■サステナブル素材が33%採用された「ADVAN A005」を供給
横浜ゴムのタイヤ販売会社であるYokohama Tire Corporationは、2023年6月25日に米国のコロラド州で開催される「第101回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に「ADVAN」レーシングタイヤを供給すると発表しました。
「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」は、1916年から開催されている伝統あるヒルクライムレースで、別名「雲へ向かうレース」とも呼ばれています。
標高2862mのスタート地点から標高4300mにあるゴールまでの約20kmのコースで競われます。ヨコハマタイヤの装着車は、2020年と2022年に総合優勝、2021年に2部門でクラス優勝を成し遂げています。
横浜ゴムは、同レースに参戦する6クラス26台以上にサステナブル素材を使ったレーシングタイヤ「ADVAN A005(ドライ用)」をはじめとした「ADVAN」レーシングタイヤを供給。
2023年は、世界展開されている最上級タイヤブランドの「ADVAN(アドバン)」45周年になり、「ADVAN」ブランドを高める「ADVAN CHALLENGE」のもと、2年連続の総合優勝をはじめ全クラスでの優勝を目指すとともに、サステナブルなモータースポーツにも挑戦することになります。
なお、同社は、循環型経済に基づき、サステナブル素材の使用率を2030年に30%以上、2050年に100%とすることを目指しています。
サステナブル素材が採用された「ADVAN A005」は、2022年に総合優勝を果たしたRobin Shute(ロビン・シュート)選手のマシンに供給されます。
タイヤは、2023年から「全日本スーパーフォーミュラ選手権」にワンメイク供給されているものと同スペックで、従来のタイヤと同等のグリップ性能を維持しながら、サステナブル素材比率33%を達成しているそうです。
このサステナブル素材比率33%は、天然ゴム、アブラヤシの実やオレンジの皮から生成されたオイルなど、各種自然由来の配合剤を活用。
加えて、リサイクル鉄や廃タイヤから再生されたリサイクルゴム、さらにマスバランス方式の合成ゴムが採用され、原材料全体の約33%がサステナブル素材になっています。
また、エキシビションクラスでは、「2021 Tesla Model S Plaid」を駆るRandy Pobst(ランディー・ポブスト)選手のマシンに「ADVAN A005」が供給されます。走行時に最も変形が大きくなるサイドウォールのゴムが、従来の石油由来からバイオマス由来のブタジエンゴムに変更され、再生可能原料比率が引き上げられています。
同社は、過酷なヒルクライムレースでの実戦を通じて新たな知見を取得し、環境負荷を低減させる技術開発をさらに加速させたい構え。
さらに、2022年にオープンホイールクラスで優勝したCodie Vahsholtz選手や、タイムアタック1クラスで優勝したDavid Donohue選手など、多くの有力選手にも供給されます。加えて「Porsche Cayman GT4 Clubsport」などで競われる「ポルシェ パイクスピークトロフィー by Yokohama」クラスへのワンメイク供給も継続し、6年連続で「ADVAN A052」を供給。
横浜ゴムは2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」のタイヤ消費財事業において、「ADVAN」をはじめ、「GEOLANDAR(ジオランダー)」、ウィンタータイヤの販売構成比率の最大化を掲げています。
モータースポーツ活動は、先行技術開発に加えて、「ADVAN」「GEOLANDAR」ブランド強化の場と位置づけられています。
モータースポーツ競技で得た技術や知見は、高性能、高品質な新車用、および市販用タイヤの開発にフィードバックされることになります。
(塚田 勝弘)