バイク用ディスプレイオーディオを装着! CarPlayは微妙だけどデバイスの安心感はバッチリ【自腹レポート】

■バイクにスマホそのものじゃなくて、ディスプレイオーディオを装着したい

PDA-05Bホーム画面
PDA-05Bホーム画面

今、バイクでもスマホをナビ代わりに使っている人は非常に多いと思います。しかし、スマホをムキ出しでバイクにマウントするのは、何かと怖いと思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、Wi-FiとBluetoothでスマホと接続し、スマホのナビ機能を使うことができるバイク用ディスプレイマウントを試してみました。

結果は……ビミョー。どんな人におススメで、どんな人にはおススメじゃないかをご紹介します。


●CarPlayやAndroidAutoに対応したバイク用の防水ディスプレイ

スマホをハンドル周辺にマウントして使っている人、多いですね。とはいえ、スマホ本体をむき出しでホルダーにマウントするのに抵抗がある方もいるのではないでしょうか。最近では、バイクの振動でスマホのカメラが壊れるというケースもあるようですし(対策用ホルダーも発売されていますが)。

私もまさにそんな感じで、なにかのときにスマホを落としたり壊れたりしないかと不安だったので、バイクにはマウントしていませんでした。スマホはポケットやバッグに入れたまま、インカムでナビの音声案内だけを聞いて走っていました。

それでもけっこうイケるんですが、やっぱりときどき「えっ左折って、この交差点? 先の交差点? どっち?」とか、五叉路で「斜め右方向ってどっちの道?」なんてこともあります。画面を見たいときがあるんですね。

なので「スマホがミラーリングできる、小さくて安いディスプレイとかないかなー」なんて思っていました。

すると、2023年に三金商事という会社から、CarPlayやAndroido Autoが使えるバイク用の防水ディスプレイオーディオ『PDA-05B』という製品が発売されるという情報をネットで見つけました。2万9800円。「これだ!」と思って注文し、いち早くゲットしたわけです。

ちなみにこのPDA-05Bは中国製品で、海外版は少し前からネットで入手できたようです。三金商事はメーカーではなく、輸入販売元なんですね。三金商事が販売する日本仕様(?)はやや割高なんですが、それでもやはり日本の企業が取り扱っているという安心感は大きいので、後悔はないです。

●セパハンなのでステム部分にマウント

ホルダー裏側には直径約2.5cmのマウント用のボールがついています
ホルダー裏側には直径約2.5cmのマウント用のボールがついています

このPDA-05Bですが、マウント用の付属品もついています。まず本体ホルダーの裏側にはRAMマウントのような直径2.5cmのマウント用ボールがついているので、RAMマウント系の市販パーツがかなり流用できるはずです。なので、マウントにはそうそう苦労しないでしょう。

バーハンドル装着用のU字金具、ミラーマウント用のステー、中間ジョイントが付属します
バーハンドル装着用のU字金具、ミラーマウント用のステー、中間ジョイントが付属します

標準で、バーハンドル用のU字マウントベースセットと、ミラーマウント用のステー、そして中間ジョイントがついてくるので、バーハンドル車なら付属品だけで装着できることも多いと思います。

デイトナのステムマウントキットです。ステアリングステムの穴に差し込んでネジを回すと固定できる仕組みです
デイトナのステムマウントキットです。ステアリングステムの穴に差し込んでネジを回すと固定できる仕組みです

しかし、私のバイクはセパレートハンドルなので、これだけでは装着できませんでした。

そこでデイトナのステムマウントキットを使いました。これはステアリングステムの上のキャップを外して、そこの穴に装着できるパーツで、そのステムマウントキットにPDA-05B付属品のミラーマウント用ステーを固定して、本体を装着することにしました。

古いバイクだったせいか、ステムキャップは手で簡単に外せました
古いバイクだったせいか、ステムキャップは手で簡単に外せました
デイトナのステムマウントキットを使って、ミラーマウント用のステーを装着しました
デイトナのステムマウントキットを使って、ミラーマウント用のステーを装着しました

実際、ミラーマウント用ステーの向きと中間ジョイントの向きを調整すれば、かなり装着位置の自由度が高いので、バイクのメーターを隠してしまうことなく、ハンドルを切ってもタンクやカウルに当たることなく、見やすい位置にマウントできました。

中間ジョイントの向きや角度を変えることで、見やすく、干渉しない位置を見つけます
中間ジョイントの向きや角度を変えることで、見やすく、干渉しない位置を見つけます
メーターをさえぎらない位置に装着できました
メーターをさえぎらない位置に装着できました


●USB電源を使って接続

バッテリー接続ケーブル、USB電源ケーブル、USB変換コードが付属します。
バッテリー接続ケーブル、USB電源ケーブル、USB変換コードが付属します

次は電源の接続です。バッテリー接続ケーブルとUSB電源ケーブルが付属するので、バイクの配線から直接電源をとってもいいし、USBソケットを備えているなら、そこに接続することもできます。

電源の取り出しにもデイトナのUSB電源を使いました。
電源の取り出しにもデイトナのUSB電源を使いました

私はこの際、USBソケットもつけてしまおうと思ったので、これまたデイトナの2ポートのUSB電源キットを購入し、そこに接続することにしました。なお、USB電源ケーブルで接続できるので、家庭内でも簡単に電源を入れることができます。なので、バイクに装着する前に、使い勝手をチェックしたり、設定を済ませておくこともできるでしょう。

いちおうUSBケーブルの先につけるキャップも用意してみました。
いちおうUSBケーブルの先につけるキャップも用意してみました

ただ、あとから考えると、この接続方法だとちょっと防水面で弱い気がしますね。水がかかりにくい部位で、ギボシ等を使ってバイクの配線に直接つないでしまったほうが、安心だったかもしれません。


