています。トランスミッションをコラムに装着したので、フロントシートに3人掛けが可能となっています。

ボディバリエーションも20系と同じで、ソフトトップ、ピックアップ、2ドア/4ドアバンそして消防車なども設定。さらに1967年に専用ボディのステーションワゴンを設定しています。

トヨタ・55型ランドクルーザーのフロントスタイル
トヨタ・55型ランドクルーザーのフロントスタイル

1967年に登場した55型ランドクルーザーは、従来モデルとは異なり積載500キロのライトバンモデルです。

国内外でレジャーに使用される頻度が高まっているランドクルーザーを、さらに使いやすい仕様にということで、積載量500キロのライトバンの外観デザインを一新し、居住性、高速性能などの機能を充実させています。

斬新でユニークなデザインのボディを採用し、フレームの剛性を上げたことで、室内装備や乗り心地を向上させています。

搭載されているエンジンは3.9L直6ガソリンの1種類。乗車定員は3人または6人となっています。

RVブームの到来とともに個人ユーザー向けにロングボディやハイルーフ仕様を設定

RV(レクリエーショナル・ビークル)として人気となり、法人だけでなく個人需要が高まっていた1980年に5代目となる60系ランドクルーザーが登場します。

トヨタ・60系ランドクルーザーのフロントスタイル
トヨタ・60系ランドクルーザーのフロントスタイル

現在のSUVの直接のルーツといえる60系ランドクルーザーは、大きなウィンドウを採用するなど乗用車らしいデザインを取り入れたスポーティなスタイルが特徴です。

ルーフ形状は標準ルーフに加えて、ハイルーフを用意するなど、実用性に加えて利便性も加えられています。

60系ランドクルーザーに搭載されているエンジンは4.2L 直6ガソリンエンジンと3.4L直4ディーゼルターボの2種類で、この60系とともに40系も併売されていました。

トヨタ・70系ランドクルーザーのフロントスタイル
トヨタ・70系ランドクルーザーのフロントスタイル

1984年に登場した70系ランドクルーザーは29年というロングセラーモデルだった40系ランドクルーザーの後継車です。

伝統的なタフで力強いイメージをもちつつ洗練されたスタイルを採用し、「新時代の4WDをリードするクルマ」として開発されました。

ボディタイプは従来の幌タイプ、バンタイプに加えて、ボディの一部にFRPを採用した斬新なスタイルのFRPトップ車を設定したのが特徴です。

2014年に発売された特別仕様車のトヨタ・70系ランドクルーザーのフロントスタイル
2014年に発売された特別仕様車のトヨタ・70系ランドクルーザーのフロントスタイル

70系ランドクルーザーには、バンタイプ、幌タイプのショートとFRPトップのミドルという2つのボディを用意。どちらも2/5人乗りとなっています。

70系ランドクルーザーには、3.4L 直4ディーゼルエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTが組み合わされていました。

日本では2004年まで販売されていた70系ランドクルーザーですが、世界ではまだ新車が販売されています。そして日本では誕生30周年を記念して2014年にバンとピックアップの特別仕様車が販売されました。

ランドクルーザーは約9年振りにフルモデルチェンジを行いロングボディの60系を80系へと進化しました。

トヨタ・80系ランドクルーザーのフロントスタイル
トヨタ・80系ランドクルーザーのフロントスタイル

80系ランドクルーザーは「トレンドの先端を行く最高級マルチパーパス4WD」をテーマに開発され、洗練された都会的なイメージとランドクルーザー伝統の力強さをスタイリングと機能の両面にわたって高い次元で両立させ、このモデルからバンに加えてステーションワゴンも設定されました。

クルマの骨格に当たるシャシーが一新され、従来の板バネからフロントはリーディングアーム式、リアは4リンク式のコイルスプリングに変更しています。

これにより、操縦性、走行安定性、オフロードでの走破性を向上させると同時に乗用車感覚に乗り心地を実現しています。

そして、一部のグレードに当時日本で初めてセンターデフ付きのフルタイム4WDを採用。フロント・リアのデフロックを電動式にしたことで、スイッチ一つで操作可能となりました。しかし最上級グレードのVXリミテッドは、フルタイム4WDとパートタイム4WDを併設していました。

搭載されているエンジンは、ワゴンには4L直6ガソリンそしてバンには新開発の4.1L直6ディーゼル/ディーゼルターボを搭載していました。1992年にワゴンのエンジンは4.5Lへと換装されています。

トランスミッションはガソリンエンジンのワゴンは4速ATのみで、バンは5速MTと4速ATを用意していました。

“The king of 4WD”という称号を獲得し、100系からはSUVの王者として君臨

100系ランドクルーザーは1998年に登場。歴代ランドクルーザーは世界各地の救難・救助あるいは道路パトロールなどで活躍しプレステージSUVとして高い評価を得てきました。

