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■クラウンに対抗した日産の高級車も10代目を迎えて幕を下ろす
1999年(平成11年)6月28日、日産自動車の「セドリック」がフルモデルチェンジして10代目に移行しました。
セドリックは、トヨタの「クラウン」に対峙していた日産の高級モデル。長くクラウンとライバル関係にありましたが、この10代目が最後のセドリックとなりました。
●クラウンに対抗してセドリック誕生
初代セドリック(30型)は、1955年に登場したトヨタ「トヨペットクラウン」の対抗馬として、日産が1960年に発売した高級セダン。縦目4灯のフロントマスクとAピラーを前傾させたパノラミックウインドウなど、アメ車風のスタイリングが特徴でした。
パワートレインは、71PSを発揮する1.5L直4 OHVと4速MTの組み合わせ。ハイグレードのデラックスには、ヒーター、ラジオ、時計などが標準装備され、車両価格は101.5万円と初代クラウンと同額に設定されました。
その後、セドリックはモデルチェンジしながら、日本を代表する高級車としてクラウンと人気を二分してゆきます。
セドリックの3代目230型(1971年~)や4代目330型(1975年~)、5代目430型(1979年~)はクラウンの好敵手と言えましたが、販売面では6代目以降はクラウンに大きく離されてしまいました。
●10代目となる最後のセドリックが登場
そして、初代誕生から39年経った1999年の今日、登場したのが、10代目セドリック(Y34型)です。1999年は、日産がルノーと資本提携を結んでルノー傘下で再生のスタートを切った年でもあります。
フロントからリアへ流れるような4ドアハードトップのフォルムに、個性的なヘッドライトと大型グリル、左右に抑揚をつけたフードなど斬新なデザインを採用。パワートレインは、直噴3.0L V6エンジンと2.5L V6 エンジン、3.0L V6ターボ、2.5L 直6ターボエンジンの4機種と、電子制御4速AT(E-ATx)の組み合わせでした。
10代目セドリックは販売価格206.5万~555.0万円で、日産のフラッグシップにふさわしく、静粛かつ快適性に優れ、しかもパワフルに仕上がっていました。その後もエンジンのパワーアップや世界初のトロイダル無段変速機(エクストロイドCVT)の採用など積極的に商品性の向上を図り、販売も堅調に推移しました。
しかし、残念ながらこの10代目が最後のセドリックとなってしまいました。日産の復活をかけた日産リバイバルプランでは、セドリック/グロリアは消え去り、代わりに新型高級車「フーガ」へバトンタッチすることを選択したのです。
●後継車フーガはV字回復の波に乗って好調に滑り出すも、ついに生産終了
セドリック/グロリアを統一して誕生した初代フーガ(Y50型)は、世界のプレミアムセダンと肩を並べる走行性能を持つスポーツセダンとして、2004年にデビューしました。
低く構えたフロントマスクからロングノーズ、リアエンドと連続する伸びやかでボリューム感のある流麗なスタイリングが注目され、当時日産が果たしたV字回復の勢いもあり、フーガは順調に滑り出します。
しかし、その後2009年のモデルチェンジやハイブリッド車を追加するなどして商品力強化を図りますが、販売台数は徐々に下降線を辿り、ついに2022年に生産を終えたのです。
10代目セドリックは、先進の技術を盛り込んだ日産のフラッグシップに相応しいクルマでした。ただし、当時の日産は経営不振に陥り、ルノー傘下になった苦しい状況下、かつての名車も日産リバイバルプランという大きな波に飲み込まれてしまったのでしょう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)