●Wi-FiとBluetoothで接続

スマホとの接続はホーム画面の「セットアップ」のメニューから行います。
スマホとの接続はホーム画面の「セットアップ」のメニューから行います

装着と電源の接続が完了したら、スマホと接続します。このPDA-05Bのちょっと面倒くさいところは、Wi-FiとBluetoothの両方でスマホと接続するんですよね。これらの設定は、PDA-05Bのホーム画面の「セットアップ」という項目から行います。

なお、私はiPhoneユーザーなので、スマホを接続すると『CarPlay』という機能を使うことになります。AndroidスマホのユーザーならAndroidAutoを使います。

接続が完了するとCarPlayが開始して、対応アプリが使えるようになります(iPhoneの場合)。
接続が完了するとCarPlayが開始して、対応アプリが使えるようになります(iPhoneの場合)

ところで、このPDA-05Bは、このホーム画面のメニューから各種設定ができるのですが、CarPlayが始まってしまうと、いちど接続を切らない限り、ホーム画面に戻れないみたいなんです。

PDA-05Bとスマホを接続したあと、次にPDA-05Bとインカムを接続したい場合には、またペアリング作業を行わないといけないのですが、その場合はスマホのWi-Fiをオフにするなどして、CarPlayを一旦終わらせないといけませんでした。

このCarPlayというのは、もともとクルマのディスプレイオーディオとiPhoneを連携させて使うもので、iPhoneに入っているアプリのうち、CarPlay対応のアプリは、クルマのディスプレイオーディオに表示でき、操作もできるというものです。このPDA-05Bでもこの本体のタッチパネルで、CarPlay対応アプリが操作できます。

●ビミョーなのはCarPlayの性能

ガーン! 追加料金を払わないとツーリングサポーターが使えない……。
ガーン! 追加料金を払わないとツーリングサポーターが使えない…

それではさっそく使ってみましょう!

と使おうとして、出鼻をくじかれました。私がバイクに乗るときによく使っているバイク用有料ナビアプリ「ツーリングサポーター」が、なんとプレミアムプラス会員にならないと、つまりさらに課金しないとCarPlayは使えないというのです!

これはショック! というわけで、ツーリングサポーターの使用は保留にしました。

そのほかに、私がよく使っているアプリ「Yahoo!カーナビ」はCarPlay対応です。また、有名な「Googleマップ」もCarPlay対応です。トヨタのナビアプリ「moviLink」もCarPlayに対応しています。

ただ使ってみて、いろいろなことに気づきました。CarPlayって、スマホ本体でアプリを使うよりも、だいぶ機能が制限されるんですね。これはアプリによって全く違うのですが、Yahoo!カーナビなどは、外部デバイス側で通常の目的地検索ができません! 目的地履歴とか登録地点とかは入力できるんですが、目的地を文字入力しようと思ったら、スマホ側で操作しないといけません。

また、Yahoo!カーナビは、スマホで使う場合、高速道路上では高速道路モードみたいな簡易的な表示になるのですが、CarPlayの外部デバイスでは、その高速道路モードは出てきません。さらにmoviLinkでは、CarPlayモードに入ると、スマホ側ではいっさい操作ができなくなってしまいます。もっともmoviLinkでは、CarPlay中に外部デバイス側でも文字による目的地検索ができます。

画像はmoviLinkの道案内画面です。moviLinkはなかなかいいですね。
画像はmoviLinkの道案内画面です。moviLinkはなかなかいいですね

というわけで、このPDA-05Bの機能や性能は、実際のところかなりCarPlay対応アプリの機能や性能によるところがほとんどでした。そしてCarPlayでのナビアプリの使い勝手は、各アプリの考え方や力の入れ方でかなり異なってきます。

ただ、基本的にスマホ本体で使うよりも簡略化され、操作も制限されているので、ちょっと不便です。なので、スマホ本体をバイクにマウントして使うことに抵抗がないという人には、このPDA-05Bはおススメできません。スマホを直接使うほうがだんぜん便利です。

ただ、CarPlay対応アプリの使い勝手や機能はまだこれから進化する可能性が十分あります。

●安心感は大きく、バッテリー切れの心配はない

一方で、このPDA-05Bは、基本的にバイクに配線して使用するので、スマホを電源ケーブル接続なしに使うときのような、バッテリー切れの心配は一切ありません。エンジンをかければ起動してくれて、一度接続しておけば、また自動的にスマホやインカムとワイヤレス接続できます。起動や接続は瞬時にとはいかず、少し待つ必要がありますが。

本体は脱落しないようにネジで固定されているものの、手で回して簡単にホルダーから外せます。
本体は脱落しないようにネジで固定されているものの、手で回して簡単にホルダーから外せます

また、本体もホルダーで挟んでいるだけ、というようなマウント方法ではないので、そうそう落ちるようなものではなく、安心感も大きいです。まだ数日しか使っていませんが、使用中にフリーズしたり接続がおかしくなったりすることもなかったので、信頼性はまずまずだと思います。

光の加減によっては見づらくなる状況もあるかもしれませんが、少なくとも現時点では、明るさや反射の問題で走行中に画面が見づらくなることもありませんでした。なおトンネル内などの暗いところでは明るさを検知するらしく、夜間モードに切り替わってくれます。

というわけで、多少機能に制限が加わっても仕方がないから、スマホ本体を外にマウントしなくて済む安心をとりたいという人にはおススメです。本体は防水なので、雨でも心配いりません。そして、やっぱりバイク走行中にもナビ画面が見られるというメリットは大きいです。

私自身でいえば、手放しで絶賛とはいきませんが、けっこう満足できました。価格とニーズが合致した方にはおススメできるアイテムです。

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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