トヨタ・100系ランドクルーザーのフロントスタイル
トヨタ・100系ランドクルーザーのフロントスタイル

この100系ランドクルーザーは、高い評価を得ている悪路走破性、耐久性、信頼性などの基本性能を最高レベルまで高める「The king of 4WD」と最高峰のプレステージ性を目指す「The Top of SUV」として開発されました。

大型化された5ドアのボディは、これまでと同様にセパレートフレーム機構を採用しています。フロントサスペンションは、80系のリジッドアクスル式に代わり、ダブルウィッシュボーン・トーションバー独立式を採用。

さらに最上級モデルのVXリミテッドには、油圧車高調整機構(SHC)とスカイフックTEMSを組み合わせた新システムをオプション設定しました。

また、ステアリングはラックアンドピニオン式を採用。ブレーキは前後ベンチレーテッドディスクを採用するなど一気に乗用車に近づきました

トヨタ・ランドクルーザーシグナスのフロントスタイル
トヨタ・ランドクルーザーシグナスのフロントスタイル

搭載しているエンジンはワゴンモデルには4.7LV8ガソリン。バンには4.2L直6ディーゼルターボとモデルによって異なっています。組み合わされるトランスミッションは4速AT(2002年に5速に換装)。駆動方式は副変速機付のフルタイム4WDとなっています。

また、1998年には100系ランドクルーザーの高い基本性能に加えて、内配送に既存グレードにはない個性を加えつつ、装備を充実させプレステージ性を高めた最上級グレードのシグナスを追加しています。

2007年に登場した旧型になりたての200系ランドクルーザーは、「The King of 4WD」をテーマにプラットフォームやサスペンションを一新。走行性能を高める新技術の導入などにより、伝統の耐久性・信頼性・悪路走破性など、高い基本性能を一層進化させています。

トヨタ・200系ランドクルーザーのフロントスタイル
トヨタ・200系ランドクルーザーのフロントスタイル

伝統のフルフレーム構造を継承しながら、クルマの骨格にあたるプラットフォームを一新。サスペンションはフロントを新開発のコイルスプリング式。リアは定評の4リンク式を継承しつつ最適化をほこり、オン・オフ問わず優れた操縦性・走行安定性と乗り心地を実現しています。

微妙な速度調節が必要となる路面状況で、エンジンとブレーキを自動制御して極低速を維持し、優れた車両安定性を実現する世界初のクロールコントロールを標準装備。

さらに、走行状況に応じて、前後スタビライザーの作動を最適に制御するキネティックダイナミック サスペンションシステム(KDSS)を設定するなど最新鋭の電子デバイスを搭載しています。

搭載しているエンジンは、100系に搭載されていた4.7LV8エンジンをベースに吸気VVT-iを追加するなど進化させましたが、2009年に4.6L V8エンジンに換装されました。トランスミッションも5速ATからエンジンの変更と同時に6速ATに換装されました。

中古車が流通しているモデルの平均価格は300万円!

トヨタ・ランドクルーザーは国産車の中でも値落ちの進まない車種の一つですが、実際に買取価格を見ていましょう。

200系のランドクルーザーの中古車で最も多く流通しているZXの5年落ち2018年式の買取価格を調べると約553万円で残価率は87.5%という驚異の数値です。さらに3回目の車検を迎える2016年式の買取価格は約493万円で残価率は78%。これほどの高い数字はほかの車種ではなかなか出ません。

この高い残価率を見ても、ランドクルーザーの人気は高く、納車までの期間が長くても乗りたいというユーザーは多いのでしょう。

中古車相場はランドクルーザー55から200まで紹介します。まずは55型ランドクルーザーの中古車は約2台流通していて、価格は1台が298万円で、もう1台は約568万円でした。

60系ランドクルーザーは約40年前のクルマにもかかわらず中古車は約84台流通していて、平均価格は約330万円。中古車の価格帯は約170万~約633万円です。

2014年に特別仕様車が販売された70系ランドクルーザーは、約288台の中古車が流通していて、平均価格は約376万円。中古車の価格帯は約188万~約745万円となっています。

80系ランドクルーザーは約284台の中古車が流通していて、平均価格は約310万円。中古車の価格帯は約135万~約558万円です。

100系ランドクルーザーの中古車は約220台流通していて、平均価格は約296万円。価格帯は約118万~約700万円。そしてシグナスは約25台流通していて、平均価格は約237万円。価格帯は約149万~約350万円です。

そして200系のランドクルーザーの中古車は約237台流通していて、平均価格は約481万円。中古車の価格帯は約219万~約900万円と新車時価格を超える中古車も流通しています。

現在流通しているランドクルーザーの中古車で100万円以下というプライスのクルマはありませんでした。それ以上に約40年前の60系の中古車が約84台も流通しているのも驚きですが、中古車の平均価格がほぼ300万円以上という高価格に2度驚いてしましました。

ランドクルーザーのようなクルマは各世代にそれぞれファンがいます。一度値落ちしていても、レストア済中古車が出回るようになると再び相場は上昇してしまうので、購入するタイミングが非常に難しいと言えます。

(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車、萩原文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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