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■なぜ「コルク半」というのか調べてみた
最近、ちょっと気になるニュースを見ました。東京都台東区で若いバイク乗りたちが襲われた事件のことです。
複数の報道によれば、少年などのグループ11人が、バイクに乗っていた高校生などからオートバイやヘルメットなどを脅し取ったとして逮捕されたそうで、警視庁は言いがかりをつけてヘルメットを奪う「コルク狩り」という行為を行っていたとして調べているそうです。
コルク狩り? なぜヘルメットを奪うことを、そう呼ぶのでしょうか? また、ここでいう「コルク」とは、どんなものなのでしょうか?
16歳で免許を取って、40年以上バイクに乗り続けている筆者ですが、初めて聞いた言葉なので、ちょっと調べてみました。
●クッションにコルクを使ったヘルメット
コルク狩りについては、これも複数の報道で簡単な定義が書かれていました。それによれば、どうも内装のクッションにコルクが使われている「コルク半」と呼ばれる半キャップ型のヘルメットを、言いがかりをつけて奪う行為なのだそうです。
なお、同様の事件は、今回だけでなく、ここ数年、東京や神奈川などで起こっているらしく、警察でもコルク狩りをマークしているようです。
それにしても、コルクを使っているヘルメットって、かなり昔のタイプですね。安全上もあまりよろしくないような気がしますが、なぜ彼らは、わざわざ犯罪を犯してまでして奪ったのでしょうか?
そこで、いろいろとネットを検索してみると、どうも、コルク半は、かなり昔から暴走族のステータスだったらしく、内装にコルクを使っているタイプであることが、まさに伝統の証のような感じのようです。
今回の事件でも、被害を受けた高校生たちがこのコルク半を被っていたことで、おそらく加害者グループは「縄張りを荒らされた」とでも思ったのでしょう。そこで、ステータスであるコルク半を奪ったようです。
それにしても、こういったヘルメットって今でも売っているんですね。実際にネット通販などを調べて見ると、確かに内装にコルクを使った半キャップ型のヘルメットはかなりの数が売られていました。
アイテム数が多いだけでなく、価格も6000円台から2万円近くするものまで様々。きっと、そこそこニーズがあるんでしょうね。
●筆者が「コルク半」を知らなかった理由
でも、筆者はこの言葉を全く知りませんでした。1990年代などは、お椀型のヘルメットなどを「半キャップ」などと呼んで、暴走族などヤンキー御用達であることは認識していました。でも、何度も言うようにコルク半という言葉は初耳です。
すると、ふと思い当たることがありました。筆者が中学生や高校生の頃で、学校の同級生や先輩などにヤンキーも多かった1980年代は、暴走族などがバイクで走り回るときは「ノーヘル」つまり、ヘルメットを被っていなかった気がしたのです。
これは、地域などによっても違いがあるかもしれないので、一概には言えませんが、少なくとも筆者の地元(福岡県久留米市)ではそうだった記憶があります。
そもそも、暴走族でなくても、筆者が高校生の頃は、原付バイクはヘルメットの着用義務はなかったですからね(筆者が大学生だった1986年に義務化)。私も含めた「普通の高校生」でも、原付バイクであれば、多くのライダーがノーヘルで乗っていました。
ましてや暴走族ともなれば、400ccなどのより排気量が大きいバイクでもノーヘルだった気がします。特に、当時はリーゼントヘアが流行していましたから、ヘルメットを被ると自慢の髪型がダメになってしまうこともあったのでしょうね。ともあれ、それで筆者が「コルク半」を知らなかったようです。
ちなみにヘルメットは、安全規格の「PSCマーク」や「SGマーク」が付いているものでないと、国内ではバイク用のヘルメットとして販売できないようになっています。
もし、これらマークがないヘルメットは安全面で問題があることも考えられますので、バイクに乗るときは被らない方がいいでしょう。
さらに、半キャップタイプは例え「PSCマーク」や「SGマーク」が付いていても、125ccまでの排気量制限があり、原付一種や原付二種のバイクしか乗れせんので、念のため。
(文:平塚直樹 *写真やイラストはすべてイメージです)